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ドンマイ、ナルガス

ルードスにいる子供達の間で微妙な雰囲気に変わっていくなか、ナルガス達はゲラルドに無事到着した。


「わぁい気持ち良かったぁ!」


「フム…これはうまくいけばスタミナがあって足の速い者達を育成すればその者達にこの空間操作というスキルを持たせ、この乗り物を運ぶ職業とかもつくれる気がするのぅ」


「国王様、まずはスキルの取得方法とステータスの開きかたというのを私達も覚えてみないことには……チラッ」


「「あははは…」」

こりゃすぐには帰れそうにないか~。


「そうですね…俺たちもそれは伝えておきたいと思ってますが、お父さん達やライさん達をルードスに連れていきたいですし……」


「ねぇお兄ちゃん、私がみんなに説明しててあげようか?」


「えっ、レダ!今まで俺にベッタリだったのに一人で本当に平気か?」


「うん、少し不安だけど大丈夫!後でミアさんと二人でお話ししたいことがあるもん」


「えっ私と?きゃーどうしましょ!5歳の女の子と二人でお話しかぁ♪」


「ミアちゃん会話は程ほどにな?ではナルガス、この子の事は私達に任せてご家族やライさんという方にもよろしく伝えて来てくれるか?」


「分かりました!じゃあレダ、行ってくるね」


「いってらっしゃーい」

俺は三人の元から離れて、両親とライさんを探しに行く。


「まずは冒険者ギルドを覗いてみるか!お父さん達いるかな?」

しばらくしてギルドに到着したが、中を見渡してみても姿が見えなかった。


「あれ?いない…まさかまだ宿屋かな」

今度は宿屋に足を運んでいく。


「あっいたいた!食卓でぐてっと寝そべってる…」


「おーナルガスかぁ~どしたー?」


「ごめんね〜、私たちどうやらマタタビビールをいっぱい飲みすぎたみたいでちょっと……ケプッ」

ありゃ、こいつはかなり出来上がってるね。


「大丈夫?お父さん達、実は今からライさんも含めて一緒に来てほしいんだけど…」


「ああ~すまんすまん、もう少しの間だけゆっくりさせてくれ〜」


「あら?レダの姿が見えないわね~……ひょっとして一人で来たの~?」


「ううん、レダは今入り口の門近くで国王様とミアさんにステータスとスキルの取り方を教えながら待ってるよ

もしまだ動けそうにないならライさんを先に呼んでこようか」


「すまんがそうしてくれるとありがたい」


「お願い~」

うん…こりゃ少し時間を空けておこう。


「分かった!後でまたよるからね」

入り口に向かって歩いていく俺に、二人は力なく腕を振って見送ってくれた。


さてと、それじゃあ教会に行きますか。

待てよ?確かもうひとつ噴水の近くにあった教会に、以前毒スライム達の件で足を運んでいた事があった気がする。

一度だけ、顔だしと転生に関しての話をしておかなければ。


そんな考え事をしながら、俺は目的地である噴水前の教会にたどり着いた。


「あれ?なんか中がにぎやかだなぁ……何かやってるのかな」


「♪~~♪」

えっ歌声⁉︎誰が歌ってんの?


「おっとナルガス殿、しばしの間だけ静かにお願いしたい(小声)」


「ら、ライさんどうしてここに?これは一体どうしたの(小声)」


「すまぬが今はそのまま静かに聞いていてくだされ(小声)」


「コクッ(頷)」

俺はライさんの言われる通り、静かに聞いてみる事にした。

こっそり礼拝堂の中を見ると、メルマさんが祈りの間手前で歌っていたようだ。


しばらく歌が終わるまで黙って聞いていると、ようやく終わったらしい。

近くにいたライさんと会堂の端っこで聞いていたジルカさん、そしてこの教会の神父さんがメルマさんのところへと歩み寄っていった。


「ウム!素晴らしい歌声であったぞメルマ」


「シスター・メルマ!とても素晴らしい歌声でしたよ!」


「これは素晴らしいですね!私も歌というものに興味が出て参りました」


「ありがとうございます皆様!神様に感謝の祈りを捧げる気持ちで歌ってみましたわ」


「うむ!我も聞いていてとても心に深く染み入るような感覚が伝わってきたぞ

どうだジルカよ、今度はそなたとメルマで一緒に歌う練習をしてみるのが良いのでは?」


「良いですねライ様!神父様もいかがです?」


「いやはや、私めでは歌う感覚がまだ分かりませんので今は聞くのみが良いですな

…おや、ナルガス様ではありませんか!

