子供らの会話が…
ドルファから、ポンプを参考にして作る水の供給用具の作成方法を俺達は聞くため、彼の言葉を待つ。
「ナルガス、このポンプを見て今思い付いた方法があるんだけど町のみんなの所に一緒に来てくれないかな?少し手が足りないかも……
あと、ライさんって名前の神官さんも連れてきてくれない?」
「分かった、まずは町のみんなの所に行こうか!みんなポンプを持って先に行っててくれ」
「分かった!」
「ドーラン、ちょっと話いいかな?」
「ひゃい⁉︎」
「あはは、緊張しなくていいよ…少しお願いしたい事があるんだ」
「お願いしたい…こと?」
「うん!実はね、君の作った武器と防具を町のみんなや冒険者達に見せてあげて欲しい」
「ええ‼︎私の作った装備を⁉︎なんでなんで??」
あたふたしている時の顔は、なんとも可愛らしい感じだな。
「ははは!慌てるほどのことじゃないよ
単にどれもしっかり作られているから、ベテランの冒険者達の目にもきっと止まるんじゃないかなって思ったから言っただけだ
それに装備を作る者は、誰かが使ってくれて初めて、良いものを作る職人として見られるようになる。」
「で、でもでも遊び感覚で作った装備ばかりだし、いきなりは使ってもらえないかも…」
それもそうか、だったら…
「良かったら、俺が最初に使ってみるよ。
少し装備品を見せてもらえないかな?」
「は、はい!ぜひぜひ!?」
俺達はもう一度、ドーランの家に入った。
俺が最初に手に取ったのは、普段から使いなれている双剣からだ。
「早速鑑定するよ?」
「は、はい!」
スキルの鑑定で、装備の性能をチェックして約10秒。
「ドーラン!これを俺にくれないか!?」
やや興奮しながら俺はお願いした。
「ふえぇぇ!?」
「これすごいよ!!装備にスキル付与ができる構造になってる!どうやって作ってるの!?」
「あわあわわ!?な、何も考えずにただ作る作業をしてただけ…ですけど。」
「それだけでこの性能!よし、この装備をみんな運ぼう。
そしてまだ良い武器を持ってない彼らにあげて欲しいんだ!
必ずみんな気に入ってくれるから、安心して一緒に行こう。」
「あうえうあう……」
ほとんどこっちが一方的に話して終わる形になってしまい、言葉がでなくなったドーラン。
「…あ!ごめん、急に色々言ったら困るよな。」
「う、ううん!良いの良いの!!ビックリはしたけど、憧れのナルガス様に使ってもらえて良かった!」
「そ、そうか。そう言ってもらえるととても嬉しいよ、ありがとう。」
「ひゃあぁぁ♪」
甲高い声を上げて身悶えてるね、ドーラン。
「あはは、じゃあ早速持ち運ぶとしようかな。良いかい?ドーラン」
「もちろんです!!ぜんぶ持ってっちゃってくださーい!」
お言葉に甘えて、俺は全ての装備品をひとまとめに置き空間操作で縮小してから、ドーランと共に家を出た。
「このままみんなの所に行くけど、走れそう?」
「はい!逃げ足は速い方なので。」
「わ、分かった。じゃあ前を走ってくれるかな?俺はちゃんと追いかけるから。」
「はーい!」
ドン!っと地面を強く蹴る音が聞こえ、本当に速い速度で走り抜いていった。
「えっ!?やば…」
俺は慌てて追いかけたが、なんとか追いついた。
レベルと素早さ等は特別繋がりがある訳でもないのは、これまでの経験上知ることはできていたが、これは流石に俺も驚いた。
「流石ナルガス様!本当についてきてる!?」
「ああ!ただ、もうつくから止まってくれるかな?」
「はーい!」
二人揃って急ブレーキをかけた所を、子供達と冒険者達を含めた町民全員がギョッ!っとした表情で見ながら固まってしまった。
「ドドド、ドーラン!君そんなに速かったの!?」
「えっ!?あああ、うん!」
「こいつは驚いたぜ。滅多に誰かと一緒に行動したことがなかったドーランが、ここまで走れるとは…」
「ドーラン、おめでとう!とうとう誰かと行動できるようになったのね!!お母さんは嬉しいわ。」
「ドーランと一緒に来てくれてありがとう、ナルガス君。私ら夫婦共に感謝している。」
「えっ、何?どう言うこと?何か俺、特別な事なんてしたっけ?」
「がはは!ナルガスが知らないのは当然だ。
こいつ…ドーランは極度の恥ずかしがりやでな、滅多に出歩く事が無かったんだよ。
それなのに、ナルガスの出す速さとたいして変わらない走りを見せてくれやがる!
これほど意外なものを見れて、嬉しいことは無いぜ!」
「はわわわわ!?」
「ちょっ!俺の後ろに隠れてどーすんの?
