ルーナの能力
気絶したルーナを抱いて運び、入口付近まで戻った俺。
空間操作で二人のくつろげるスペースだけ囲んでから、約一時間くらい経った気がする。
今も変わらず、ワラワラと空間の外をぐるりと取り囲んでいるハニワ達が目の前に佇んでいた…
「参ったな、ルーナが目を覚ましてくれないと俺も迂闊に動けないんだが…おーいルーナ~?起きてくれ~!」
「こ~ん……」
「ダメだこりゃ!仕方ない、この間に俺も心身を休めておこう。」
ここの環境も慣れると何てことない気がしてきたと思うのは、やはり空間操作があったおかげなのだと俺は思い始めてきた。
全くと言っていいくらいに、どこも安全を確保できるエリアを探す余裕がないのだ。
「このまま二人きりで道が開くまでの間、こうしているしかできないんだろうか?
とりあえず食べ物を出して食うか!確か肉がここに……あったけども、なんとかして焼かないと」
俺は空間の上部分だけを開いてから、自前の火起こし道具と肉焼きのセットをする。
更に、自ら高く上にぶん投げたでかい肉を双剣ですばやく細かに切りつけてから、小さくなった肉と一緒に俺は着地した…だがその時!
コッツーン‼︎
「コ~ンッ!」
「あっいけね!ルーナの頭の上に落ちた肉が1個当たっちゃったよ…ごめんルーナ痛かった?大丈夫?」
「はれ?ナルガス私…キャー!まだあのこ達がいるぅ⁉︎」
ルーナが俺にさばりついてきたときいい匂いがしたので、俺は一瞬ドキッとした。
そのまま俺も手を回して抱きたい衝動に駆られるほど、狐族って思ったよりもいい臭いがする上に柔らかい毛があってすごく触りやす……いやいや‼︎ダメだ俺!
レダという相手がいるんだから、こんなところでこの子に欲情なんて出したらもうどこにも俺に居場所がなくなるかも知れない!
そんな考えが脳裏によぎったおかげか、冷静に会話できるようになった。
「大丈夫だよルーナ…今は俺が空間操作で壁を作ってるから入ってくることはない
それよりもどうするルーナ?俺は一応あいつらで戦う練習するつもりでいるんだけれど、ここに残っているか?」
「う~ん、私も扇子以外の武器はあまり持ってなかったからなぁ
できればここでまっときたいけど……なんでこんなに肉が落ちてるの?」
「あ、あはは…いつ食べるか寝るかしていいか分からないから準備だけしてたんだ!ちょうど肉を切り分けた所だったし」
「そっか、もしこのお肉を焼くんなら私が焼いてあげるよ?…こんな感じで」
なんと!ルーナの指先から青い炎が現れてそれを片手で持ってる肉へと近づけたら、一気に赤く燃え上がり、小ぶりに切り分けていたウリボア肉が…こんがり上手に焼けました~!(なんとなくごめんなさい)
「すっご‼︎えっ?ルーナって前からできてたの?」
「ううん、初めてあの魔石を食べた日からかな?……ねぇ、魔石を食べただけでなんでこんなことが起きるの?」
「う~ん、これは俺の家族とみんなの様子を見て感じたことだからはっきりとは分からないんだけど…
多分魔石は、それぞれの種族に隠された力を解放……と言うか、目覚めさせる為の物なんじゃないかなと最近強く思うんだ
ルーナは確か、魔石を一つだけしか食べてなかったんだよね?」
「う、うん!確かに私もそれからは本当に不思議な事ができたなぁ…こうやって異空間?ってのも使えるようになったし、結界?ってのも使えるようになったりで…」
「そうだ、その結界のこと!」
「ひゃあ!何?どうしたのナルガス」
慌てて耳を塞ぎながら、俺を不安げに見てくるルーナ。
「あ、ごめん!ルーナがここで一人でいるのを見た時多分その結界が働いてたんだと思うけど、君の周りだけあいつらはそれ以上入って来なかったんだ
それって、普段からここで結界を作ってるからなのか?」
「うん…まあ、ね」
なんか言い辛そうにしてるから、この事には深く聞く必要は無いか?
