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種族の垣根を超えて…

東の砦にいたエウルーガ・ドラゴンであるゲルルを痛め付けて空間に閉じ込めて回収した俺達は、意気揚々とコウテイアホウドリ族の国へと帰還した。


そこで、ゲルルから彼らに謝って貰うことを条件にひとまず許すことにしたのだ。

何せもうここまで痛め付けたので俺としては、それなりに気は晴れたし。


「み、皆さん…悪さをしてすんませんっした」

謝りかたは正直納得したくはないけれど、本人なりに一生懸命謝ったのだろう…


「フム、まさかこんな短時間で戻ってきてこのような方法で連れて来てしまわれるとは…まあ彼なりにこうして謝ってくれたのだから、ワシらも許そうではないか」

ギルド長の意見を、コウドルを含めた全ての国民がそのまま肯定する意志を示す。


「それにしても君たちはどうしてそんなに強いんだい?どんな過酷な修行をすればそこまで強くなれるのか私にも教えてほしい!

そうして力をつけた上であのとき怒ってくれたエルフの少女・リオンに素直に謝って許してもらい、願わくば正式に修行相手になってもらえるようお願いしたいのだ!」


「コウドルは何をしたくてそんな強くなりたいの?」


「……私はどれほど他の種族からお気楽なコウテイアホウドリ族とバカにされていたとしても、強い敵に立ち向かうことができる種族であると世界中に示したいのだ!でなければ、言われ続けるだけで終わるなど悲しいではないか‼︎」


「……」

彼の同類と俺もそうだがルガースとラーナ、そして何か思うことがあるのかゲルルも押し黙り、彼の意志を聞いて押し黙る。


「そうか、君は君なりに考えてたってことなんだなコウドル…じゃあ、あることを教えるよ

その代わり俺から君に一つだけこなしてほしい目標かあるんだけど、やってみてくれないか?」


「それをすれば私は……いや、コウテイアホウドリ族は強い種族だと示すことができるのかい!」


「それはコウドルの意志次第だよ…どうする?」


「もちろん是非ともやらせていただきたい‼︎その望みを叶えられるのなら」


「あー……オレにも教えてくれねぇか?ナルガス」


「「「ゲルル!」」」

これは予想外だった。まさかゲルルまでもがそれを聞いてくるなんて…


「ナルガス達にもまだちゃんと伝えていなかったが俺は『古の3巨人』の一人だ

いずれ訪れるであろうこの世界の最後の裁きをする為にいる存在だった……だが俺は、魂だけをこのドラゴンに移し、お前達が住んでいる世界とは別の所からきたんだ」


「はぁ⁉︎」

世界の終わり?なにそれ、神様自身がするんじゃなかったの!


「オレは巨人の時に満たされていたその強さのせいで己の慢心に気づかないまま、このエウルーガ・ドラゴンと呼ばれているモンスターの体を使っても自分に負けない相手がいないか探したかった…

そうでもしてなきゃ、あのときナルガスを殺すように命じてきたルシフェルへの鬱憤をはらしようがなかったからな‼︎」


「…何故俺を殺そうって思ったんだ?以前俺の持つスキルを使って神様から聞いた話だと、そいつは元人間で俺を自分の野望を叶えるため利用しようと企んでいたとは聞いてたんだけど」


全員「⁉︎」


「ナルガス、お前は神様と会話できるってのか!」


「ナルにぃ、まるで天使さまみたい!」


「う、うん!天使って柄じゃないと思うけど……とりあえず、その人が俺の事を攻撃するだけの理由があったって言うんだね?

相手がその気なら俺も受けて立つよ!そのせいで俺達もいろいろとかき回された事があったからね

1発[オレイ]くらいはさせてもらわなきゃなぁ……」


コウドル達「ヒェ⁉︎」


「ナルガス落ち着け~?」

この2年間の間で俺の素性を知ったルガースは、つとめて冷静に俺の事をなだめてくれた。


「ご、ごめんルガース…じゃあゲルル!コウドル達と一緒に俺の知ってる方法で強くなったなら、共に戦ってくれないかな?

