表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星霜エルフの追想録  作者: 古賀月 蜜柑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/52

第34話 再会

 暗い洞窟が一瞬にして明るくなる。ガルムの吐いた炎はリュミナの横を通り、後ろの壁を破壊する。

 

「大丈夫か!リュミナ!」

 

「うん!」

 

 ガルムが炎を吐き終えた一瞬の隙に、リュミナが懐に入り込む。しかし、リュミナの刃を軽々と飛び越えた魔物は、鋭い爪を光らせる。

 

「でりゃあー!」

 

 カイレンが素早くガルムに飛びつき、渾身のパンチで魔物を吹き飛ばす。しかしガルムは、軽い身のこなしで柔らかく着地し、すぐにまた走り出す。

 

「また……。中々いいのが入れられない……」

 

 素早く動き回るガルムは、リュミナたちの攻撃をことごとく受け流し、ダメージを感じさせない。

 

「……だったら……」

 

 リュミナは魔法の矢を生成しようとするが、まだ魔力は戻り切っておらず、微かに形取られた矢は途中で離散してしまう。その光景を見たカイレンが驚く。

 

「!?リュミナ、魔力が戻ったのか?」

 

「うん、さっき森に行った時に、治療してもらったんだけど……まだ戻り切ってはいないみたい!」

 

「それなら……!」

 

 カイレンはポケットから薬の入った小瓶を取り出す。

 

「リュミナ!これ、魔力回復薬だ!」

 

 カイレンがリュミナに投げ渡そうとするが、空中に投げられた小瓶は、素早く飛びついたガルムによって破壊される。

 

「くそっ!」

 

 カイレンが小瓶をもう一つ取り出すが、ガルムはそれにも素早く反応し、目を離さない。

 

「それなら……!」

 

 リュミナがカイレンに近づこうとするも、ガルムの吐いた炎が二人を分断し、近づくことができない。

 

「ぐっ……。これじゃ渡せない……。回復薬はこれが最後の一つなのに……」

 

 二人は動き回り、回復薬を受け渡そうとするが、ガルムが常にカイレンとリュミナの間に入り、的確に二人を近づけさせない。その時、リュミナの来た道から一本の剣がガルムめがけて飛んでくる。ガルムはそれをひらりと交わすが、その一瞬を二人は見逃さない。リュミナは受け取った回復薬を飲み、再び魔法の矢を生成する。何とか一本、矢を作ることはできたが、それで限界なのかその場で膝をつく。さらに、生成された矢は不安定で、矢尻から徐々に形を失っていく。急いで矢を構えるが、ガルムの不規則な動きは、リュミナに狙いを定めさせない。

 

「俺が隙を作る!」

 

 カイレンが飛び出して、ガルムの動きを封じようとするが、今までの戦闘での疲労からか、ガルムに追いつくことができない。

 

「このままじゃ。矢が……」

 

 その時、セリが飛び込んできて、ガルムの前に立ちはだかり、刀身の折れた剣の腹で魔物を受け止める。鋭く放たれた矢はガルムに直撃し、そのまま吹き飛ばす。しかし、消えかかっていた矢に、魔物を仕留め切るほどの攻撃力はなく、ガルムが空中で着地の姿勢をとる。リュミナは唇を噛み締める。もう魔法の矢は出せない。

 

「ここだぁー!」

 

 着地の瞬間、カイレンが魔物の腹に渾身の一撃を叩き込む。ガルムは反応しきれずに、洞窟の壁に叩きつけられた。

 

 洞窟内が激しく揺れる。壁に叩きつけられた魔物は再び立ち上がる。しかし、その目にはもう、敵意がなかった。

 カイレンもそれを感じ取ったのか、戦闘姿勢を解き、座り込んだリュミナとセリに手を差し伸べる。立ち上がった三人に、こちらへ来いと言いたげに首を振ったガルムは、そのまま洞窟の奥に歩いて行った。


「全くもう!一人で勝手に、こんなところまで来ちゃうなんて!」

 

 ガルムを追いながら、カイレンに事情を聞いたセリとリュミナはぷりぷりと怒る。カイレンは、リュミナやセリへの償いとして、妖精の森で、リュミナを治療できる泉の水を、この洞窟で、セリの剣の代わりになるものを、それぞれ探すために、一人でエアロムントを出たのだ。