お久しぶりでございます。」

驚いた、まさかライさん達との交流がすでにあったなんて。


「お久しぶりです……何故ライさん達がここに?」


「ははは!仮にも我は神官として神に任されていますからな?

他の教会に足を運び、神託を伝えて行かねばなりませぬ故」

あっ、そういやそんな話だったな。


「私とジルカも、ライ様の補佐として同行させて頂いておりますから

あなたが夜明け前に歌を歌っていたとライ様から聞いた時とても心が震えましたわ!」


「は、恥ずかしいって…」


「恥ずかしがる必要は無いですともナルガス様

ライ様とメルマ、そして新たなシスター・ジルカからあなた様の転生に関してのお話しを、詳しく教えていただきました

……そして、あなたの首にかかっている封印の首輪に関しても」


「……そっか、もうそこまで話がついてるんだね」


「左様…ナルガス殿の力は神の目からみても未知数であるとのこと

故に、知らせるべき場所に偽りのない見聞を伝えておきたいのです

かつての我如く、鬼猫になって民をその手にかけほしくはありませんからな」


「ありがとう、ライさん」


「ウム!それとナルガス殿、ちとそれとは別の話かも知れぬがお話をしたい事が…」


「えっ?良いけど何?」

他の三人も首を傾げてライさんの言葉に耳を貸していた。


「まあ……ここでは他の信徒達が入りづらくなるので奥で致しましょうぞ!神父よ、構わぬか?」


「はい、こちらへどうぞ」

個室に案内され、二人だけで中に入った。


「…実は、ナルガス殿がこの都市に戻る前ごろからだと思われるが、神からナルガス殿に伝えて欲しいと頼まれましてな」


「ん?」


「そなたの話題で夢中になっている女子(おなご)達の会話を聞いた男の子供達が、どうやら焼きもちを妬いているそうですぞ?

故にこのまま帰っては、我の時と同様に目の敵にされかねませぬ」


「え"⁉︎そんなこと言われても、俺はどうすりゃいいの?」


「一つ我に考えがあるのですが、よろしいか?」


「う、うん!」


「あなたはスキル・オーバーセンスを使わずに、彼らと模擬戦をして思う存分に戦ってあげてくだされ!」


「げっ‼︎何でまたそんな無茶苦茶な事を…」


「男とは理屈では分かっていても、心が晴れぬ時は何かに当たってしまう者でありましょう……

故にこういうときは相対する意思をもって彼らと本気でぶつかり合い、腹を割って本音で話し合うのが一番よろしいのです」


「えっと、まさか武器までも真剣勝負にするつもり……なの?」


「そこまでは決して致しません!そんなことをすれば我も含めて男子達は全て、女性から敬遠されながら一生を終えかねませんぞ」


「そ、それは嫌だなぁ…」


「左様!心配召されるな、我がスキルを使わずとも戦うことができるように鍛えさせて頂きますぞ!」


「お、お手柔らかにお願いします……あ、木で作った武器がいくつか収納ポーチに入れてあるけれど、それを使っても良い?……はい!」

空間ごと入っている武器を、そのままライさんに渡しておいた。


「おお、流石はナルガス殿!これがあれば何も問題ありませんな

では、話は決まったので我は先にジルカ達を連れてルードスに向かうとしましょう」


「あっ!それなら宿屋にいるお父さん達と、門の近くでレダが国王様達にスキルとステータスを教えているから、まずそっちに合流してくれないかな?」


「承った!それでは早速参りましょう」

ライさんは神父様達に神様から事の顛末を聞かされた話をわかりやすく伝え、俺に稽古をつける考えを示して共にルードスへ赴く話をした。


「なるほど、なかなかの災難でありますなぁナルガス様……

ですがこれも、男が通らなければならない道でもありますので強く生きてくださいませ」

あっ、やっぱりそうなるんだね。


「フフフ!ナルガスの坊や、なかなかやるじゃないのこの色男♪」


「ジ、ジルカさーん⁉︎」


「あははは!そんな悲しそうな顔をしなくても良いでしょ?

