第49話:決戦前の最終打ち合わせ
満流に連れられてダイニングに来たら既に三人は揃っていた。
「よ、しっかり眠れたか?」
そう聞いてくるのはケンだ。輝夜にとってはよき兄貴。それは満流にとっても同じようだ。
「ああ、スッキリだ!」
「クイーンはどうですか?」
今度はダナだ。ダナは輝夜には優しく甘いが、満流に対してはどこかツンケンしている。その理由は輝夜は知らないが満流はよく知っている。
「ええ、私もスッキリしたわ。ありがと。皆はどう?」
「僕たちは大丈夫ですよ。」
ダナと悠一が揃って答える。悠一もダナもお互いに感じるものがあるが、ふたりとも立場が同じなので逆に通じるものがあるのだろう。ダナは悠一に対しては輝夜と同じように接している。
悠一は誰であっても同じように接している。それはケンも同じだ。
〝やっぱりこの二人、何かあるのね。どうしてこう険悪ムードなのかしら…。〟
輝夜はちょっぴり困った顔をして二人を見ていた。
そんな輝夜の肩をポンと叩いたのがケンだ。輝夜がケンに視線を向けるとケンは静かに首を横に振っていた。
〝相手にするな。あいつらはあれで大丈夫だから。〟
とでも言ってるみたいに…。
「じゃあ、もう準備万端ね?」
みんなが輝夜の顔を見てコクリと頷いた。緊張が高まる!
こっちは5人だ。今、輝夜たちが知っている限り、向こうはロワールと幹部三人、ロワールの直属眷属が一人だ。ロワールを倒せば眷属も同時に消滅するからそっちは気にしなくていいだろう。
「じゃあ、今から作戦会議ね。」
そう言って輝夜は大きな紙を取り出した。そこにロワール、幹部三人をそれぞれ記入した。
ロワールのところには輝夜、ドライトのところには満流、ザンテのところには悠一、ケルドアのところにはケンとダナを記入した。
「これでいこうと思うの。ドライトは体力もあるから満流が適格だと覆う。ザンテだって侮れないから戦闘経験のある悠一くん、ケルドアは女性だけど結構手強いから気をつけて、ケンとダナ。」
「おう、任せとけ!」
「わかりました。」
皆、口々に輝夜のプランに賛同した。
「まず、自分が使える技をちゃんと頭の中でイメージして、どれだけ使えるのかを考えながら挑んでね。回数制限があるものだってあるだろうから。」
「ーって、それって俺に対してか?」
「それもあるわね。」
「みんなはそんな回数制限とかないのか?」
「我々の技は威力が小さいですから…。」
ケンとダナは申し訳なさそうに言う。輝夜は首を横に振りながら
「だから、満流は自分でパワーを常に作り出してるから回数制限を設けないと壊れちゃうでしょ?身体は人間なんだから!」
「俺、この戦いが終わったらもっと体力つけるよ。パワーに耐えられるように。」
「それがいいですね。それと定期的にパワーを取ってもらえばいいかもですね。」
満流に笑いながら言う悠一が視線を輝夜に向けた。輝夜はドキッとして思わず
「ーえ?」
声が漏れた。瞬時にさっきの事を思い出してしまって心臓が再び跳ね上がる!
ードキッ!
「も、もう、悠一くんたら…。それは満流が適当に何とかするでしょ?さ、他には?何かある?」
輝夜は咄嗟にはぐらかした。かなり照れくさい、恥ずかしいようだ。
「ん?まあ、そうだよな。俺自身が何とかしないとだな。」
満流の答えは普通だった。輝夜は自分ひとりが変に反応したようでもやもやしていた。
〝もう、私ったら、これから戦いが始まるっていうのに、何考えてんのよ?満流なんて真剣に捉えてるじゃない…。〟
輝夜が心の中で一人で焦っていたのに対して満流は平然としている。
ように見えて、実はかなり頑張っていた。
演劇の才能は皆無な満流だが、輝夜の前で輝夜のことに対してだけは万能なようだ。
この満流の心境を一体誰が見破れているのだろうか?ここにいる皆には無理だった。いつもあっけらかんとして何でも態度に出る満流だからこそ、この対応が〝素〟なのだと信じこむのだ。
〝ひぇ~~~~~、焦った。悠一なんてこと言うんだよ?そんな事言うとアイツが変に意識してしまって大変だろうが!〟
という心境なのだ。
こうして少しの間だけでも和んでいたのだった。
間もなく陽が落ちる…。
窓の外を全員で見つめている。その横顔にはそれぞれが決意を秘めていた。
一方、ロワールたちはというと
こちらもロワールも目を覚まし、いつものようにワイングラスに今夜は取り寄せていた血を注いで飲んでいた。
「飲みすぎると酔うから注意だな…………ハハッ。」
どうやら相当余裕をかましているようだ。
「陛下。今ケルドアも到着しました。」
「うむ。」
ケルドアが玉座の間に入ってくる。
陛下の前でかしづき
「陛下。呼び出しにはせ参じました。」
「うむ、ご苦労。今夜は敵が攻めてくると見込んでいる。そちもドライトとザンテと共に挑んでまいれ。」
陛下の顔からはケルドアに対して感情が感じられない。それでもケルドアは自分を見ない陛下のことを求めてやまないのだった。
「はい。陛下の御心のままに…。」
ケルドアはロワールに深く頭を下げて静かに立ち上がり、ザンテとドライトの元へと行った。
〝この戦いであの女を殺す!そして陛下の寵愛は私が頂くのだ!〟
ケルドアの瞳は憎しみの炎で燃えていた。
ご覧下さりありがとうございます。とうとう決戦が近くなりました。
相変わらずどんな風に戦いのシーンを書いて行くか、悩み中~~~。




