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決闘!

夜明け前の朝、俺は目が覚めてしまった。

どんな顔をして家族や皆と会うべきか分からなくなったからだ。

こんなときこそ、スキル・神々の智恵を使いたい所なのにそれができない…


「皆が起きないように外に出て、ライさんに聞いてみようかな」

俺は収納ポーチに入っていたリーカを朝食代わりにひとつだけ食べてから、部屋を出る。


家族はまだ寝てるみたいだし、このままライさんに会ってこようと考えていたら…


「…お兄ちゃん?」


「レダ…おはよう、早いな」


「う、うん……どうしたの?どこに行くの?」


「ああ…こんなこと言うのも辛いけどレダやお父さん達、町のみんなにも今どんな顔を見せて話せば良いのか分からなかったんだ

だから、ちょっとライさんに頼んで神様の話を聞きにいこうかなって」


「ご、ごめんなさい!私も…お兄ちゃんのすごさはよく知ってるし、でたらめな事をしていつも驚かされてばかりだし!

でも、私はどこにも行って欲しくない!だからもっと一緒にいてよ、お兄ちゃん!」


「レダ…」


「レダの言うとおりだナルガス」


「お父さん、お母さん」


「昨日は本当にごめんなさい…私達も、どんな風に接して良いかわからなくなってたの

あなたは今、どんな気持ちで外に出たかったの?」


「俺は……俺も、みんなとまた話すときにどう声をかけて良いのか本当にわからないんだお母さん

だから、ライさんに頼んで神様に聞きたいと考えているのと、もうひとつ…

今もしレダに声をかけられていなかったら、みんなの気持ちが落ち着くまで俺も一人になって考えてみようかなって思って出たかった」


「「「……」」」

しばしの沈黙に、外で鳴く鳥の声が響く。


「よし!俺もライのところに一緒に行くぞ?そのあとの判断はお前が決めたら良い」


「「わたしたちも!」」


「みんな…ありがとう」

すぐに俺達は、ライさんがいる場所を探しに家を出た。


広場に出てみると、まだ誰も起きていないのかとても静かである。


「流石にみんなもこの時間はまだ寝てるのかな?」


「そうかもね…それでナルガス、まずはどこを探すの?」


「うーん、長老様が住んでた家にでも行ってみようかな」


「分かった!行こう」

俺達は元長老の家にたどり着いたのだが、何やら中が騒がしい。


何がおきているんだろうか?

俺達家族は、外から中の様子を覗く事にした。


「お主たち!何故そうもひどい言葉を口に出せるのだ‼︎」

…ライさんの声?


「あんたたち!これまで何度もナルガスの坊やに助けられて来たんだろ⁉︎だったら、そんな言葉で片付けんな!」


「お願いです皆さん!ちゃんと考えて下さい‼︎」

ジルカさんやメルマさんの声までする。


家族「?」

気になったので、俺たちは引き続きこっそり隠れて聞き耳をたて続けた。


「冗談じゃねぇ!ナルガスの予想外な行動は当たり前の事だと無理矢理割りきって、あいつが傷つかないように接していたが……あんなヤバすぎるものを見せられちゃあ、俺も驚きすぎて混乱するしこれ以上アイツの事考えてると身が持たねぇんだよ‼︎」


「⁉︎」

俺は町の大人が口に出している、ショックすぎる言葉をそのまま聞いてしまった。


「俺達も、友達としてはナルガスの方が好きだ!

でも封印されててあれほどの力を見せられて、おまけに女同士でアイツの話ばかりしてるのを聞いていたら…悔しい気持ちしかないんだよ!」

悔しい…ヴォルス、そんな事を考えてたのか。


「ちょっとヴォルス!あんた何いってんのよ⁉︎

ウチには一度も気にかけた言葉も言ってくれなかったくせに、女の子どうしの会話でナルガスの話が出たのがそんなに嫌だった?

そんなに思ってくれてたんなら、もっと思ったことを素直に伝えてきてよ‼︎」


「‼︎」


「そうね、私もエリオルに一つ言いたいことがあるのよ!」


「ボ、ボク?」


「あなたはいつもグチグチと彼に助けられたことや、先に活躍されたことを不満げに言ってるよね?