「ああ、ごめんねルーナ?いいにくいなら無理に言わなくていいから、とりあえず肉でも食べよう」
「う、うん…ありがとう」
今は教えてもらえなくてもいい。だからとりあえずこの中から出るまでは、ここでの一日を共に過ごさなくては。
「…うん、良い火加減だなこれ!」
「そう?良かった、なんならいくらでも焼いてあげるよ」
俺が美味しそうに肉を食う姿を見て、ルーナも嬉しそうに再び肉を焼いてくれた。
うん、なんかこの生活も悪くないかも…って、意識すんな俺?
「?」
ルーナがどうしたのかなといった顔で、肉をくわえながら俺を見てきた。
「あっ、なんでもないよルーナ!じゃあそろそろ俺もこれを食ったら修行してくる」
「うん分かった~!あ…それとねナルガス、一つ相談があるんだ」
「え?何だいルーナ」
「修行のあとでも良いから私のステータスを見て、みんなみたいに何を特に意識したら良いのか教えて欲しいの
多分それが分かりさえすれば、みんなの力になれるはずだから
今の私はコルナ達のパーティではサポーターとして、収納ポーチで運ぶだけしか出来てないの…見ての通り体も細いから重たいものが運べないし
前の魔草取りだけはあなたの作ってくれた扇子のおかげで活躍できて、やっとレベルは上がったんだけれど…ね」
「う~んそうだな…よし!まずはルーナのステータスを先に見させてくれないか?
そして分かり次第あとはルーナが何をしたいかを考えてごらんよ」
「え?でも、ナルガスの修行の邪魔になるかも知れないよ?」
「大丈夫!俺はこのくらい平気だから…まずは一度確かめてみよう?ステータスの共有方法はいちおうわかるよね?」
「うん、ちょっと待ってね?あっこれだね……はい!」
「よし、ちゃんときたね!じゃあ俺のも…はい、これが俺のステータスだよ」
俺達二人のステータス一覧はこんな感じだ。
ナルガス レベル70(レベル制限中)
HP70000(↑) MP50000(↑)
スタミナ200000(↑)
攻撃力70000(↑) 防御力60000(↑)
素早さ300000(↑) 器用25000(↑)
破壊不能アクセサリー
封印の首輪(装備中)
[装備対象の禍々しい力を、最低限にまで抑える装備品]
・ユニークスキル
オーバーセンスSSS(↑)→派生スキル・NewシックスセンスH(↑)
(周りにいる全ての動きを見極められるようになった。常時発動中)
*取得条件*
全ての探知系スキルを使わずに、自力で敵を倒すこと。[パッシブスキル]
・オリジナルスキル
神々の智恵D(↑)
(天使や神からの助言を聞くことができるようになる。)
習得スキル
回避SSS 爪攻撃D 斧D
解体B 罠師F 調合G
逃走SS(↑) 毒耐性G 麻痺耐性G
風魔法S(↑) 収納魔法A
剥ぎ取りB ナイフB 解毒魔法H
魔石喰らいC モンスター喰らいF
サーチS (↑) 鑑定E
ステータス閲覧SSS(↑)
オーラ視SSS→派生スキル・New神眼H(↑)
空間操作SS(↑) 威圧SS
危険察知A(↑) 風魔法A(↑)
水魔法E 土魔法D(↑)
ダークレールG 鬼猫変化G
双剣S(↑) 超鬼猫化F
弓術F 空間転移I NewウォームI
New魅了H NewクリーンテッドI
称号
猫を愛する者 復讐者
神業の逃走者(↑) 初級調合師
プロサバイバー 一流狩人
隠密者 デュアルプロ
切り裂き魔 罠の達人 神速回避
ウリボアの天敵 敏腕狩人
木こりの玄人 韋駄天15(↑)
上級レンジャー 情報を司るもの(↑)
鬼人が恐れし者
ゴブリンハンター見習い
モンスタークラッシャー
半人前弓使い New神の眼
New封印されしもの
New異種族を魅了する猫
ルーナ・ムール レベル20(↑)
HP5000 MP3000
スタミナ1000 霊力50000
攻撃力600 防御力400
素早さ300 器用100
集中力5000
・ユニークスキル
月狐の幻影
(舞の技で、全ての敵の目を欺ける。)
・オリジナルスキル
亜空間の姫君
(自分の意思で、自由にどの次元にでも繋げて足を運ぶことができる。)
習得スキル
残像の舞H 集団鼓舞H
魅了の舞I 玄武の舞I
霊波動H 拾得物探査E
New扇子使いH New杖I
New鑑定E Newステータス閲覧H
New浮遊霊力H New霊力尾(Rev3)H
New陰陽術I New札使いI 狐火G
New火魔法I New水魔法I New光魔法H.
