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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第58話:ロワール、輝夜の前世が気になるようで真剣に見る




「お前はきっと……相当辛い前世を持っているに違いない…。」




ロワールのこの言葉の意味に輝夜は気付けずにいた。輝夜は少し首を傾げ、





「…ひょっとして、前世の記憶を持って生まれた人にでも会ったの?」




興味本位でロワールに聞いてみた。






「は、そんな人間ゴロゴロいたぞ?」


「え?そんなに?…じゃあ、本当に前世とかってあるんだ!」


「ハハッ、お前はやはり面白い女だな。」




涙の跡がまだ乾いていないというのに、ロワールは輝夜の反応を見て動揺が収まってきつつあった。


それはただ彼女に興味がある、それだけではもうなくなりつつあり、どこか心の拠り所にでもしているかのようだった。




「………………。なによ。元気になったじゃない。」




輝夜は横目でロワールを見下ろしながら言った。




「お前…。心配してたのか?」




ロワールは相変わらず冷めた目だったが口調がどこか、今までとは違うということを輝夜は感じた。




「少しは、ね。」




その輝夜の返事の仕方がどうやらロワールにとっては刺さったらしい。




「ハハハハハ!」




いきなり大きな声で笑い出した。そばにいるドライトは陛下が泣いたり笑ったりと忙しく表情を変えるものだからついていけてなく戸惑っていた。




「心配しなくてもいいわよ、ドライト。コイツ、もう元に戻ってるわ。」




輝夜の言葉に反応するドライト。






「陛下をコイツ呼ばわりするとは失礼な!」






そう言って輝夜に飛び掛かろうとしたのでロワールがそれを止めた。




「待て!遊んでやれとは言ったが、こやつに傷一つつけることは我が許さん!」


「しかし陛下…。」






ロワールがキッとドライトを睨むと静かになった。


そしてロワールは再び輝夜に向き合って






「さて、さっきの話だが。お前はこれまでに5回転生しておるな。」


「─────?わかるの?」




「ああ、もっとじっくり見ればお前の前世がもっと詳しく見えるのだが…。お前の場合はちょっと特殊だから見辛いな。なんだ?複雑な力がお前の身体の中で渦巻くようにあるな。」






ロワールが眉を顰めながら輝夜を見ていた。まるで手相を見るかのような……。




「まあね。私、人間じゃないもの。」


「は?お前っ、やっぱり人間じゃなかったのか。だが、どう見ても人間だが?!」


「半分だけね。私は鬼の血を引いているから。」


「なるほど。だからお前は変な妖力も使うのか。あんな力、我も滅多に見ぬゆえ、解読に時間がかかったわ。ハッツ、面白いやつだ。…。ん?お前、我と同じ時代に生きていた痕跡があるな。」






ロワールはそう言って静かになった。彼の表情はどこか曇っていて真剣だった。






「あんたと同じ時代に生きてたって?じゃあ私はどこかのお姫様か何かだったのかしら。」






ちょっとだけご機嫌な輝夜。






「でも、記憶がないから全然楽しくないんですけど?」


「お前、ちょっと黙れ。」






ロワールは輝夜の前世を調べるのに集中しているようで輝夜は怒られてしまった。






「私は別になんだって構わないのに……………。そこ、こだわるとこ?」






ロワールのこだわるところに輝夜は理解が出来なかった。


仕方なく輝夜はその場に座った。ロワール自身に戦う気がないからだ。だが、油断しきると後悔することになるから気を許さずに大人しく座っていることにした。




〝ま…、満流がそのうち悠一くんを連れて戻ってくるんだし、それまで別にこうしているのも悪くはないわね。〟




なんて軽く考えていた。










そしてどれだけ時間が経ったのだろうか。




〝ん?何だか外の方も静かになったんじゃない?それにそろそろ戻ってきてもよさそうなのに、どうしたのかしら…。〟




輝夜がふと外の方へと気を向けたとき、ロワールがスクッと立ち上がって輝夜に向きあう。


ロワールがジッと、さっきよりも見てくる。その視線に輝夜はたじろいでしまう。






「な…なによ?」






だがロワールは無言のまま 輝夜を見下ろしている。


輝夜はロワールの様子がおかしいと思った。




〝まさか……………また情緒不安定になってるんじゃ………………。〟






輝夜の中で不安がよぎる。




「お前………………。」






やっと口を開いたかと思うとたった一言だった。続きの言葉を期待する輝夜。だがロワールの瞳にはとまどいが宿っていた。






「………………?」






輝夜が不思議そうに首を傾げてロワールを見る。彼はそれに気付いてふぃっと向きを変えて輝夜から離れてしまった。そしてその後ろ姿は何故か小刻みに震えている。






〝─────?明らかにおかしい…。〟そう思った瞬間言葉にしていた。




「………………どうしたのよ?」






輝夜はその小刻みに震える後ろ姿を見て、泣いているのか?それとも怒りを覚えているのか?と思った。だが、さっきの「お前………………。」と言ったロワールの顔からは怒っているとは思えなくて、泣いているとしか考えられなかった。


輝夜は思わず手を伸ばして




「ねえ、ロワール…。」




そう声に出していた。




彼は輝夜の声を聞いて、〝ピクリ〟と身体を動かした。


そしてまるで涙を拭うかのような仕草をしてから




「………………なんでもない。」




そう言って。空を見上げるように宙を仰いだ。






その様子を見て輝夜は


〝なんでもないことないじゃん、一体私の前世を見て何があったのよ?気になるじゃない………………!〟




輝夜は逆にモヤモヤが募る…。






ご覧下さりありがとうございます。ロワールの反応が気になりますね。

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