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星霜エルフの追想録  作者: 古賀月 蜜柑


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第24話 新たな旅立ち

「はい、それではこちらの依頼の受注を承認します。あと、こちらは高難度の地図作成依頼を受けてくださるパーティ限定で支給しているテレポートジェムです。何と、ギルド長が直々に支給するように呼びかけてたんですよ。危ない!と思ったら迷わず使ってくださいね。命大事に、です!"赤銅"ランクの初仕事、頑張ってください!」


 受付嬢が承認の印鑑を押し、カイレンたちはいよいよ、ヴェンティア北部への冒険を開始した。


「さて、ヴェンティア北部って言ってもかなり広いからな......初めはどこに向かおうか?」


「そうだね……。ヴェンティアは北部に進むほど手強い魔物が増える。いきなり真北に向かうより、まずは東方面に向かって、そこから徐々に北を目指すルートはどうかな?」


 アシュレイが地図を四等分するようになぞり、次に右上のエリアを指で囲うように動かす。


「わかった、東だな。それじゃみんな!気をつけて行こうぜ!」


「おー!」


 ーー旅立ってから数日後ーー


「いってー。さっきのはちっとばかしヤバかったな……」


 リュミナは怪我をしたカイレンの腕に傷薬を塗る。


「本当に信じられない。何でヴォルグの群れに突っ込んで行っちゃうの?」


 セリが注意すると、カイレンは申し訳なさそうに頭を下げるが、その後すぐに顔を上げる。


「でも見てくれよ!今回の戦利品は凄いぞ!ほら」


 そう言ってヴォルグに襲われていたヤギのような魔物、ゴートの角を大事そうに見せる。


「あいつはスターゴートっていう少し特殊な、珍しい魔物でな、角の内部がこんなふうに綺麗なんだ」


 そう言って角の断面から内部を見せる。それは魔物の脈のようなものが夜の星空のように輝き、散りばめられた美しいものだった。


「ヴォルグなんかに喰われたら、この角も傷ついて価値が落ちちまう。だから無理してでもヴォルグを蹴散らす必要があったんだ……。それに、3人ともすごかったぜ。あのヴォルグたちの連携をものともせずに倒しちまったんだからな」


 褒められたのは嬉しいが、開き直ろうとするカイレンに少しムッとしたリュミナは、包帯を巻く手を少し強める。


「痛っ!リュミナ、もう少し優しく……。はい…すみませんでした」


 すると、近くで地図の記録をしていたアシュレイが立ち上がる。


「お待たせ!この辺りの記録は終わったよ。さあ、先へ進もう!」


 しばらく進むと、リュミナが、地面に落ちているキラキラとしたものに気がつく。


「何だろう、これ?」


 拾い上げたそれは、金属でできた何かの紋章の一部で、鋭い目をした鳥が刻まれていた。


「カイレン!これ何だか……」


 リュミナがカイレンを呼ぼうとしたその時、


「みんな、こっちに来てくれ!珍しそうな物を見つけたぞ!」


 カイレンの方が少し早く、大きな声でみんなを呼ぶ。後で聞いてみようと、リュミナも紋章をポケットにしまい、カイレンの呼ぶ方へ向かった。

 

「ほら、あの崖の上に咲いている花、見たことあるか?もしかしたら新種の花かもしれない……。だとしたらいくらで売れるか……」


 そう言ってカイレンが近くに聳える崖の中腹を指差す。その花を見たリュミナは小さく微笑む。


「ああ、あの花は……。ちょっと待っててね」


 リュミナは、カイレンに荷物を預けると、軽い身のこなしで崖をヒョイヒョイ登っていく。彼女はその珍しい花を、故郷の森の近くで見たことがあった。崖の中腹まで登ったリュミナは、花に実がついていることを確認する。


「よし、実がついてる。これなら……」


 そうして彼女は実が纏っている魔力を手で払い、


「いくよ!見てて!」


 そう言って大きな実を一つ、崖の下にいるカイレンたちの近くに落とす。落ちた実が割れると共に、中に溜まっていた魔力が光を放出し、その光が形を形成し、短い映像として再現された。


 その映像の中では、旅人と思われる男性が独特な装飾が施された一本の剣で、小型の魔物を次々と倒していた。彼の剣術はどこかセリの動きに似ているように見える。そしてその背後には大きな人型の魔物が、小型の魔物たちを従えながらゆっくりと男性に近づいていた。男性が振り返り、その魔物に気づいて驚いたような表情を見せた瞬間、魔力の光が離散し、映像が途切れ、元いた林の景観が戻ってきた。


 リュミナが崖からピョンと降りてきて、固まっている三人に、得意げな表情で説明する。


「びっくりした?あれは記憶の花って言って、実をつける時に周りの魔力を吸収する特徴があるの。で、その実が割れると、吸収した時の周りの魔力を映像として、あんな風に見せてくれるんだよ」


「あ、ああ……。びっくりした。びっくりしたけど……それ以上に……」


 つぶやいたアシュレイがセリの方をチラリと見る。


「リュミナ!今の映像、どれくらい前に記憶されたのか分かるか!?」


 カイレンは必死な顔でリュミナの肩を掴む。いつもの彼ららしくない反応に、リュミナは困惑した顔で答える。


「ええと……。記憶の花は場所や個体によって花を咲かせる期間や実をつける時間が異なるんだ。だから正確な情報はわからないけど……今の実の大きさや、放出された魔力だと、1,2年前ぐらいかな?」


 リュミナが答えると、後ろで固まっていたセリがぽつりと一言だけ発する。


「お……お兄ちゃん……?」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 第24話「新たな旅立ち」いかがでしたか?


 前回、ようやくギルドのパーティランク制限の緩和により、ようやくリュミナ達の新たな旅が始まりました!


 最後、記憶の花が映し出した、セリの兄の記憶...。ついに見つけた手がかりに、セリは何を思い、どんな行動を起こすのでしょうか?


 次回「手がかりを追いかけて」水曜日投稿予定です。お楽しみに!


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