第61話:覚悟を決める!
創造主の降臨によってその場は空気が変わった!
蹲って動けないロワールも必死にこの空間の重さの原因を知るために顔を上げようともがいている。付き添っているドライトも顔色が変わって額には汗がビッシリだ。それだけ創造主の存在感は威圧が凄いのだろう。
「な…、ん…だ…?この圧は……………。うっ…。」
苦しみながらも気になる様子のロワール・
「創造主さま。直々にだなんて…。」
「あぁ。流石にお主の願いの重さを計りかねてしまってな…。わかるであろう?霊体を人間にするのとは違うのだぞ?」
「はい…。無理を承知で願っております。彼等も被害者だと私は思っておりますから…。」
「うむ。そうだな。我もそう思う。輝夜。白のクイーンとして、その者の心臓をその剣で貫くがよい。」
「─────!?創造主さま?それでは消滅してしまうのでは…!」
「大丈夫だ。その剣の先にはお前の血と聖痕の力が宿っている。自分を信じてやるが良い。さすればその者は人間となり、その者の眷属も自ずと人間になるだろう。」
創造主の言葉によって輝夜は自信を持つことにした。
「わかりました。やってみます。」
輝夜と創造主のやり取りを見ていたロワールはそっと目を閉じた。彼は覚悟をしたのだ。
だが、ドライトはそのやり取りを見ても信じられないようで
「だめです、陛下!そんな言葉を簡単に信じてはいけません!万一のことがあったら…!」
ロワールを説得しようと試みるが、肝心のロワールは
「いいんだ。ドライト。我はもう吸血族の王であり続けるなど、辛いのだ。今の我はお前たちと出会ったあの頃の我とは違うのだ………………。このミリアナの魂に触れ、我は人間である頃の自分に一番今が近い状態なのだ。だからもう、開放させてくれ…。」
「陛下…!そんな、陛下が私なんぞに頭を下げるなど…!」
ドライトは慌てていた。敬愛する陛下がらしくないのだ。
「ねぇ、ドライト。あなたはロワールのこと、信頼してるのでしょ?だったら、彼の邪魔をすべきじゃないんじゃないかしら…?」
「………………クッツ、娘!そのようにして陛下を惑わす気か…!」
「はぁ…。」
輝夜は大きく息を吐いた。
「ねえ、あなた、今まで彼のそばでいたんでしょ?どうして彼を信じないの?」
「何っつ!私が陛下を信じていないだと!?」
「そうじゃない。陛下がこれだけあなたに懇願してまで開放して欲しいと言っているのよ?その気持ちをどうしてくみ取ってあげれないの?」
「………………!」
ドライトは悔しそうに顔をゆがめて耐えていた。輝夜は彼に近付き、
「今、やらなければもうチャンスは二度と戻ってこないの。私は別に違う方法であなたたちを消滅させることだって出来る。だけど、人間に戻るのは今しかないの。どうするの?」
「………………ウグッ!」
ドライトは唸ってそのまま黙ってしまった。それはそれでもまだ輝夜を信じられないからだ。だが、人間に戻れるチャンスはもう二度とないかもしれない、この一言がとうとうドライトに決心の後押しをした。
「ーわかった。私は黙ってここで見ている。」
「わかったわ。」
ようやく納得したドライトを見て安心した輝夜はすぅーっと息を大きく吸って、まずは深呼吸をした。
目の前のロワールはずっと目を閉じたまま輝夜たちの話を聞いていた。輝夜がドライトを説得すると信じていたのだろう。
輝夜もそれを理解した上でドライトを説得したのだった。
創造主も見守る中、輝夜は自分の息を整えて、意識を集中させる。輝夜の剣を持つ手は緊張で汗ばんでいる。
「大丈夫だ。どんなことになろうとも俺は受け入れる。安心しろ。」
ボソッとロワールが呟いた。
輝夜はふっと笑って
「大丈夫よ!」
そう言ってロワールに向けて剣を突き刺した!
「─────ウッツッッッ……!」
剣がその身体に触れた瞬間、ロワールは一瞬、呻き声を上げた!
そしてそのまま地面に倒れてしまったようだ。
輝夜は倒れこんだロワールを立ったまま見下ろしていた。
〝ロワール…。〟
「陛下っ!」
即座に駆け寄るドライト。思わずロワールを抱きしめた!呼吸をしていない…!
「ああ!やはり反対すればよかった!こんな…!」
そう言って輝夜をキッツと睨んだ。
輝夜はそれでも表情を変えずにロワールを見ている。
輝夜を見てドライトは〝ハッツ〟と気付く。
─────自分がまだ生きている!
更に陛下がこうなったのに自分に対して剣を突き刺さないことを。
「娘、私をその剣で刺さないのか?」
ドライトは不思議に思って輝夜に尋ねる。
「バカ言わないで。あなたを刺したらすぐに灰になるわよ?」
「だが…!」
「ロワールが人間になったら、あなたも人間に変わるってことでしょ?少しくらい待ちなさいよ!」
「………………。」
輝夜の最後の一言にドライトは何も言えなくなった。そして陛下の方に視線を向けた。
陛下の身体は冷たくなっていく…。段々焦るドライトだが、〝少しくらい待ちなさい〟の言葉に耐えることにして陛下の状態を腕の中で感じていた。
ご覧下さりありがとうございます。とうとう、ドライトも人間になる方法に賛同しましたが、やはり目の前でグッタリする陛下を見て冷静ではいられないようです。




