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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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40/68

第40話:命を奪うということを肩代わりさせてしまった…

今回もラストの方で少し残虐なシーンに該当するかと思われます。気を付けて読み進めて下さい。




その頃、輝夜と満流は輝夜に与えられた部屋の中でずっと作戦会議を続けていた。


輝夜を辛い目に遭わせたロワール達を許せない満流と、一瞬だけど何とも言い難い表情を見せるロワールに対してどうにか人間に戻せないかと考える輝夜。



その時、輝夜の部屋に辿り着いたロワールがいつものように自然に部屋の扉が開かないことに違和感を覚えた。


〝ん…?まさかあのおもちゃもこういう結界を張る事が出来るのか?!〟


ちょっと楽しくなったロワールはそう思いながらも結界を破るために痕跡を辿っていた。


〝……………いや…、まさか!この結界の張り方は!〟


必死に解除を試みる。痕跡から解除の糸口を辿る。その中で輝夜の張った結界と同じ〝跡〟がある!



「────はっ!やはり面白い!」


ロワールは中々解除出来ない結界の前で何故だかとてもワクワクしていた。


〝これだけの結界をもし彼女が張ったのだとしたら……………。〟


きっと回復しているのだとロワールは察した。何故回復したのかはわからないが、回復したのならまた人形のようになる前の状態であるということだ。自分に対して対等に接した、あの時のように……………。




その頃、部屋の中では


「あぁ…、どうやら来たようね。」


「だな。アイツの状態でどれだけもつんだ?」


「そうね、今あの人大人の姿だったのよね?だったら2日もあれば入ってくるかもね。」


「2日ももつのか?それも凄いな。」


「違うわよ?アイツが子供の姿に戻ってしまうから2日なの!大人の姿のままだときっと数時間だわ。」


「………………。それだけ強いってことか。」


満流は緊迫した顔で輝夜を見て言った。



「そうね、〝陛下〟って呼ばれてるくらいだもの。とりあえず、アイツが入って来たら二人で眠らせましょう。そしてどうにかして外に出て皆と合流しましょう!この場所さえわかれば体制を整えて攻撃にこれるし……………。」


「わかった。そうしよう。外の状況がまだわからないし、それが一番いいだろう。」


満流の返事に輝夜はニコッツと笑顔を見せる。

悠一からの返事はまだ来ない。ひょっとしたら妨害されているのかもしれない。二人はそれでも焦る事をやめて、今は目の前にいつ現れるかわからないロワールに対して全精神を集中させた。





そして2日が過ぎようとした頃、輝夜の予想通りにロワールは扉の結界を解除して入ってきた。

中に入るなり、ロワールは両手を広げて興奮しながら輝夜たちに向かって言う。


「大したもんだ!あの結界!どっちが張ったんだ?女、お前だろ?」




「────ケッ。第一声がソレか。」


満流は不満そうだった。



「おやおや、おもちゃ君、君はどんな魔法を使ったんだい?女を正気に戻すとは……………。」



その言葉を聞いてジロリと睨む満流。


「さあな!教えてやんない。」



「ハッ、ハッ、ハッツ!女、お前、正気に戻ったのか!」


「………………。」


輝夜は無視をする気のようだ。




「まあいい。これで当分退屈しなさそうだ!」


ロワールはそう言って輝夜へと歩みを進めた。





──────────シュッツ……………ト・ト・トンッツ‼


その歩みの先の足元に満流は霊札を投げた!


「チッツ、貴様。邪魔をする気か!?」


「当たり前だ!コイツには絶対に近寄らせないからな!」



満流はそう言ってロワールを思いっきり睨んだ。だが、ロワールはびくともしない。フッと笑ったかと思うと一気に距離を縮めて輝夜の首元に近付いた!


「………………んなっ!」


満流が驚いているうちにロワールは輝夜の首筋へと牙を立てようとした。



が、

黙ってやられる輝夜ではなかった。



「────チェックメイト。」


そう言ってロワールの首筋にどこから用意したのかわからないが、猛獣対策用の麻酔薬を刺していた。



大きく牙を剥いていたロワールだが、


「き……………さ、ま……………。」


そのまま意識を無くしていった。どうやら麻酔が効いてきたようだ。


輝夜と満流は二人で見つめ合ってニマッツと笑った。そしてさっさとその部屋を出ることにした。幸い、結界を壊すことに集中していたロワールは部屋の鍵を開けたままにしていたのだ。二人はそのまま満流が連れて来られた時の記憶を頼りに外に向かって出ようとした。





だが、ザンテの眷属であるパドリスとバッタリと出くわしたのだ。


「ーは?なんでお前がここに……………!」


それは輝夜と満流、二人に対して発せられた言葉だった。すぐさま味方を呼ぼうとしたが、咄嗟に満流が彼を羽交い絞めにして口を塞いだ。


「騒いで仲間を呼ばれたら困るんでな。」


パドリスはバタバタと藻掻いている。輝夜はやはり情けをかけそうになっているが


「辛いなら、剣だけ俺にくれ。」


そう言って輝夜に影切刀を銀の剣に変えさせて自分に渡すように言った。


だが満流の手に渡った途端、剣から刀へと戻ってしまった。


「────‼」


二人は目を見開いた。



「ーチッツ。」


満流は思わず舌打ちをした。あの剣は輝夜でないと効力を発揮しないということが悔しかったのだ。このままだとまた輝夜に殺す事への恐怖を抱かせる…。満流の心境は穏やかではなかった。たった一つの案が頭の中に浮かぶ。



「創造主様に頂いた力で俺も銀の剣を作るしかないか。」


満流は覚悟を決めてそう言った。


「満流、それを今使うとあと2回しか……………。」


「だけど今使わねーといつ使うんだよ。」


「………………。」


それを言われると黙るしかない輝夜。そんな彼女を見て満流はフッツと笑って


「俺に任せとけ。お前は戦いの中でだけ耐えてくれ。」


満流にそう言われて輝夜は静かに頷いた。




そして満流はパドリスに向かって


「お前に罪はないけど、こうしないと俺たち人間が殺されちまうからな……………。すまない。」


そう言ってそのまま剣をパドリスにめがけて振り下ろした!



──────────ドスッツ!




鈍く硬い音が洞窟内で響き渡った。



輝夜は見ていられなくて目を背けてしまった。


────刹那


…………………………サラサラサラ……………


パドリスの身体は砂に変わり、その場に崩れ落ちた。



その残骸を見ている二人。輝夜は満流に視線を移し、


〝……………。満流だって同じだ。きっとこういう形で命を奪うのは…。なのに私ったら彼に責任を押し付けるようにして……………!〟


輝夜は命を奪うことへの恐怖を満流に肩代わりしてしまったということに気付いた。





ご覧下さりありがとうございます。無抵抗な人間(の姿をした魔物)を殺すことは誰でも抵抗があると思います。だけど相手は魔物。人間の血を吸いつくす吸血鬼だ。殺すか殺されるかの究極の選択を彼等は迫られたのだ。

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