称号
幻惑の狐族 陰陽術者
舞の巫女 亜空間の愛し子
初級鑑定士 未熟コレクター
「「……あなた(君)何者?」」
まさか二人して言葉がかぶるとは…
「俺は前も言ってた通り、異世界からの転生者だ…ルーナのほうこそ、これはどう判断したら良いの?武器ならなんとかなるけど」
「わ、私も分からないよ!お父さんたちは何故かご先祖様のお話だけはしたがらないから、あまり聞くのは良くないかなぁ?ってその時は思ってたし……って、今ので武器分かるの⁉︎」
「うん、まあ…確かただの木材があったはずだからこれから出して試しに作ってみるよ
けどその前にごめんルーナ、ちょっと手伝って?
散らばったままの肉を俺の横に集めておいておいてくれれば、空間操作でまとめて囲んでからきれいにするスキル・『クリーンテッド』を入れ込んで収納ポーチに後で閉まっておけるから」
「なんかよく分かんないけど集めたら良いんだね?分かったナルガス!」
「ありがとう…よっと!」
早速肉を取り除かれた所に、俺は次々と道具を置いていく。
作業台とノコギリ、斧。そして今回もかんなを準備した。
「ナルガス!集め終わったよ~」
「ありがとう!速くて助かるよ、じゃあこれらを空間で閉じ込めて…スキルの『クリーンテッド』を中に押し込む!」
こま切れに小さくしてた肉にこびりついた土ほこりを、中に入れたクリーンテッドの風と水がまるで洗濯機に入れてるかのようにぐるぐる回して洗っていた。
「わぁ便利!私もナルガスやみんなが使ってる空間操作を覚えたいなぁ」
「多分取れると思うよ?ステータス画面を開いたらスキルの欄を探してごらん?その間俺はルーナに合う武器作ってるから少し下がってて」
俺はちょうど良いサイズの小さめな木の端材を見つけたので、せっかくだからこれをカンナで途切れないように削っていく。
「分かった!えっと、ここを開いてからこうして…あったあった!これを習得してっと
ねぇナル……うん、あとで習得した事を伝えよう
しばらくはナルガスの作業が終わるまで、このまま眺めとこうかな」
ルーナが声をかけるのを途中でやめた理由…それは、俺が真剣な顔をして作業に集中していたからだった。
彼女はこんな環境で二人きりの中、不思議とナルガスのそばにいるだけでとても安心できた。
そして少し時間が過ぎた頃、ナルガスは無事にルーナの新しい武器を完成させた。
それは何やら蛇腹に折られた、小型サイズだが分厚い本のようなものであった。
「ふぅ!無事に作り終えたか…ごめんねルーナ今できたよ!ってあらら、寝ちゃってたか」
「クー、クー…」
「おーいルーナ?(ぷにっ)」
あ…ほっぺた柔らかーい。役得だ♪
「キュゥ~…あっ、ナルガスおはよー」
「おはようって…朝かどうかもわからないんだけどね!はいこれ、ルーナの新しい武器だよ」
俺はこれをなんて名づけたら良いか分からなかったので、ひとまず渡すだけにした。
「ありがとう!…って、これは霊力真典⁉︎
私のいた故郷の家にも昔同じものがあったよ?なんでこんなのナルガスは作れるの!」
「お、俺はそれみたいなものを前世で見た事があったんだよ『陰陽術者』ってのが、俺はいまいちよく分かんないけれどね…
とりあえず、ルーナに合いそうな武器な気がしたから作った!ただそれだけだよ」
「…ありがとナルガス」
「う、うん…じゃあ俺はあいつらと戦ってくるから、もし出口が開いたら教えてね!」
「えっ?」
「さあお前たち!続きと行こうか…」
空間から飛び出した俺は再び、双剣を構えてあいつらと対峙する!