なんならあたしも、稽古に付き合ったげるからさ!ちょうどやってみたい事もあるしね」


「えっ、何をするつもりなの?」


「そこはまあ……ライ様に後で聞いてみるんだね」

なにをそんなに楽しそうにしてるのだろうか?


とりあえず俺は、ライさん達に続いて外に出てからそのまま歩きながら会話をする。

「ではまずラルガ達の所であるな?確か泥酔していると聞いたが…」


「うん……でも最初に声かけたとき、少しは話せていたからそろそろ酔いがさめてるかも」


「ふふ!二人を起こしてこの件の事を伝えたらどんな反応をするのでしょうな」


「うーん……二人はきっと、悪ノリして話にのって来るだろうな」


「悪のりとは?」


「逆に面白がるって事だよ…」


「はっはっは!それはなんとも自由で良き家庭ではござらぬか」


「あうぅ…」


「ナルガス様?良い家族ではありませんか

そのように接してくれる家族は猫族にはあまりおられませんよ?」


「そうだよナルガスの坊や!他の都市にいる猫族の家庭なんて産み捨てたり初めに産まれた子供を簡単に置き去りにして、新しい子供を産んでの繰り返ししかしないんだから!」

確かに、前世の野良猫達でもその姿をよくみた事があったから、それは確かにある…よな。


「そうです!ましてや今のあなた様には、レダ様と言う一途に見ておられる相手もいるんですから!

ここは男の意地の見せ所…ですよ?」


「メルマさん、やけに説得力ありますね…」


「!コホン……少し熱くなってしまいました、申し訳ございません」


「だ、大丈夫だよ!……あっ、レダが宿屋に入ってったみたい」

宿屋の入り口をくぐると、両親と宿屋のスタッフがいた。その近くにはミアさんともう一人…


「あっ、国王様!」


「ん?…おおメルマではないか!久しいな」


「はい、国王様もお元気そうで何よりです」


「ナルガス殿、こちらの御仁が国王様なのですかな?」


「うん、そうだよ」


「お初にお目にかかる…我は外れの教会の神官を勤めることになった、ライと申しまする

以後、何卒お見知りおきを…」

ライさんが国王様の所に近づき、片膝をついて挨拶をしていた。


「おお!お前が新しく赴任したライという神官なのか?こちらこそよろしく頼むぞ」


「御意!」


「あ!お兄ちゃんお帰り~‼︎」


「ただいまレダ!ちゃんと国王様達に教えられたかな?」


「ウンバッチリ!でも、国王様達の用事もあったからあちこち歩いて疲れちゃった」


「ありがとう!よく頑張ったね?よしよし…」


「にゃはーん♪」

顔がたるんでる…何度見てもかわいいなぁ。


「ああ、二人とも帰ってきたか!厨房のスタッフからきつけ薬をもらったおかげで、どうにか酔いはさますことができたぞ」


「良かったなラルガ、では早速ですまぬが我らと共にルードスに戻ってもらいたいのだ」


「別に構わないが、いったいどうしたんだライ?」

ライさんはこの場にいる人達に、神様から俺が男の子達の一部から嫉妬を向けられていること。

それの対処として、彼らと本気でぶつかり合い本音を話し合うのが良いと決断した事を話した。


「おう!俺も大賛成だ‼︎」


「私もそういうの好き!」

やっぱりか、もうどうにでもなってくれ…


大きく肩を落とす俺を見たレダが一言。


「お兄ちゃん、手加減は程ほどにね?油断してるとお兄ちゃんが本当にやられるから」


「うぐっ!」

その通りだなレダ。

でもできれば、そんな戦いしなくても良いじゃんって言って欲しかったよ。


「フフフ…話は分かりましたよナルガスさん!ようは雄同士の戦いなんですね?

それ聞いたら私もなんかドキドキしてきました!」


「やれやれ、ミアちゃんは相変わらずこの手の話題が好きだな!

