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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第56話:陛下が死ななければ、俺たちは死なない




それは遠い 遠い 記憶─────




ロワールが時々思い返す辛く哀しい記憶だ。

震えながら語り出すロワール。




「あの日、我は…完全に自我を失っていた……。」


「……………そして愛する妹をこの手で惨たらしく殺してしまったのだ……………。」




そして自分の両手をみつめるロワール。



「ミリアナの気持ちを考えると我は……………我は……………!」




ガタガタと震え出すロワール。

ドライトがロワールのそばに駆け寄る。




輝夜も満流も戦闘意欲が喪失していくのがわかる。






───結局、彼等を倒したところでその裏にいる親玉が新たなロワールを作り出すだけだ。




その答えに辿りついたとき、

彼女はその親玉をどうやって探し出すか、頭を悩ませた。






「満流、私、頭が回らないわ……………。」


「なんだよ?自分から言い出したことだぜ?何か確信があったんじゃないのか?」


「んー、確信まではいかないけど、彼らがあまりにも人間らしさが残っているような気がして……………。だったら他に彼等を導く者がいるんじゃないかって思えたのよ……………。」


「こういう時、我らのブレーンでもある導きのナイト、悠一がいれば心強いんだがな。」


「ほんと、大丈夫かしら…。」


「今のお前なら、平気だな。俺、ちょっと悠一見てくるわ。」


「うん、そうね。ケンとダナたちも気になるし……………。」




満流は大きく頷いて、この場は輝夜に任せて自分は悠一の所へと向かった。










***




その頃の悠一はというと

ザンテにこっぴどくやられていた。




〝せめて僕の武器であるあの大鵬剣さえ手に取れれば……………。〟




悠一は大けがをしているにも関わらず最後まで諦めるつもりはなかった。




〝ここで彼を引き留めておかないと僕は……………!〟






自分の命に代えても輝夜たちに負担をかけたくないと考えていたのだった。


そんな時にかけつけた満流がその惨状を見て驚く!






「─────悠一っ!」






何とか意識を保ちながら耐えている悠一は霞む目で満流の姿を発見した。




「満流…?」






だが、悠一はそれが本当に満流だと理解するのが難しかったようだ。




「はは……………。僕はもうダメなのかな……………。満流の幻が見えるようだ……………。」






その言葉に




「何言ってんだか!俺だよ!間違いなく俺、満流だ!ほら、しっかりしろ!」




そう叫びながら悠一のそばに駆け寄る。


ザンテはいきなり現れた満流に驚きながら、自分がその気配を察知できなかった事にも驚いていたようだ。




「…な!お前っ!いつの間に!」




焦るザンテ。気配を感じる事も出来ないほどの力を隠し持っているのだとしたら……………。




だが、次の瞬間、ザンテは体制を整えて満流に挑んでくる!


満流はザンテが自分に向かってやって来るのを感じて




「悪い、悠一!先にコッチを片付けるから、お前はコレを持っていてくれ!」




それはキングソードの分身でもあった。


つまり、悠一を治癒するためのものだった。




「満流…。すまない。」




そう言って悠一は意識を失った。




「ーチッツ。」






満流は小さく舌打ちをして、ザンテに立ち向かう。


〝悠一をあんな目に遭わせやがって……………!〟




満流は悔しかった。前も目の前にいる、このザンテに二人してコテンパンにやられたからだ。



だが、今夜は違う。

輝夜がそばにいるからだろうか。

満流の身体の奥から尽きることのない力の源が湧き上がってくるのだった。




「離れていてもちゃんと感じるぜ?輝夜の存在、俺と繋がっているってな!」




それは満流を勇気付けるためのものでもあった。






ザンテからの攻撃を受けては交わし、を何度か繰り返す。






─────ガキーン!






キングソードはザンテの剣をはじく。




「気を付けた方がいいぜ?これ、銀製だからな。」




満流がニヤリと笑いながら煽るようにザンテに言う。




「俺たちが銀製だけで砂になると思ったら大間違いだからな。あれは下っ端だけだ。俺たちは陛下が死ななきゃ死ぬことはないんだ!」


「は?」


「何度だって生き返る事が出来るってことだ。だからその銀の剣でも恐れることはない。」






ここで新たな事実を知った満流。




「ーチッツ。」




結局はアイツを殺さないと無理だと?また降り出しに戻ったのか……………。


満流は焦りを感じた。




「は……………ゾンビじゃあるまいし……………。。」


「信じなくてもいいさ、本当のことだ。だが、痛い思いは勘弁してほしいさ。」




満流はザンテのその言葉で目の前の男を銀の剣で貫いたとしても「陛下」を殺さないと意味がないということが嘘ではなく本当なのだと感じた。




「はっ、なんだ…それ。」




満流は愕然とした。だが、悠一が動けない今、このままヤツを野放しにしておくわけにもいかない。いくらキングソードの分身を悠一に預けていたとしても直接自分が悠一の身体に触れるか、手をかざすかしない。治るスピードは断然違うから満流は焦っていた。






ご覧下さりありがとうございます。いつも冷静に判断をする悠一を頼り、合流する満流であったが、彼の怪我の具合を見てザンテに怒りを覚える。

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