それで私がナルガスの話題を出したらヴォルスとつるんで影で愚痴を言いあっちゃってさ!

私はあなたのそんなところが一番嫌いなのよ‼︎

私のことが気になるんなら、いつでも絡んで来なさいよ……バカ」


「リオン…」


「ルネーガ、この場を借りてはっきり言うね…私は前からずっとあなたの事が好きだったの」


「サラティ⁉︎」

ん?これはどうしたんだろうか。

俺の批判が聞こえてきたかと思えば、知らないうちに告白タイムに変わってきてるぞ?


流石に家族も皆、少し戸惑い始めてきた。


「でも今のあんたはすっかりかわいくなったビーと仲良くおしゃべりしてて楽しそうで、私はとても寂しかった

私自身も、素直になれない性格だってわかってたから……でもね、それなのに何でよ!

何で私のこと気にしてこなかったくせに、私がナルガスの事を素直に誉めたり、他の女の子と一緒に彼がおかしな事をしてるのを思い出して笑いあってるのを見ると不満そうにするのよ!

あなたにはビーがいるんでしょ?だったらはっきりそう決めたら良いじゃない‼︎」

これは、本当に子供の会話……なのか?

俺はそっと顔をレダに向けて様子を聞こうとしたが、気まずそうにふいっと顔を背けられた。


「ナルガス、女の子はね年齢に関係なく複雑なものなのよ?」

うーん……分からん。


「オ、オイラは…」


「みんな、私からも一つ言って良い?」

コルナ?


「私は元人間だから言える…

怖いと思って嫌われた人がどんな言葉を言っても見向きもしない、怖いと思う相手を集団で殺してしまうのが人と言う種族だった!

私はそんな話をたくさん聞いてきたし、実際に自分の目でそれを見てきたよ?

みんなはお兄さんが怖くてこの町からあの人を追い出すの?町をここまで良くしてくれたのは、他でもない彼なんでしょ?そんな人間そっくりなことをするなんて変だよ!」


「…この町一つまるごと埋まるようなあんな巨大な穴をつくるやつが暴れた日には、国そのものも滅びかねないんだぞ」

町の大人たちは、まだ納得してくれてない。


「ナルガスさんは、あの高い山まで飛ばされた後恐ろしい速さで走って降りて来られました

わざわざ高く飛び上がられた理由は、皆さんお分かりなのですか?」


「そうだ……あのまま勢いがつきすぎた状態で走り抜きこの町に入った瞬間、間違いなく家々が吹き飛ばされていたのだぞ!

国王のワシから見ても、とても賢い判断をしたと素直に誉めたいくらいだ」

ミアさん、王様…


町民「…………」

気がつくと、皆は声を出せなくなってしまった。


「…あー王様に町のみんなちょっと良いか?」

冒険者さん達も、この話に参加していたのか。


「私たち、実はここに助っ人で来ていた他の冒険者達とは知り合いでね?

その彼らが口々にこう言ってたの……『あの坊やほど、町を守るために頑張れる子供は初めて見た』とそれぞれおんなじ事を言ってたのよ?