俺はこの世界のみんなと仲良く暮らせる為に、前世である地球から神様に転生させてもらえたんだから!」


「転生者だったとはな……良いぜ、一緒にいってやらぁ!この手で奴をぶん殴れるんなら喜んで協力させてもらうぜ‼︎」


「…どうやらあなた方はそれぞれ複雑な事情があるようじゃな?ワシらコウテイアホウドリ族も国の未来を守っていただいた訳ですし、恩を返せるためにも協力致しましょう」


「ありがとうございますギルド長!」


「それでは早速私達に教えて頂きたい!何を知って強くなればよいのかを」

俺はさっそく、コウドル達の要求に答える事にした。


同時に俺達を都市ゲラルドまで連れていって欲しい事と、イェルガー族はもう他種族を食う必要は無くなった事。

そして、ゲラルドを中心として全ての種族が集い学ぶ所…学校ができている事を全ての国に伝えてほしい事などを俺が望むと、ギルド長がすぐさま彼らの中で速く遠くに飛べる者達にそれぞれ伝書を持たせ、彼らは方々に散って行った。


ある者は竜族が多く暮らせる土地に。


ある者は深い森の中で暮らすエルフの土地に。


ある者はドワーフの暮らす鉄鉱石鉱山に。


ある者は狐族の住む霧に包まれた隠れ里に…


そして後に、都市国家であるゲラルド・ゼンドラルを始め、世界中に暮らしている猫族と他の異種族達全てに向けてこの知らせが届けられる。


「…じゃあ俺達も始めよっか!ルガース、ラーナ。手伝ってくれないかな?」


「おう、当然だ!」


「がんばる~!」

今日からゲルルやコウドルを始め、この国でも己の力量を見るために必要なステータスの開き方、そして自身に眠るスキルの覚醒と取得方法の秘密を伝えていった。

またこの国にも、単騎でキリング・ミール等のモンスターを倒す為の特訓を開始した。


それから5年間俺達が伝えながら強くなっていく間に、それぞれの国にも些細な変化がおき始めていく。



・都市ゲラルドにて


コウテイアホウドリ族の便りを受け取った国王は大いに興奮しながら国中…そしてルードスの町までおふれを出して、緊急召集令をかけ近辺の民全てが一斉に揃った所でのべ伝えた。


「ゲラルドの国民とルードスに暮らす皆のもの!そして、南北の森にすんでおられるスライム族とゴブリン族達!わしの突然の呼び掛けに答えてくれて誠に感謝する‼︎

今日我々にめでたい知らせを運びに来てくれたコウテイアホウドリ族の方から、イェルガー族が多種族をもう食わないという事…

そしてなんと!我が国総出で取り組んでいるルードス学園の事を伝える文が届けられたのだ!」


「すげぇ‼︎そうだ…ナルガスだ!きっとあいつが広めてくれたんだ!」

ヴォルスは大声で彼の事を称賛する。


「彼ってば……本当にどこにいってもいろいろやってくれちゃうんだから!もう最高‼︎」

リオンは感激のあまり心を躍らせていた。


「本当に彼には敵わないや…力以上に行動力で僕らに勇気を与え続けてくれている…」

エリオルは、心底尊敬する意志をもってナルガスを称えている。


「もうナルガスと戦うのも難しくなりそうねウチは…

でもそれでも嬉しい…こうして彼が元気でいるのが分かるとウチも元気になれそうだから!」

シエッタは、遥かな力の境地に至っているであろうナルガスが今も元気でいてくれている事が、心の支えになってくれていると実感した。


「彼が存在してくれたおかげで、私とルネーガの想いを確かめるきっかけづくりになって今は付き合えるようになった…この感謝は決して忘れない!

