第38話 再びの旅立ち
「……はい、それではこちらの依頼の受注を承認します。以前説明済みですが、こちらは、高難度の地図作成依頼を受けてくださるパーティ限定で支給しているテレポートジェムです。危ない!と思ったら使ってくださいね。"鋼"ランクの初仕事、頑張ってください!」
テレポートジェムを受け取ったカイレンが、ギルドから出てくる。
「さ、行こうぜ!」
六人は再び、エアロムントの北門を超え、危険なエリアへと進み始めた。
――数日後――
「これで……最後!」
セリが剣を振り下ろし、最後のヴォルグを倒す。
「苦戦せずに行けたな。やっぱりあの時よりも強くなってるのを実感するよ」
カイレンの言葉に、アシュレイが付け加える。
「それに、以前に比べて魔物自体の数も少ないし、中には負傷している奴もいた。きっと、僕らより一足早く出た"風の勇者"達のおかげでもあるかもね」
「いやー。お前たちと一緒だと、戦闘も楽でいいな!」
ザンドが言うと、スリーズが小突く。
「よく言うよ……。いつもザンドが『ここであったが百年目!』とか言って、魔物の群れに突っ込んでいくから無駄な戦闘が多かったんじゃないか……。それに、戦闘中も意味のわからない技の名前を叫んでるから、余計に疲れるんじゃないか?」
「あーなんか想像できるな……」
スリーズとセリが冷たい視線を送ると、ザンドはカイレンの肩を掴む。
「何言ってんだ!相手を倒すための動きの型を必殺技として決めておけば、いざって時も、安定して攻撃できるんだよ!それに、必殺技の名前はカッコよく叫んでるから意味があるんだ!なぁ、カイレン?」
「ああ!必殺技ってのは技名を叫ぶからこそ強くなる!」
ザンドとカイレンの熱弁に、リュミナは目を輝かせ、アシュレイは顎に手を当てる。
「……そうか、確かに強い動きを技として固定、安定化させるというのは中々合理的……」
「騙されないで、アシュレイ!別にわざわざ必殺技を叫ぶことの理由にはならないから!」
一行は笑いながら先へと進む。いつの間にか一週間が過ぎていた。
「この先が、紫の森だよ。最近の"武器狩り"の目撃情報はほとんどがこの森の中でのものだ。奴らの住処になってると見ていいだろうね」
アシュレイが、目の前に広がる、瘴気が溢れる紫色の森を見つめる。
「リュミナ、体は大丈夫?」
スリーズがリュミナの方を見る。森に近づくほど、リュミナは体調が悪くなるのを感じていた。
「ザンド!……やっぱりこの子かなり参っている!」
「やっぱりか……。エルフは、人間以上に周りの環境に敏感だっていうもんな……。よしわかった!スリーズ、お前はリュミナと一緒に、ここで留守番だ。"武器狩り"を倒したら迎えに戻る。何、この辺の魔物はほとんど、俺たちや、先に出発した勇者パーティが倒してるから、森に入らなきゃ安全だ」
スリーズは反対しようとザンドに詰めようとするも、足がもつれ、逆にザンドに支えられる。
「無理するな。動きが全然違うのは、近くで見てた俺ならわかる。お前だってハーフエルフだ。きついんだろう?俺たちが倒すべき目的は"武器狩り"だけじゃない。ここでリュミナを守ってくれ」
スリーズがゆっくり頷くとザンドは彼女の頭を撫でる。
「じゃ、行ってくるぜ!」
リュミナとスリーズは、森へと入っていく四人を見送る。彼らが無事に帰ってくるのを祈りながら。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
第38話「再びの旅立ち」いかがでしたか?
ついに、'武器狩り'の住処と思われる紫の森へと辿り着きました!しかし、リュミナとスリーズにとってこの森の環境は相性が悪かったようです。
二人が抜け、四人になってしまった一行は強敵、'武器狩り'を討伐することができるのでしょうか...?
次回「折れない剣」月曜日投稿予定です。お楽しみに!
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