それでもまだ彼を悪者扱いにしたいのかしら」


「俺はあいつみたいに相手を気にかけれるやつの頼みなら、死ぬまでこの町に残って学校作りなりなんなり協力はするさ

だが今みたいな考えのままであの坊やをこの町から追い出すなら、お前ら自身がこの先どんなに困ろうが正直どうでも良い…勝手にくたばってろってんだ‼︎」


町民「⁉︎」


「……みんな、町長として最後に聞く

本当にあいつをこの町から追い出したいのか?」


「……イヤダ」


「ゴーフ?」

コルナは横にいるゴーフに視線をうつし、聞く耳を傾けた。


「なるがす、タシカニコワイ!デモオレ、アイツニオンガエシ…シタイ

ズットスキダッタこるなヲスクッテクレタカラ」

ゴーフが告白した~⁉︎


「ゴ、ゴーフ‼︎わ、私はその…」


「こるなガ、アイツヲスキナノ…シッテル

デモイイタイコトハイイカッタ!タダソレダケダ」

コルナは目に涙を溜めて、涙を流し始めていた。


「…良かったねコルナ」

レダが小声でこっそり、コルナに向けて祝福の言葉をかけていた。


「…お主ら男の子達も少しはゴーフを見習え」


「「「うっ!」」」


「…改めてもう一度皆に聞くぞ!本当にあいつの事を追い出したいか?」


「私は……追い出さない」


「…ワシもだ」


「俺もだ!」


「私もよ!」

皆で俺を追い出さないって意見が一気に加速していったのを聞いて、俺は嬉しすぎて声を出さずにその場で泣き出した。


「良かったなナルガス」


「もう怖くないからね?」


「お兄ちゃん…」


「うん…ありがとう…」

家族からもこの言葉を聞けたことが一番、心が暖まった瞬間だった。


「……じゃ、そろそろ本人に出てきてもらわないとねぇ!ウチがぜんぜん気づかないとでも思ってたの?ナルガス」


全員「えっ⁉︎」

シエッタが語りながら後ろを振り向くと、皆が慌てて顔を後ろに回した。


「あはは…」

泣きながら笑って姿を見せた俺と家族の姿をみて、俺を追い出したいといっていた町民全員が顔を青くしてその場で固まった。


「ナルガス殿‼︎…ど、どこから聞かれていたのですか?」


「えっと…ライさんがみんなに、[何でそんなひどいことを言うのか!]ってとこからだけど」


「いやはや申し訳ない…しかし、何故ここに来られたのですか」

俺は家族にも伝えていた事を、皆に全て話した。


「本当にごめんなナルガス‼︎お前の気持ちを汲んでやれずに俺たちが勝手なことを言い過ぎた!」


「ごめんなさい…」


「みんな!俺だけじゃなかったんだね…素直に気持ちを告げられなかったのは」


「ナルガス…僕は」


「エリオル?」


「僕は、君と今すぐ戦いたい!今まで思ったことを言えなくてごめん…

だから、せめて体から動かなきゃこの気持ちは伝えられそうにないから…相手をしてほしい‼︎」


「エリオル、あなた‼︎」

初めて見るエリオルの真剣な顔をみて、リオンは驚き戸惑った。


「たしかにこのまま何もしないままじゃムシャクシャしてくる!ナルガス、俺もやるぞ‼︎」


「オイラにも、やらせて‼︎」


「え?ええ~!何がどうしてそんな話に?」

驚きながら俺は家族を横目で見ると…


「「「やっといで」」」

マジかーーい⁉︎


「はっはっは‼︎昨日の考えとは少しは変わりましたがちょうど良いではありませんかナルガス殿!