だからちゃんと無事に帰ったら必ず顔を見せてよね?ナルガス!」

今やルネーガと交際するほどの仲にまで進展していたサラティは、感謝の気持ちを伝える日が来るのを待ち遠しそうにしていた。


「ナルガス、オイラは将来サラティ結婚しようと思う……だからその頃にはせめて帰ってきて欲しいかなぁ

今はもうビーとヘルスは完全に夫婦になっちゃって北の国で仲良く暮らしてるし…」

ビーはなんと、早いうちからヘルスと共に家である巣作りと子作りに勤しんでいる為、これ以上一緒にいられない事を知りショックを受けていたルネーガ。


だが今は、自分が選んだ一番そばにいて欲しい相手であるサラティと幸せに暮らせる事を密かに心を躍らせながら、いつか結婚する姿をナルガスに見てもらいたがっていた。


「ナルガス!君が僕に隠されていた素質を見いだしてくれた事、そして…」


「私とドルファを出会わせてくれて本当にありがとうございます!ナルガス様もどうか無事に帰ってきてくださいませ…」

ドルファとドーランに新たな道と出会いを与えられるきっかけをつくってくれた彼が、無事に戻ってくることを切に願った。


「ナルガス、あなたは両親が私の生活を守るために今使っている力を隠し、静かに暮らせるようにしてくれていた事をこの霊力真典で書き記した陰陽師の呪術で過去を渡る力を身に付けた時に知ったわ……

私の事を呪われた狐族として家族と一緒に狐族の里から追い出された所を、木陰に隠れてその光景を静かに泣きながら見ちゃったから……でももう良いの、私は今住んでいるルードスが大好き!

みんなと会話できたこと、そして追い出さないでいてくれた町のみんなやナルガス達が今の私にとって一番の家族だから!

だから絶対無事に帰ってきてね!ナルガス」

ルーナは霊力の符を自ら作成した五芒星に入る事で見てきた過去の真実を知ってから、毎日夜中に涙を流していた。


だが他人との接し方がよく分からなかった自分を受け入れてくれた町のみんなや己の隠されていた力を見出してくれたナルガスがいたことを感謝し、日々彼を家族同然として帰りを待ちわびる…


「ナルガス兄さん…私コルナはゴーフと一緒に北と東の土地を旅して、そこで出会うモンスター達の中で心を許せる仲間を探しに行こうと思うの

そしたらまたここに戻ってくるから、その頃までにはちゃんと帰ってきてよ?ね、ゴーフ!」


「ああコルナ!これから何があっても、俺はお前と一緒にいる!

良き仲間を見つけ、みんなの助けになってみせる!」

コルナとゴーフは、他のモンスター達の中で仲間になってくれそうな者達を集め、将来この国を守る事を決心した。


「「ナルガス…待ってる(わ)ぞ」」


「ナーにいちゃ?」

両親は信頼しきった顔のまま天を仰ぎ見て、ただただ息子の帰りを心待ちにしながら新しい命として生まれた間もなく2歳になる男の子…ラオーガを抱いていた。


「お兄ちゃん…私は今お兄ちゃんが帰るまで校長をしてくれる事になったゼムノスや臨時講師をしてくれているライさん、ジルカさん、メルマさん達と一緒に学校の先生を頑張ってるよ!

それに今はリノッコやコロッポ、ドライアドのドレアが生徒として来ててみんなと信じて待ってるからね?未来の旦那様♪」

レダは自身の尻尾をご機嫌に揺らし、教師のままナルガス一筋で彼が帰ってくるまで信じて待つ事にした。


「ナルガス、俺は町長としてルードス学園を作る事ができて本当に嬉しく思っている

今来てる生徒達は猫族が少し多いけどよ、俺の隣にギウルがいてくれてるお陰で、生徒達に実践訓練と冒険者になるための大事な話を学園でしてるんだ!