ハニワ達「ニー‼︎」
「あの子達、声出せたのー⁉︎」
「あはは…そういうこと!せーのっ、はぁ‼︎」
「ニィ~~!」
あれ?今度はもう湧いてこない。ひょっとしてもう一日が終わるのかな?
「ナルガスこっち見て!出口が開いた⁉︎」
「分かった!お前たち、俺の相手をしてくれてありがとよ」
俺は一度双剣を閉まってから今度は刀を抜いた。
そして、横一閃の飛ぶ斬撃を放ち残る全てのハニワ達を切りつけて終わりにした。
「おまたせルーナ!今すぐ出よう」
「うん‼︎」
空間の解除と同時に俺は急いで走り、ルーナは浮いた状態のまま出口へと急いだ。
一方同じ頃、入り口付近でゼムノスはライにナルガスがつけている首輪の事を、遠慮がちに聞いてその事実を知った。
「し、信じられん!ワシと初めて戦った時でもナルガス坊っちゃんはそれなりに強かったようなのだが、本当なのか?ライ坊」
「はい…なので、必ずナルガス殿ならば生きて帰って来るでしょうな!ただ、我もルーナの事が心配で仕方ないですが…」
「お母さん、絶対お兄ちゃんはルーナを無事に連れて帰るよね?」
「もちろんよ!安心して待っていましょう?」
ここにいる誰もがナルガスが必ず連れて帰ると信じ、揃って入り口を眺めていると…本当にその通りになった!
「ルーナ!早く出るんだ‼︎」
「分かってるよ~~!」
「⁉︎」
二人の声が入り口の中から聞こえた次の瞬間、二人が勢いよく飛び出してきた。
「お兄ちゃん、ルーナ‼︎」
「ナルガス殿!」
「「ナルガス‼︎」」
「彼は本当にすごいですねメルマ様!」
「ええ、本当ねジルカ!」
「あんな中からよくぞ無事で戻って来られましたな、ナルガス坊っちゃん!」
「あはは、出口が思ったよりも早く閉じかけてきたのはさすがに焦ったよ…でも無事にルーナは連れて戻ってきたよ」
「ありがとうナルガス~!」
ルーナが思いっきり俺に抱きついてきた!フサフサで柔らかい感触の3尾が振り回され、俺の手に何度も当たって来る。
やっぱとてもさわり心地がよくて気持ちいい…
「ニャッ⁉︎う、ぐぐ……今回だけは私のせいでもあるから大目に見るけど、いつかお兄ちゃんのお嫁さんになるのは私だからまたそんな真似しちゃダメだからね?」
「し、心配しなくてもとらないよ~?私だって同じ狐族との方が良いもん…でもせめて、嬉しい気持ちくらいあらわしたって別に良いじゃ~ん」
やわらかほっぺたにスリスリされた~~!
「「おやおや」」
「「まあまあ」」
「ワッハッハッハ!これはなかなかの人気者ですのぉ‼︎」
「まったくですな」
「あははは…」
こりゃ、本当にレダと結婚するまでが俺にとっての試練に思えてきたなと、考えるようになったナルガス。
修行の時にあったあの黄色い気配の事も心にとめて、明日改めてライさんにも伝えておこうと決めた。
レダ以外の雌と楽しく(?)過ごすナルガスの事を想像すると、なんとなくヤキモチを焼きたい気持ちになりました……次の投稿は今日の午後18時頃ですので、よろしければまた見に来てください!
どうか読んでて思った感想と、ささやかな清き評価を一票でも下さい〜!