君が作った装備品を見てもらうんだから、しっかりしなって。」
「でもでも~~!恥ずかしいですぅ~!」
「ドーラン、大丈夫。僕もそばにいるから」
ドルファが彼女の手をとり、優しく前に連れていく。
「ほぉ…息子め、なかなかすみにおけんわ。」
「ち、ち、父上!?」
「おやおや。」「まあまあ!」
「はやぁ~~!」
「うーん、俺はお邪魔みたいだね。」
「「そんなことない!」」
「わ、分かった分かった!」
全員「ハハハハ!」
「そ、それでドルファ。町のみんなにはあのポンプの事を話せたのかな?」
「う、うん!ちょうどナルガス達が来る前になんとかなりそうだって話てた所だよ。
ところで、どうして装備品を入れた空間を持ったままなんだい?」
「ああ、町のみんなや冒険者のみんなに見てもらいたくて持ってきたんだ。
ドルファも、これはドーランがみんな作ったものだって知ってるでしょ?」
「なな、ナルガス様!?やっぱ恥ずかしいよ~!」
「今さら何いってんだ。これがみんなを守るために必要になるかも知れないんだよ?
怖がらなくても大丈夫。ねっ?」
「あう~~…」
「お兄ちゃんってば、こんなときだけはほんと強引だよね。」
「いやぁ、ははは」
「ほめてない!」
「え"!?」
ちょっとショック…
「ねぇねぇドーラン、オイラこの弓欲しい!すごく軽いし扱いやすそうだもの。」
「私も、この長いやりが欲しい。ルネーガと一緒に戦える!」
「えっ!あ、うん!良かったら使ってみて…ください。」
「ドーラン、大丈夫。僕もいるから」
「!うん。」
「ドーラン、俺達にも見せてくれ。」
「私達も!」
「は、はい!!みんなで見てってく、りゃはい!」
噛んだ!
「いはーひ(いたーい)!」
全員がどっと笑った。
「…良かった。ドルファがそばにいてくれるのなら、ドーランは安心して話せそうだな。
レダ。ちょっと良いかい?」
「え?お兄ちゃんどうしたの?」
「うん、今のうちにお父さん達を連れてきとこうかなって思うんだ。
そろそろ酔いもさめてるはずだろうし。」
「レダもいく!」
「ナルガスさん、私と国王様も一旦戻って用事を済ませておきたいので、一緒しても良いですか?」
「はい!」
早速乗り物を取り出して、元の大きさに戻して準備完了。
「ありがとう、ナルガス!また世話になるぞ。」
「いえいえ。どうぞおかまいなく」
三人とも乗り込んだのを確認し、再び縮小してから持ってかまえた。
「じゃあみんな、一旦ゲラリオに戻ってくるよ。遅くはならないと思うから」
子供達「オオー!」
「じゃあ、行きます!」
最初と同じく、ゆっくりスタートから速度を上げて走り行く俺は、ルードスを後にしゲラルドへ直行した。
「お兄ちゃん、お母さん達気に入るかな?」
「きっと気に入ると思うよ?完成した時、喜んでくれてたから。」
「うん!」
「ミアさん、国王様。着いたら俺達は、家族とライさん達を乗せてまたルードスに戻ります。」
「はい、分かりました。
学校建設と温泉作りに関しては、私達も可能な限り協力しますね。」
「ありがとうございます。」
このやり取りをしながら、ゲラルドに向かう俺達。
一方同じ頃ルードスでは…
「ねぇドルファ。温泉用の水をくむためのポンプ?って言う道具を作る話だけど、私たちは何をすれば良いのかな?」
サラティはドルファに尋ねてきた。
「うん、実はどこに川があるのか一度見ておきたいんだ。そこまでつくのに何分くらいかかりそう?」
「うーん、私たちのペースなら30分ってとこよ。行く?」
「もちろん!」
「わ、私も私も!ドルファが道具作りするまでのやるところ、見てみたい。」
「わかったよドーラン。」
「私もー、一緒して良い~?」
「ルーナ!うん、一緒に行こ?」
「…まさか、今まであまり会話できた事なかった二人と、こうしていられるなんて思わなかったわよ。
まったく、ナルガスは不思議よね。」
「そうだね、サラティ。」
「ウチも、そう思う。まあ…女の子に目移りしやすいくせにウブな所は、見てておかしいなって思ってるんだけどね?」
「やっぱりシエッタもそう思う?何て言うか、興味はすごくありそうなのになかなか来ないって感じだよね?」
「そうそう!あとリオン、あなたが優しくしたときもときめいてたんじゃない?」
「えっ!そこは、私分からなかったわ。
まあ、たまに視線は感じてたけど…」
「うわー…お兄さんムッツリスケベだなぁ。」
女子達「ムッツリスケベ?」
「あはは、女の子同士だけの会話するってことでまた今度こっそり話すね。」
「楽しみね~!」
「わ、私も気になる!ナルガス様の事!?」
「んふふ~、私も興味あるわね~。」
女子達「ねー!」
男子達「ナルガス…」
神の間にて
「あー…なんかまた面倒なことになってきたなぁ。ナルガスもライも、異姓関係でトラブルにあいやすいぜ全く。
どれ、ライのやつにそれとなく伝えて助言してもらうとしよう。
ついでに、子供のオスもヤキモチを妬いてる事も伝えてやらねぇとな…ったく、世話が焼けるぜ。」
下界にいる子供らは今。
嫉妬に燃える者、不憫に感じる者とに別れてしまっている。
かつておに猫になってしまったライと、同じ道をナルガスが歩まない事を願う神であった。




