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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第63話:真実を知る満流と悠一。そしてザンテが目覚めた。



座りこんでいた満流の手を引っ張って立ち上がらせた輝夜。

そして二人で悠一の元へ近付いて行く。


「大丈夫?」


「ええ、コレのお陰で随分回復してきました。」


悠一が指さしたのは満流のキングソードの片割れだ。


「そっか。じゃあ、一気に回復といきましょうか!」



そう言って輝夜はおもむろに悠一に手かざしをした。


シュワワワワ………………。


あたたかい光が輝夜の手の平から発してみるみるうちに悠一の傷が治っていった。


「早いっつ!」


悠一も驚いていたが、満流自身が一番驚いていた。


「やっぱり輝夜は凄いな。」


「何言ってんの?私は半人間だからじゃない。まともに人間の満流の方が凄いわよ。」


「ハハッツ、輝夜に褒められるとなんだかくすぐったいな。」


「コホン、お二人さん。僕の前でいちゃつくの、やめてもらえます?」


悠一に言われていちゃついてるように見えるものなんだって輝夜は思って


「そんなつもりじゃ………………。」


と慌てて訂正していた。




「そうそう、敵はもうみんな人間になるから戦いはお終いなんだけど、彼等の後ろに黒幕がいるはずなの。それを悠一くんに相談しようと思って満流を使いに出したはずなんだけど………………。」



「あれ?満流はそんなこと一言も………………。」


「そりゃ、お前が酷い傷を負っていたからな。」


「まぁいいでしょう。それでどんな状況なんですか?」


悠一は話にくらいついてきた。

輝夜は丁寧に説明をする。前世の自分が見たことも含めて………………。


話を進めるにつれて二人の表情が硬くなっていくのがわかった。



「なんだって?!アイツがお前の前世での兄だと!?」


「そうみたいね。」


「お前っ!そうみたい…って!何を呑気な!」


満流は怒ってそう言うが、輝夜は実感がないので他人事だ。



「だって仕方ないじゃない。私にその記憶がないんだもの。確かにミリアナの記憶を見たわ。だけど、私が体感したというよりも、映画で映像を見るような感じだもの、仕方ないじゃない。」


輝夜は輝夜で実感のないものをどうこう言われても困るのだ。



「確かにそうですよね。僕たちには前世の記憶なんてないですし、急にそんな事を言われてもって感じなの、わかります。」


悠一が共感すると輝夜は思わず悠一の手を取って


「でしょ?流石悠一くん、理解早くて助かるわ~~~!」


なんて言うものだから、「チッツ。」と小さく舌打ちをして満流はむすっとしてしまった。それを見て悠一はやれやれと心の中で思っていた。




「それで、それはそれとして。結局あの陛下と呼ばれていた男は人間になったということですか?」


悠一が真面目な顔で輝夜に聞く。輝夜も真面目な顔で静かに頷いた。




「ははっ、何だか複雑な心境ですね。」


「俺はそれでもアイツを許すことなんて出来ねぇ。」


むくれてはいるが、会話には入ってくる満流。〝もう、子供なんだから…。〟輝夜は内心呆れつつも話を続ける。


「ロワールが人間になったことに伴ってその眷属である彼等も人間になる、ということ。………………。もう、そろそろ変化は収まった頃かしら?」


輝夜がそう言うとみんなの視線がザンテの方へと向いた。





輝夜が現れる少し前から呻き声を上げていたザンテがみんなで話をしているうちに静かになっていた。そして今彼の方を見ると静かに蹲ったまま動かない。


輝夜はスッと立ち上がり、ザンテの方へと歩いていく。


「輝夜、危ない!」


満流が輝夜の行く手を阻もうとしたが輝夜はそっとその手を取ってから満流の顔を見て首を静かに横に振り、手を退けた。



そしてザンテに近付く。



「もう、収まったかしら…?」


輝夜の声を聞いてザンテは顔をあげた。




満流も悠一も驚いた!



ザンテの顔から獣臭さが抜けていてどこからどう見ても好青年になっていたからだ。



「そんなことってあるのか!?」



輝夜はその反応を見てくすっと笑った。



「大丈夫そうね。記憶は残っているのかしら?」


「俺…俺は…。」


「まぁ、少し混乱はするわよね。」


「陛下…陛下は…?」


「もうあなたの〝陛下〟じゃないわよ?ただの人間になったのだから。」


「なに?人間になった…だと?だからさっき物凄い苦痛が突然襲ってきたのか?」


輝夜は静かに頷いた。ザンテの顔からは人間に戻ったことに対しての安堵とこの先どうやって生きていけばいいのかわからない不安とがよぎった。




「どうにだってやっていけるわよ。その気になればね。」


輝夜の言葉でザンテは久しぶりに人間としての世界を見ようと立ち上がり、洞窟の外から見える山の景色を眺めた。



「………………。そうか、世界はこんな色をしていたんだな。すっかり忘れていたよ。」


吸血族として生きてきたのなら暗闇の中でしか移動は出来なかっただろう。生きるための糧として人間の血を求めないといけない。だが、それは彼等が望んだ「生」ではなかったのだから、今、開放されてザンテの顔は輝いていた。






ご覧下さりありがとうございます。吸血族から解放されたザンテ。これから彼等は人間として再び生きていくことになります。

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