ギウル……これからも力を貸してくれよ」


「当たり前だジグル、我が友よ!」

ジグルとギウルはすでに、深い友情で結ばれた親友となって共に力を合わせ、ルードス学園を支えていた。


「ナルガス殿……そなたがイェルガー族を救われたことを神から聞いたとき衝撃過ぎて思わず泡を吹いて気絶をしてしまっておりましたが、今やそれ以上の事をされたのですな…

ならばあなたに敬意を捧げた事、一片の後悔もございませんぞ!

それと……ジルカとメルマ、二人が共に我が子を身籠られた故必ず挨拶に来て下され」

ライの両隣にいる二人が顔を朱色に染めつつも、一緒に彼が帰ってくることを切に祈っていた。


「ナルガスさん…あなたの行われた功績は全て賞賛に値するものでしたので、今後何代にも渡り語り継げて頂きます!

もちろんあなたの許可などとるつもりはありません!

何故ならあなたの閃きと示してくれたスキルという可能性のおかげでここまで国が栄えたのですから、せめてこのくらいはさせて下さいよ?

もしこの国を攻め落とす者が現れたような時代が来たなら力を合わせて冒険者達と共に国を守ります!

あと、以前は新米だった受付嬢のロアは立派な職員にまで育ってくれました…

どうか戻ってこられた際には、私のそばにいる彼女にも元気な顔を見せてあげて下さい」

ギルド長のミアがナルガスの功績を誉め称えつつそばで感動して泣いているロアの背中をさすりながら、遠くで頑張っているナルガスの帰りを待ちわびていた。


「ナルガス……初めてワシが君を王候補に突然任命したのには、実は訳があった

君は全ての種族と分け隔てなく接するだけの優しさと強さがあったからだ!

故に君ならば、善き王になってもらえると確信して選んだのだよ

更なる成長をして帰ってきてくれる事を心より待っているぞ?ナルガス…」



・都市グラゼンドにて


そしてこちらでも、教会の中でまだ見ぬナルガスをすでに全種族の救世主として崇め、導きの出会いを切に望んでいる一人の竜族の神官・ロウガの姿があった。


「おお!神から遣わされた選ばれし転生者・皇なる様……いや、ナルガス様!こちらの世界に来られてからのあなたの働きがこの国にも良き影響を与え、国民達に少しずつ変化の兆しを与えて下さっていたのです!

この日まで権力による横暴で我らと対立していた王族とその側近が、自身の浅はかな行いを省みる事をしないと悟った彼の部下や国民、更には奴隷として働かされていた猫族を含めた全ての種族が力を合わせ、愚王を裁かれました…

今は公平に民を見る王が新しく選ばれ、この国にもゆっくり平和が訪れつつあります!

神よ、御心(みこころ)ならばもし彼がお越しくださる時があればぜひお立ち寄りして頂けますよう、口添えして下さいませ……」

まだ出会った事がないにも関わらず、ナルガスへの深い感謝を神の祈りと共に捧げているロウガを見た神。


ここまで大きな働きをしてくれたナルガスに対して感謝し、その上で地上の民全てを祝福した。


「まったく!無自覚とはいえ俺の至らなかったところを見事にあいつは果たしてくれやがって……本当にあいつを選んで連れてきてよかったと心のそこから思うぞ」


「神様、良きお方をこちらの世界はお招きできて誠に良かったですね!」

天界にいる神と天使長のグレニエルは、この日を祝福し共に喜んだ。


全ての種族と神様達がナルガスの偉業を共に讃えていた事を当の本人は知る事なくただひたすらに、コウテイアホウドリ族達が持つ能力の覚醒を促し、一人でも多く大型モンスターを倒せる実力者集団を作ってみようと毎日ワクワクしながら特訓をさせていた……

いつだかも確か言ったとは思いますが、今作はなろう読者様方がよく見ていたようなザマァ展開も復讐ものでもありません。

「許し合い」と「和み」をテーマにして物語を進めております。それでも、飽きつつも読んでくれている方が一人でもいる限り最後まで書き切りますのでどうか温かい目で見てやって下さい。

次回は9.26日中にあげれる分だけあげて参ります!

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