もはや何も考えずに、彼らとこのまま戦ってあげなされ?後日に訓練をつけて差し上げましょうぞ!」


「は、話が違う~‼︎」


「楽しそう~ナルガスがんばれー?」


「あらら、ナルガスってば大変だな?僕は応援するしかできないけれど……頑張れナルガス~~」


「ナルガス様!ファイトです‼︎」

あの三人にまで押された!…やれやれ、こうなりゃなるがままだ。


話が勝手に決まると皆がこぞって表に出てきて、屋敷前の広場を囲むリングのようなかたちで戦いの舞台がもうけられてしまった。


「ナルガス殿、それにお主たちもこの武器を使ってくだされ」

ライさんが手渡してきたのは、俺が作った木製の武器である。


それぞれに合う得物を手にした俺達は、お互い目で合図しあって気持ちを引き締めた。


「これよりナルガスとヴォルス、エリオル、ルネーガによる模擬戦闘を執り行う!両者共に向かい合え‼︎」

俺は三人同時に戦うことになった。


「もう、国王様張り切りすぎですよ」


「ははは!良いではないか?こんな体験はワシも初めてなんだからな

ちなみに、今回はそれぞれ武器を使う攻撃のみとする‼︎

魔法、スキルの類いは全て無しだ!気合いで戦え」

ノリノリだなぁこの王様は…


「な、なんだか思ってたよりもとんでもない事になっちゃった!僕棒術はほんの少ししかできないんだよなぁ…」


「心配すんなって!俺がナルガスの隙をつくってやるから二人はそのまま続いてくれよ‼︎」


「分かったよヴォルス、オイラも思いっきり行くよ‼︎」


「お、俺相手に三人ってきつくない?」


「「「いや、ないない」」」


「苦しいな……じゃあ少しだけで良いから待ってて?動きやすくするために尻尾出すから!」


「ん?…ああ!あれか」


「うん…よい、しょっと!」

ピョコン!っと、もう一本の尻尾を出せたからこれで落ち着いて戦えそうだ。


「…あっ、そうかお兄ちゃん二つ目の尻尾をずっとしまってたんだった」

町の皆はもう見慣れてたけど、コルナ達を含め国王様達は当然…


王様達「………んんん?」


「あはは!気にしないで良いからねみんな」

ジー……ってずっとみられてると、恥ずかしい。


「…集中できるか?ナルガス」


「うん…とっくに慣れたから」


「じゃあ僕たちも始めよう!男の戦いを‼︎」


「へっ、よくいったエリオル‼︎行くぜナルガス!」


「お、おう‼︎」

始めに動いたのは、木製のソードを持ったヴォルスだった。

次に棍棒を手にしたエリオル、そしてルネーガは意外な事に木の皮でなめしておいた皮のムチを持って近づいていた。


「うわっ!すっごい戦いにくい連携攻撃だな」


「ナルガス殿!そしてお主らも、力まずに相手の動きと自分の動きに気を付けるのだ‼︎油断したものが先にやられるぞ!」

ライさん、そのアドバイス内容って戦場そのものな内容ですよね⁉︎


「はっ!」

ルネーガのムチが俺の足を捕らえようと近づいてくるが、俺はヴォルスと切り結びつつエリオルの方にサイドステップして避けた後、やや高くジャンプして宙返りする感じで難を逃れた。


「えっ‼︎」

驚いて固まってしまったエリオルを得物ごと、初めに場外へと押しきった!


「や、やられたー!」


「くっ‼︎」

慌てて攻撃を再開したヴォルスが特攻を仕掛けてきたが、俺は集中して双剣を構えた。


「こっちも!」

ルネーガはムチで壁をつくるような方法で、俺が左右と上に逃げられない攻撃を繰り出した!


「うおおっ‼︎」

俺は全力でヴォルスの剣檄を双剣で受け止めたあとすぐに、相手の力を受け流して一撃カウンターを当てつつ後ろの場外に逃がした。


「くっそー悔しい‼︎」


「うあああっ‼︎」


「げっやばっ⁉︎」

厄介な攻撃を仕掛ける相手が残ってしまった。ムチ使う相手は、懐に入ってしまえばうまく勝てるかも知れないが行くまでが手こずりそうだな。


「ムチの相手がこんなに厄介だったなんて俺も初めて知ったよ!ルネーガ」


「ふふっ!時々レダがムチを使うのを何度か見てたから、一度やってみようかなって思ったんだ?選んで良かった…よ!」


「うおお⁉︎…こんなことならムチを作らない方がよかったかもなぁ」

思わず後悔してしまった俺。


「オイラ、ナルガスに勝ってみせる!

そしてサラティに謝ってきちんと向き合うんだ‼︎」


「ルネーガ…」


「……」

サラティはルネーガを見つめ、ビーは無言のまま少しだけ俯いていた。


「行くよナルガス!」


「ああ!来いルネーガ‼︎」


「「うおおっ‼︎」」

俺のスキルは今使えないけれど、これまでの戦いかたも避けかたも、きっと体が覚えているはずだと信じて突っ込んでいった。


「えーいっ!」

ルネーガの変則的なムチの軌道がなかなか読めず、正直ガードできるのがギリギリだった!


そんななかで勝敗を決めるのはほんの一瞬のみと判断した俺は、回避とムチの軌道をそらし続ける。


「これで、決める!」

ルネーガが勝負を仕掛けてきた‼︎


(落ち着け俺、無心になって相手の目を見ろ)


「…ここだ‼︎」

俺はムチの回る方向と同じように空中で回り勢いをつけて、回転しながらルネーガの体に双剣を叩きつけていった。


「くぅ!」

痛みに耐えかねて、ルネーガはムチを落とし膝をついた所で勝負がついた。


「そ、そこまで!勝者はナルガス‼︎」

や、やった…3人に勝てた!