 

「私たちみんな、すごく心配したんだよ!」

 

「ごめん……。もうみんなを危ない目に合わせたくなかったんだ」

 

「気持ちは分かるけど、せめて相談はしてよね。私たちは仲間なんだから」

 

 話しているうちに、洞窟の最深部に辿り着く。そこは今まで以上に神聖で、不思議な力に満ちていた。ガルムはカイレンの服を引っ張り、最深部の空間の中央へ案内する。カイレンが案内された場所に立つと、目の前の台座のような部分から、光が立ち込め、ぼんやりと剣のような形になる。カイレンがそれに手を触れると、光が散らばり、大半は壁をすり抜けて洞窟の外へ、少量は、セリの持っている刀身の折れた剣に取り憑き、みるみるうちに刀身が元通りに復元される。それを見届けたガルムは大きく吠えると、どこかへ姿を消した。

 

「よかった!レプリカでも、器として認められたのか!他は……やっぱりこうなったか……。みんな、外に出よう。歩きながら事情を話すよ」

 

 そう言ってカイレンは、元来た道を戻り始めた。


「俺、エアロムントで、セリのお兄さんが使っていた剣について調べたんだ」

 

 歩きながらカイレンが、今までに調べたことを話し始めた。

 

 昔、セリの兄もここを訪れていたこと、そして、"星の剣"と呼ばれる剣を手にしたこと。しかし、その剣は器だけのもので、肝心の力の大半は、まだ封じられていて、それを今、カイレンたちが解き放ったこと。

 

「原理はよくわからないんだけどさ、昔の文献とかによると、この洞窟は、"星の剣"を手にするものを試すんだって。ほら、あのガルムとか、変な夢とか」

 

「確かに!いきなりセリがいなくなって、すごく怖かった……」

 

「私も、それでカンカンに怒った団長に襲われたんだ。死ぬかと思ったよ……」

 

 リュミナとセリも思い出して身震いする。


 外に出ると、スリーズとアシュレイが不思議そうに地面を見ていた。

 

「よぉ!アシュレイ……ってスリーズ!?」

 

 カイレンが驚いて飛び退く。スリーズはやれやれといった表情で首を振り。アシュレイは「そんなことより!」と、カイレンを叱り始める。

 

「それより、これは何なんだ?これが落ちてきてから、魔物が逃げるようにどこかへ行ってしまった。確認しようにも、地面から引き抜けないんだ」

 

 スリーズが指を指した先には、レプリカではない、"星の剣"が突き刺さっていた。


「よかった。あのオークのところから飛んできたみたいだ。あのままあいつに使われてたらどうしようかと思ってたよ」

 

 そう言ってカイレンは、突き刺さった剣を引き抜く。それを見て驚くスリーズとアシュレイに、リュミナとセリが説明する。

 

「……なるほど。つまり、その試練を突破したカイレンが、剣に認められたってことか……」

 

 アシュレイが不思議そうに剣を見つめる。

 

「しかし……セリはいいのか?あれは君の兄の……」

 

 スリーズが言いかけたのを、セリは首を振って答える。

 

「私は、使い慣れたこっちの剣が戻ってくれたから、それでいいの。カイレンが命懸けで直してくれたようなものだし、試練はカイレンが突破したようなものだったもの」

 

 そう言って、刀身の戻った剣を大切そうに撫でる。カイレンは少し照れたように顔を赤くし、アシュレイがそれを茶化すと、みんなの間に笑いが弾けた。

 

「よし!帰ろうか、エアロムントへ!」

 

 五人は、エアロムントに向けて歩き出した。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 第34話「再会」いかがでしたか?


 ついに再開したリュミナ達とカイレン!さらに、強敵、ガルムにも認められ、遂にセリの兄が使っていた伝説の武器"星の剣"を手にしました!


 新たな力を手に、一行はエアロムントへと帰還していきます。


 次回「新たな刃」金曜日投稿予定です。お楽しみに!


☆ブックマーク・評価・感想をいただけると、投稿主の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