まあもっとも、かくいうワシも見てみたいぞ?」

あれっ?なんか事が大きくなってきてない?



・神の間にて

(ほぅ、これはこれでなかなか面白い事になっているみたいだな?

まあナルガスにとっては難儀だろうが……ドンマイだ、ナルガス!)



ん?何故だろうか、今神様からも応援された気がする……仕方ない、いっちょやってみますか!


「それでライさん、お兄ちゃんのスキルが使えないようにすれば良いの?」


「左様、魔法の類いも無しでだ!

他の所はそのままでのぞんで頂きたい」


「うわぁ、なんかお兄ちゃん負けそう…」


「ムッ、負けるもんか‼︎やってみせる!」


「ハハハ!」


「フフフ!」


「もう、ナルガスさんもなんだかんだ言って男の子ですねぇ?本当楽しい!」

こうなりゃ、とことんやってやる!


「じゃあお兄ちゃん、早速私が封…」


「待たれよレダ嬢!ここだと周りにも影響があるかも知れぬ

個室に戻って、二人でしてきてくだされ」


「う、うん!わかったライさん」

俺達は早速、二人で宿屋の部屋に入った。


「…二人きりになれたのってなんか久しぶりだね?お兄ちゃん」


「そ、そうだなレダ……てか顔が近いよ?」

下手したらキスできそうな距離感である。


「エヘヘヘ!良いじゃん…な・る・さ・ん♪」

レダが耳元で囁きながら、俺にボディタッチを仕掛けてきたんですけど。

これは抱いてくれって事で良いのか?


正直気は引けるが、尻尾だけなら触ってみたいなぁ…サワッ


「……‼︎なるさん、気持ち良いよぉ」


「おっとと!これ以上やるとお互いその気になってしまうからここまでにしとこうね?レダ」


「ぷぅ……イケズ」


「はいはい、どう言われても構わないよ

そんだけ俺は大事にしたいんだって事なんだから」


「みゅう…ゴロゴロゴロ」

やべぇ、心底抱きたい‼︎


俺は抑えきれない発情をかろうじてこらえて、早速レダに封印してもらうことにした。


「コホン…じゃあお兄ちゃん、今から封印するけれど準備は良い?」


「ああ、いつでも良いぞ」


「分かった!じゃあ行くよ……えい!」

俺達がいる部屋いっぱいに、レダが使う封印術が白い光となって広がっていく。


うん、ライさんの予想は当たってたな。


「…ふぅ、無事に終わったよお兄ちゃん!

試しに一度お兄ちゃんだけステータスの確認をしてみて?」


「わ、わかった……え」


「どうかしたの?お兄ちゃん」


「レダ、俺一週間の間スキルが全て使えないんだけど…」


「んにゃ~~⁉︎どど、どうしよ…」


「まあ、このままでしばらく過ごすしか無いよな」


「ご、ごめんなさーい‼︎」

俺達は一旦下に降りて、みんなに一週間の間全てのスキルが使えないことを話した。


「ありゃりゃそいつは参ったな、なら空間操作も収納も無理って事だな?」


「「うん…」」


「まあなんとかなると思うわよ?なんなら私たちもこの機会に取ってみようかしら」


「それが良いなレアナ!今度は俺ら夫婦がナルガスのやっていたことを少しずつしよう」


「ありがとう!お父さんにお母さん…あっ、じゃあこのポーチからあの乗り物を出しとかないと!レダ、これを頼む」

俺はレダに、空間圧縮してあった乗り物を渡す。


「わぁ、小さいとなんかかわいく見えるね?

じゃあ私が預かっとくね!」


「ああ、ついでにみんなをそれで運んで欲しいんだが頼めるか?」


「もっちろん!一度やってみたかったし」


「よし!じゃあみんな、外に出よう」

全員で宿屋をあとにした。


「みんなと外に出るのは良いけど、ミアさんと国王様はここを何度も離れちゃって大丈夫ですか?」


「ああ、ワシらはレダちゃんがいる間に簡単に済ませていたのでな?問題は無いぞ」


「あはは…レダちゃんには少し疲れる思いをさせちゃいましたけどね」


「ミアさん、私もう大丈夫!」


「ほぉ、レダもたくましくなったなぁ!昔はナルガスにずっとベッタリで離れたがらなかったのに」


「んもぅ、お父さん~!」


「ははは!」

他愛もない会話をしながら俺達は門の外に出た。


「じゃあレダ、お願いね」


「はーい!」

レダは早速、圧縮された乗り物をポーチから取り出した。


せっかくだから、俺も乗ってみよう!

