第22話:輝夜に嘘を吐いて計画を決行する二人!
今夜は計画を中止することになり、ホッと一安心の輝夜。雨が強くなってきたし、雷が鳴るまでに先に少しでも寝ておけって満流に言われてそのまま自分の部屋で眠りについていた。
だが輝夜は知らない。
満流と悠一が、自分に黙って計画を決行しようとしていたことを……………。
ザァァァァァァ……………
雨が地面を強く叩きつける…。空は益々重みを帯びた雲が広がり、そのうち雷がなるだろう。
「チッツ。雨結構降ってるな。」
満流がぼやく。
「そうですね、もう梅雨入り確定でしょう……………。」
悠一が答える。
こうして二人が会話をしていても聴こえないほど、雨の音が大きく境内に響いている。それでも思わず熱く語る満流。
「だが、俺たちには雨なんて関係ないんだ!」
「シーッツ!満流、大きな声を出すと輝夜さんに気付かれますよ?!」
悠一に静止されて大人しくなる満流。
「そ…そうだな。アイツに気付かれたら意味ねーもんな。」
いつもと違う顔で表情をクシャッとする満流を見て悠一は思った。
〝はぁー、満流は本当に輝夜さん中心な人だな。〟
正直それでも満流が羨ましかった。だが輝夜のために自分の気持ちを隠し戦いに挑む決意をしている悠一。
いつまでも空を見ていても埒が明かない。
「さて、行きましょう、満流。」
そう言って悠一は雨の中を傘も差さずにふわりと飛び出した。満流もそのあとに続く。
二人はこの激しい雨の中、雨粒に濡れずにいられる。
それは二人があの〝無〟の空間に行って本来の力の開放、この雨粒から身を護る力は本来の力だ。自分の身体の周りを雨から身を護るという小さな結界を作ることで可能となっている。
そして二人は更に本来の力である〝身体能力の強化〟も開放。走るのも今までよりも早く、飛び跳ねるのも今までよりも何倍にも飛び跳ねることが出来る。つまり、ジャンプするだけで高層ビルの屋上へ行くことさえ可能だ。
これは輝夜も同じこと。ただ、実際に使うのは今夜が初めてなので二人は半分ワクワクしていた。
元々走り高跳びの選手である満流は足腰を鍛えているから走るのも早いし持久力もある方だが、それにプラスでこの能力を持っているということだ。
この能力のおかげで、本来なら30分かかる距離を二人は10分かからずに到着した。
場所は2回奴らに遭遇したあの不気味な雰囲気のあの公園だ。
〝きっと今夜もここにアイツらの誰かが来るだろう……………。〟
そう見込んでのことだ。
しばらく二人は公園で座って待つ。
慣れない力に身体が追いついていなかったのだろう。すぐに回復するが、それまで立っているのは少し辛かったようだ。
〝元々俺をおもちゃ呼ばわりして突っかかってきたんだ。間違いなく輝夜がいなくても俺を狙ってくるだろう。〟満流はそう考えていた。
雨が激しく降り、見辛くはあったが、ほどなくして2匹のコウモリがやってきた!
2匹のコウモリたたいは公園につくと人間の姿になった!
────現れたのはケドリスとパドリスの双子だった。
〝チッツ。あのキモイ奴らか。〟
満流は内心そう思った。
双子は見た目は華奢で女性のように見間違うような長めの髪をしている。
「満流…。あれがそうですか?とても美しい女性ですね。」
悠一がそう言った。完全に女性だと思っているようだ。
「あぁ、悠一。あれは双子で男だ。しかも自称恋人同士だそうだ。」
満流が呆れた様子でそう言った。
「────え!」
と、大きな声を出しそうだったので満流は悠一の口を思わず手で塞いだ。
「シーッツ。他に仲間が現れたらこっちが不利だろう?」
「………………すみません。あまりにも、その…、衝撃的な内容でしたので……………。」
悠一がすまなさそうにそう言う。こういうのは悠一も初めて見聞きしたのだろう。
「ああ、だろうな。どう見ても女にしか見えねえ……………。」
「あの…、彼等を倒すんですか……………。」
「ああ見えても吸血族だ。」
冷静に答える満流。見た目に惑わされている悠一。
二人でコソコソと話をしているのをどうやら双子は気付いたようでコッチに向かってきた。
「────チッツ!どうやら気付かれたようだ!」
「わかりました。覚悟を決めます!」
そう言って二人は戦闘態勢へと突入した。
そんな二人を目の前にしながら双子はケロリと笑って言う。
「オモチャが増えた…。それに女はどこだ?」
そう言って二人は周りをキョロキョロ見回した。
「ヘッツ、俺たちだけで遊ぶので充分じゃん?」
そう言って満流は飛び跳ねてケドリスの上空へと浮かび、そのまま切り込もうとした。だが、華奢で弱っちく見えても相手は吸血族、そんな簡単にはやられてくれない。
満流の蹴りをサッツと逃れた。
「へえ、見た目とは違ってやるじゃん。」
そう言って満流は完全にケドリスに的を絞った。そして悠一はパドリスに狙いを定める。
「そうですよ、あなた達の相手は僕らで充分なんです!」
そう言ってパドリスの背後に回り、腕を絡めてパドリスの首を絞める。パドリスは初めて見る悠一に対して見た目から判断して油断をしてしまったのだ。
そう、悠一は満流に比べると細くてヒョロヒョロして、更に少し背丈が小さいからだ。
「────クッツ…!」
パドリスは苦しそうにする。それを横目で見ていたケドリスは咄嗟にパドリスの元へと駆け寄ろうとする。
だが満流が追いかけてケドリスを捕まえる!
「離せっ!このっ!…パドリス!、パドリス!」
そうもがいている時、ピシャ────ァァァァン!
稲妻が夜空を裂いた。
その閃光の中に男が立っていた。
「彼等を離してもらおうか。」
その男は決して低くはない声だが威厳に満ちた言い方をした。
「────ザンテ様っ!」
双子が苦し紛れにそう言ったので満流も悠一もその方向を見た。
ザンテと呼ばれる男は見た目は細くもごつくもないがしっかりと鍛え上げられた褐色の身体をしていた。目は金色で髪は燃えるような赤だ。上半身は裸にベストを羽織り、足首が縛られた独特なズボンを着用している。
まるでアラビナンナイトのような姿だ、と満流と悠一は思った。
ご覧下さりありがとうございます。輝夜の為に嘘をついて二人で計画を決行しようとする満流と悠一。やってきた相手はあの双子のケドリスとパドリスだったので楽勝かと思いきや…?!




