第66話:白のクイーンの領域展開!
「アイツが…、白のルーク…だと?」
一番狼狽えていたのは満流だった。輝夜をあんな目に遭わせておきながら仲間だというのか?といったところが彼の正直な気持ちだろう。
そんな、満流の感情を察したのか、ロワールが答えた。
「すまないな、お前たちにとっては不本意かもしれないが、俺は決めたんだ。今までしてきたことを少しでも償えるのなら、どんな形であったっていい。だから創造主からの提案を受けた。ちなみに、ケルドア、ザンテ、ドライト。お前たちも〝白のポーン〟として人間になっている。どうやったら覚醒するのか、自ずとわかるだろう。」
ロワールはそう言ってラビットに向かって駆けだした!
後に続く三人。
輝夜たちは驚きすぎて立ち止まったままだったが、
「わ…私達も行くわよ!」
我に返り、声を掛ける。
どうやらここが正念場のようだ。
─────目の前にいる〝ラビット〟が全ての根源。コイツを倒せばもう吸血族になる人はいなくなる。
輝夜の中で決意が固くなっていく。それは輝夜に続く他のみんなも同じ気持ちだった。これが最後の決戦だ!
意気込む者、焦りを感じる者、手に汗を握りながら目の前の大ボスに戦いを挑む者。全ての視線が目の前のラビットへと向かっていた!
ラビットは巨大化して今まで見て来た姿とは全然違う姿へと変身した。
揺らめく影からは憎悪がみなぎっていた。
「さて、お前たちを倒して我は新たな操り人形を作って永遠の刻の中を生き続けようではないか!」
ラビットのその顔は悪魔そのものだった。
人間を操り人形、道具だと言い切るあたり、その醜い顔に現れていた。
「ーチッツ、反吐が出らぁ…。」
満流が素早く反応していた。
「ラビットよ!お前が俺に仕えていたあの姿は全て偽りだったというのか!?」
ロワールが突然ラビットに向かって言い放つ!
ラビットはロワールをジロリと睨み、
「ああ、たかが操り人形如きに何故我が心を寄せねばならぬ?ずっとお前の呪いが解けぬよう監視していただけだ。」
ラビットから発せられた言葉は深くロワールの心へと突き刺さった。
俯くロワール。
きっと永い年月を過ごす間に「情」が湧いたのだろう。さっきも必死に探していたくらいだ。
そんな彼の様子を見て輝夜はもちろんだが、満流までロワールに感情が動く…。
〝俺は輝夜をあんな目に合わせたアイツが未だに許せずにいるが、そもそもアイツ自身が望んだことではなかったのだとしたら、俺は考えを変えなければならない…。奴が操り人形と言ってるんだ、それが全てなのだろう…。〟
満流は真剣にロワールに向き合おうとした。
「分かった…。ラビット。」
ポツリとロワールが言う。
次の瞬間、ロワールから凄まじい炎が身体こら沸き起こった!
「─────!!」
周りの皆が驚きながらロワールを見つめる。
そのままロワールは右手を宙に上げ、自分の身体から出ている炎を手の先に集めた。
「我が罪を焼け――顕現せよ、煉獄王剣アグニレクス!」
ロワールの掛け声と共に炎が右腕に螺旋を描き、紅蓮の核が剣身を形作る。
刀身は黒鉄に紅金が脈打ち、中央には血のように深紅の宝玉。鍔は翼を広げた竜を象り、柄頭には王冠を模した炎紋。
振るうたび刀身に古き王の紋章が灼けるように浮かび上がった。
ルークの宝剣《煉獄王剣・アグニレクス》の召喚だ!
ロワールは剣を手に持ち、ラビットに向けて放つ!
「城塞突撃 !」
炎がまっすぐラビットに向かって進んでいく!ラビットは避けるが、
ロワールは次の一手も既に放っていた!
「紅蓮城壁!」
─────それは炎の壁を四方に展開する技だった。
さっきの技を避けたラビットだが、隙を与えず放たれた次の技は四方から襲う炎。
紅蓮城壁はラビットの身体の一部にあたり、〝ジジジッツ…〟と音を立てている。
「凄まじいな…。」
満流はロワールが繰り出した技を見て関心していた。だが、それは満流だけではなかった。他の三人、悠一、ケン、ダナも同じだった。さらに
「やるわね。ロワール。」
輝夜がニコっとロワールに対して笑った。
「はっ!俺だって今までの借りを返してやる絶好のチャンス、逃さない!」
「ふふっ、その意気込みだわ。じゃあ、私達もロワールに倣って行くわよ!」
「おー!」
みんなの顔を見て輝夜は軽く頷き、自分の額に右手の人差し指を置いて
「クイーンの名の元に、白の領域展開ー!」
と叫び、人差し指を唇にあててから投げキッスをするかの仕草をして霊力を込めて結界を張る。輝夜が張った結界の中では白の仲間たちにとっては動きやすい空間へと変わる。だが、白の仲間以外にとっては身体に鉛を付けたかのように重苦しい空間へと変化するのだった。
ご覧下さりありがとうございます。ロワールの技を見てみんなの気合が入る。