なのでまず初めにレダへ伝えておかなければ。


「レダ、最初はうんとゆっくり走ってから少しずつ速く走るくらいで良いからね?」


「大丈夫!できるよ」


「うん…じゃあ俺も乗るね」

俺が手を振りながら乗り物に乗ったことを確認して、レダはいよいよ空間を小さくして片手に持つ。


「じゃあ行くよ~!」

俺の言った通り、ゆっくり走ってから速度を上げて走り始めたレダ。


「スゲー!乗るとこんな感じなんだな」

俺も思わずはしゃいでしまった。


「はぁ~、なんだろう……とても乗り心地いいな?レアナ」


「本当ねぇ〜…毎日乗ってたい」

二人はまるで、ハンモックに揺られながら寝そべっているかのようにとてもリラックスしていた。


これは間違いなく、この類いの仕事とかが生まれてきそうだな。


「おーいそろそろ着くよ~!みんな起きてる~?」


「えっ?うそ、速いな!レダ急には止まらないでゆっくり速度をおと……」

慌てて席を立ち上がってしまった俺は、レダの急停止を注意している最中に乗り物から飛び出てしまった。


そしてあろうことか、俺だけが空間を破って外に出ていってしまう。


「あ~~~~‼︎」

元のサイズに戻ってしまった俺は、そのまま山手の方角にまっすぐと飛んでいく。


「お兄ちゃ~~ん⁉︎」


「ナルガス(どのぉ)~~⁉︎」

レダやライさん達の叫びが、遠く離れてしまった町全体にこだまする。


俺は一体どこまで飛んでいくのだろうかと考えていると、目の前に大きくそびえ立つとがった山が目の前まで近づいてきた。


「ちょちょちょっ‼︎いやいやいやいや!当たるのは嫌だ~⁉︎」

俺は目をつむって、とっさに右手の拳を前につき出した。


ドン!っと大きな音をたてて、俺は山肌にパンチをぶつける格好で勢いを殺す事ができた。


「し、死ぬかと思った~……って寒っ‼︎」

雪山では無いが、標高がとても高い山だということだけは分かった。


「いい、いますすぐお降りないと凍えちゃう‼︎」

少し怖いけど、この急勾配を走って降りる他はないみたいなので、俺は思いっきり全力で駆け出した。


「いぃぃぃ〜やあぁぁぁぁっ‼︎⁉︎」

奇声にも似たような絶叫を出しながら、俺はひたすら走り続ける。…だがこれ以上はまずい!


もう目と鼻の先にルードスが見えてきていたのである。


「どこかで力を逃がさなきゃ…あ、あそこにしよ!

ルードスからは十分離れているし、誰も通りそうもないあの並んでる丘までジャンプしてから、さっきみたいにパンチすればきっとなんとかなるはず‼︎」

もう迷ってる余裕はない!


「だぁ〜‼︎」

ちょうどジャンプしやすい感じの岩場があったので、勢いよくそこで踏ん張り天高く俺は跳んだ!


皆「げぇ⁉︎」

町に着いたレダ達を含め、町民はみなその光景を見て驚愕する。


「うおおぉぉ‼︎」

俺が跳躍し、先にある平原に強烈な一撃を放ったその瞬間!


けたたましいほどの轟音が世界中に広がるかのような音をたて、ルードスがすっぽり収まるくらいの大きいクレーターができてしまった…


「これは……やっちゃった、かな?」

このあと俺がルードスに帰ると、しばらく皆は顔を合わせてくれなかったのは寂しいと感じた。


少し皆と俺自身の気持ちが落ち着くまで、一人でいるしかないな。

明日の朝、ルードスを出ていく事も考えに入れながら、俺はそそくさと自宅の部屋に引きこもる。

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