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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第59話:輝夜の前世がわかった!最初の人生で…



その場には奇妙な空気だけが流れていた。



きっと泣いたのであろうロワール。それを心配するのか、ヤキモキする輝夜。そして陛下を心配して見守るドライト。


普通に見ればきっといい光景なのだろうが、ここにいるのは敵同士だ。




輝夜が自分のモヤモヤを晴らすためにロワールに声を掛ける。




「ねえ、一体何が見えたの!?気になるじゃない!」




ロワールはゆっくりと振り返り、輝夜の顔をジッと見た。




「………………。」






そして小さく息を吐き、


「能力者のお前のことだ。黙っていたところできっとどこかで知ってしまうだろう。」


「話してくれるってことよね?」




ロワールは静かに頷いた。






輝夜はロワールのその態度から真剣な話になるんだと思って覚悟を持って聞く事にした。




ロワールもその場に座りこんだ。きっと長くなるとでも思ったのだろう。それから輝夜の顔を見てゆっくりと話し始めた。




「さっきからお前を見ていたのは、お前の前世を見ていた。」


「ええ、そう言っていたわね。」


「あぁ、そうだ。………………それでお前は我と同じ時代を生きていた時があったと言っただろ?」


「ええ、言っていたわね。その時の私がさっきのあなたの動揺に繋がっているってことね。」






ロワールは静かに頷いた。


やっぱりらしくない行動だ。今のロワールは吸血族の王というよりもただの弱った人間そのものだった。






〝奇妙な気分ね。今の彼なら人間にしか見えないわ。〟




輝夜は戸惑いながらもロワールの話の続きが気になった。輝夜もまっすぐに真剣にロワールの話に耳を傾けた。


ロワールも輝夜の真剣に聞こうとする姿に覚悟を決めたようだ。一体どんな話をしようとしているのだろうか………………。






「ハッキリ言う。」




輝夜は強く頷く。真剣にロワールを見つめた。ロワールは目を閉じている。




彼の脳裏に白いドレスの少女がよぎる……。




美しい庭園。

眩しくも優しい陽射し……。




振り返り微笑む少女。






ロワールの表情が揺らぐ……。








〝──────────さま……。〟




ギュッツと唇を噛みしめ、




「お前は我の、」



「我の………………。」



「…俺の妹、……………ミリアナの…生まれ変わりだ。」


「──────────!?」




輝夜は驚きを隠せなかった。




「何ですって?!」


「俺も驚いた。何故お前に必要以上に気が向くのか、これでやっと謎が解けた。ただの、お前が聖痕の持ち主ってだけではなかったようだ。」


「………………そんな、まさか。」






驚く輝夜だが、輝夜自身は一切記憶がない。ただただ信じられない気持ちの方が強かった。だが、目の前のロワールは真剣な表情だ。きっと真実なのだろう。




「俺は吸血族になった影響で人間では見えないものが見えるようになった。この前世を辿ることもそうだ。最初は信じられなかったが、前世の記憶を持つ人間に出会った時にこれがそうだと知った。」


「じゃぁ、私は古い前世であなたと兄妹だったっていうの?」


「そうだ。しかも最初の人生だな。なのにあんな惨い殺し方をしてしまってすまない。」






輝夜の目の前でロワールが頭を下げて謝った。






「よ、よしてよ。私には記憶がないんだし………………。」




ロワールの行動にたじろぐ輝夜。




「お前が数奇な運命をたどるようになったのもきっと俺があのような殺し方をしたせいだろう。」


「だから覚えてないって!知らないのよ?」




輝夜がどんなに否定してもロワールは話を続ける。






「なのに、お前はどうしてまた俺の前に現れたのだ?しかも聖痕の持ち主だと?なぜ、お前にそんな過酷な運命を授けたのだ………………!」






ロワールの言葉に輝夜は黙ってしまった。答えられない、が正解だ。




「………………。」






ここにいるのはロワールであってロワールではない。彼が見ているのは自分であっても自分じゃない、過去の妹の魂だ。






「私、よくわからないけど、きっと意味があったんじゃないかな。」


「………………意味?」


「ええ、私がミリアナだったなら、きっとあなたを恨まないと思う。だからあなたを開放するために今の私になってるんじゃないのかな。」


「ふっ、お前になら俺は殺されてもかまわないな。」


「嫌なこと言わないで!そんな話を聞いたら私の方が無理よ!」


「ハハハッ!お前は全くミリアナの面影は一ミリもないのにな、不思議だ。」






そう笑いながら言うロワールは目じりに涙を浮かべていた。


彼を見て輝夜は胸が熱く、そして痛くなった。






〝創造主さま…。こんなのあんまりです。どうしたら彼等を人間に出来ますか…。〟






輝夜は心の中で創造主に向けて語ってみた。返事がくるかはわからない。

だが、あの創造主のいる空間は〝どこにでもあってどこにもない〟そんな場所だ。




輝夜の中で彼等を人間にしたい気持ちがより一層強くなっていた。




〝今頃みんなが必死で対戦しているというのに、自分は何を考えているのだろう…。〟




そういう気持ちもないわけではない。戸惑う輝夜。




「私はあなたたちを人間に戻したい。その気持ちが強くなった…。」




輝夜がポツリと本心を口にした。その時輝夜はあたたかな光に包まれた!




「な…!なんだ?!」




目の前で何が起こっているのかわからずに驚くロワールとドライト。輝夜を取り巻く光はどんどん輝きを増していった。






ご覧下さりありがとうございます。とうとうロワールの口から輝夜が自身の妹であることを告げられる。それが輝夜の最初の人生だったのだと。その時の死に方のせいで今の輝夜が数奇な運命をたどっているのだということも。だが、輝夜には記憶がない。

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