「つ、疲れたぁ~~!」

叫びながら俺は地面に仰向けで寝転び、大の字になって安心した。


本当にどうなるかと思った。この子達は間違いなく強い!とても最近ステータスなどを覚えたとは思えないほど戦いのセンスがありすぎた。


「…やられたよナルガス、スキルを封印されてても本当に強いなお前は」


「僕もナルガスと戦ってみて思った…君にもう一度挑戦したいって!」


「…ありがとうナルガス、思いっきり戦ってくれて!おかげで気持ちが吹っ切れた気がするよ」


「そっか、それは良かったな」


「うん!後でサラティとビーにも伝えて来るね」


「そうだな!」

俺は立ち上がり、三人に握手をした。


周りは大きな拍手で俺達を讃えてくるが、サラティの隣にいたビーの姿が見えなくなっている。


「…ビー?」

ルネーガは周りをキョロキョロ探して見たが、付近には全く見当たらなかった。


「…全く」

サラティがルネーガの様子を見かねて、思い当たる場所に一人向かっていった。



町の外れにある林の中で、ビーは静かに泣いていたのだ。


「ウゥ……グスッ!」


「……こんなとこでなにしてんのよビー、ルネーガが心配してるでしょ?」


「関係ない、ビーはルネーガ好き…でもルネーガはサラティが好き!なら、ビーがいなくても大丈夫だもん…」


「ハァ…このバカ!」

コツン!っと、サラティはビーの頭を軽く小突いた。


「いたーい!何でなぐるのサラティ?」


「…確かに私はルネーガの事が好きだし、あいつも私のこと好きだと分かってとっても嬉しいわよ」


「だったら何で私にかまうの?」


「なんでって……正直モヤモヤするのよ!だってあんたはもう私にとっても友達なんだよ?

友達が何も言わないで勝手に出ていかれるとすっごく辛いの‼︎分かる?」


「ヒグッ!」

ビーの可愛らしい顔立ちが、どんどん泣き崩れていく。


「だから、せめてちゃんとルネーガにビーが今私に言った言葉をぶつけてよ!

その後で私がビーの気が済むまで抱き締めてあげる……だから勝手に消えようとしないでよ‼︎」

サラティも、ボロボロと泣き出した。


「サラティ……」


「「うあーん‼︎」」

 二人で共に泣いた…気が済むまで泣いた。


「…ここにいたんだ、二人とも」


「「レダ…」」

レダが二人の様子を見て、やや泣きながら笑顔を見せて近づいてきていた。


「そろそろ行こ?ルネーガも待ってるから」

レダが二人に両手を差し出して、それぞれの手をとり立たせた。


「ありがとう…レダ」


「うん!行こうビー、サラティ‼︎」


「「うん!」」

三人は駆け足で皆の元に戻っていく。

友達の失恋の悲しみを共に背負いながら…


三人が戻ってみると、知らないうちに大人の冒険者達も同じように模擬試合を楽しみだしたらしく、大いに盛り上がりを見せていた。



「あっ、ビーにサラティ‼︎いったいどこに行ってたの?心配したよ!」

ルネーガと俺達はサラティ、ビー、レダが一緒に戻ってきたのに気づいた。


「あー…ごめんね?」


「ごめん…なさい」


「…ほら、ビーも今すぐちゃんと言いなさいよ?」


「うん…あのね?ルネーガ」


「えっ?どうしたのビー」


「わ!私、ルネーガの事が大好き‼︎サラティの事が好きなルネーガでも、私は好き!」


「…ビー!」

ビーは告白してから、ずっと震えが止まらない。


「ありがとう…ビー、俺もそんなまっすぐな気持ちをいってくれるビーは好きだよ

でもごめんね?その気持ちには答えられない…」


「ウン…分かってた」


「だからずっと友達でいようビー!君はオイラにとってはかけがえのない相棒なんだ

だかサラティと一緒でも仲良くしてくれる?」


「ウン、ウン‼︎」

ひしっとビーはルネーガに抱きついてきた。

それを優しく見守るサラティと俺達…


「なんか、俺との模擬戦の後でこんな事になるなんてな?」


「お兄ちゃんってば鈍感すぎ……」


「えっ?」


子供達「アハハハハ‼︎」


良かった、俺はもう追い出される事に不安がらなくて良いんだな。

温泉を完成させる話も、学校建設もまだまだ手付かずだけれど、彼らとの絆が深まることが一番嬉しいことなんだと、この時強く感じた。

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