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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第53話:最後の希望が砕ける瞬間…!



輝夜と満流はお互いに〝もしかしたらこれが最後になるかもしれない〟そういう思いを抱きながらキスを交わした。




〝満流…どうか、無事でいて。〟




〝輝夜……………。俺から根こそぎ力の源を持っていけ。お前だけでも無事でいてくれ。〟




キングとクイーンのための儀式でもあるが、お互いを思い合う深い意味のあるキスだった。






ドライトは目の前で敵がいちゃつき始めたことに驚いた!




「…な!こ、こんな、敵を目の前にして、…恥ずかし気もなく…!お主ら、何をしておるのだ!?」




どうやらこの男、女性と付き合ったことがなかったのか、あの体格に似合わないくらい顔を真っ赤にして二人をチラリと見ている。

だが、輝夜と満流はおかまいなしだ。相手から攻撃をしてこない限り、二人の時間を一秒でも大切にしたいからだ。






「はぁー。」




ドライトが大きなため息をついたと思ったら後ろの方から大笑いをしながらロワールが現れた。






「ハハハハハッツ!」




その声を聞いたドライトは慌てて姿勢を正す。




「へ、陛下っ!」




「よい、我の事を気にするな。それよりも面白い者たちだ。二人して捉えて我が遊んでやろう。」




「はっつ。直ちに!」




ドライトは陛下に一番忠実な部下だ。声をかけてもらったという事だけで彼にとっては名誉なことなのだろう。彼の顔には緊張と喜びから顔の綻びが見え隠れしていた。








そんな気持ちが高揚しているドライトとは裏腹に輝夜と満流はお互いをギュッと支えながらその場に立ち尽くしていた。




ー今夜は満月だからか、ロワールは長く輝夜の血を吸血していなくても本来の年齢だったであろう青年の姿をしていた。彼からは圧倒的な力を感じる






満流はその力に気圧されて動けずにいた。輝夜はロワールと長い時間を過ごしたせいもあってか彼の気配には慣れているようだ。






〝はっ、流石だな、輝夜は。〟




満流は輝夜の能力がそうさせているのだと勝手に勘違いをしていた。そして彼女の顔を見るとみるみると目に力が宿ってきた。どうやらかなり怒りの気持ちが強いようだ。




〝ハハッ、そりゃ当たり前だな。〟




満流は彼女がどうして怒っているのか手に取るようにわかった。それどころか自分自身も気圧されてはいるが、段々彼女がされた仕打ちを思い出して身体の底から怒りが湧き上がってくる。










─────もう、気圧されている満流ではなかった─────












「女、お主、巫女であったか。」




ロワールは輝夜の姿を見てただの人間ではなと思ってはいたが巫女という能力者だとは思っていなかったようだ。そして輝夜の隣にいる満流に視線を向け、




「………………ん?なんだ、おもちゃよ。お主、中々の精神力の持ち主だな。我を前にして平気でいられるとは。」






「あぁ、お前に会ったら言ってやりぇ事があったんだ。」




「ほほぉ、一応、聞いてやろう。」






ロワールは明らかに満流を煽っていた。






「満流、駄目よ。相手の思うつぼだわ。」






輝夜が満流に慎重になるようにと言うが聞く耳をもたなかった。大切な彼女を傷つけられたのだ。満流の中で許せることではない。






「お前が!輝夜を人形のようにしたんだ!彼女の大切な身体にその牙で噛みつき、彼女の大切な血をすすり、挙句の果てに彼女の精神まで壊していたんだ!俺はそんなお前を絶対ぇに許せない‼」




満流の怒りの言葉は全て輝夜に対してだけだった。




〝ー満流…。そんなに大切に思ってくれていたのね。〟




輝夜は胸がギュッと熱くなった。そして自分の口からも文句を言わないと気が済まなかった。






「そうよ!あんたが嫌がる私の首筋に牙を立てたせいで私が私じゃなくなってたんだから!」






必死に訴えるが、ロワールは冷めた目で二人を見た。






「それがどうした?結局、元に戻ったではないか。お前たち二人いればお前はまた人形のようになったとて元に戻るのであろう?問題ない、二人揃って我が飼ってやろう。」






「─────‼」




「─────!貴様ッツ!」






輝夜は衝撃を受けた。時々見せるロワールの顔が本当の彼の姿ではないかと思っていたからだ。しかし今の彼の発言には人間を人間だと思っていないということがハッキリと伝わってきた。






「ロワール…。私はあなたに…まだ、少しでも人間としての心が理解できると思っていた。だけど、あなたは…あなたには…!

」




輝夜は悲しさと怒りでロワールに向かって言葉を投げかけた。彼の心に少しでも届くのだろうか…。




〝きっと彼にも何か事情があったに違いない。〟




そう思っていたからロワールからの言葉を待つ。








だが返ってきたロワールの言葉は輝夜の心を更にえぐるような言葉だった。






「─────娘よ。何故、我がそのようなものを持ち合わせていると思ったのか。我は吸血族の王だぞ?人間よりも優れた能力と力を持っているのに、どうして人間を気遣う必要があるのだ?」






顔色一つ変えずに言い放つロワール。








彼をジッと見つめていた輝夜の顔からは希望の光が消えつつあった。






〝─────あぁ…。期待した私が間違っていたのね。彼等とはどうやら相いれないみたいね。〟




輝夜は最後の希望が目の前で砕け散ったのを受け止めるしかなかった。







ご覧下さりありがとうございます。とうとうロワールも登場しました。

ここでロワールと輝夜、ドライトと満流の決戦が始まるのでしょうか。

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