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神の玉座にて

神の玉座でナルガスが神に見せた、狂気に満ちたオーラを放つその姿……それは、神ですらも想像したことがない力の顕現だったのである。

ライ達にとっては身の危険しか感じることができないその力を、神様が取り出した赤い首輪。

それをつけられたナルガスは簡単には変身できなくなってしまったのであった……

俺達三人は今、祈りの間にて同時に祈りを捧げていた。

すると驚いた事に、俺達三人とも神様の住む世界に同時に来ている。


「おお!これはすごい……かつて我が命を落としたあとにみた世界そのままだ!」


「神様はどこにいるの?」

レダがキョロキョロと探している。


「おーいお前ら!ここだここ‼︎」

ん?よく見ると神様が玉座の横にある柱のそばで、何かをしている。

俺達三人は顔を見合わせてから、神様がいるところまで近寄ってみた。


「悪いがお前達、俺がよく吸っているタバコのライターを探すのを手伝ってくれないか?

実はさっきうっかり落としちまってな」

そういえばよく、タバコをくわえていたな。


「良いですよ…じゃあここでも下の世界で得たスキルを使っても良いですか?それならすぐに探せると思うけど」


「もちろん使えるぞ」

よし、じゃあ早速……


「レダ、俺と一緒に鑑定を頼む」


「はーい」

二人でそれぞれスキルを使うと、ライターの場所をすぐに特定できた。


「あった!俺たちの正面から向かって玉座の左側、階段隅に!でも…」

俺が言いにくそうにライターのある場所を指差して、神様が振り返ってみるとそこには……


「ぐちゃぐちゃ……」

レダがボソッと呟いた。


「「……」」

神様とライさんが無言でしばらくながめた後、神様はそのまま歩いてぐちゃぐちゃになったライターの前にかがみ、手をかざす。


すると一瞬で、新品同様に復活した!


「神よ、問題無さそうですな」

ライさんは知っていたのか、平然としている。


「ああ、もう1000年以上使っていたからな……

いつ壊れても不思議では無かったからちょうど良いぜ

お前ら助かったぞ!じゃあこのままでなんだがそれぞれ思うことがあって会いに来たんだよな?」

そう言いながら俺達三人、特にライさんにはサングラス越しに鋭い目付きを覗かせつつ、威圧を混ぜながら語りかけてきた。


「はっ!この度はあなたの御心を知ろうともせず、ご迷惑をおかけして誠に申し訳御座いませぬ‼︎」

ライさんは地面に強く頭を打ち付ける形で深々と土下座をして、神様に謝罪をしていた。


「全くだこの大バカ野郎

まあ、俺もステータスという自分の能力を見るための手段を伝えてやれなかったせいで、今回みたいな事になった訳だからそこは俺も悪かったと思う……すまねぇなライ」


「神…」


「だ・が!ナルガスを本気にさせるという愚行については見過ごしてやらねぇ!

よってお前は罰として下界であることをしてもらう‼︎」


「うぐっ!う……承ります」


「おし!ではライよ、お前には都市ゲラルドの神官として働く事を命じる」


「ハハァ!……しんかん?」

ライさんは聞き慣れない言葉を聞いて首を傾けている。


「なんだ、知らないのか?神官ってのは神である俺から神託という伝令役をする者だ」


「なるほど、例えるなら将軍からの伝令を預かる者みたいですな」


「そのようなものだ…その役をお前には今日から行ってもらう!

あのジルカという猫族の女も、教会で仕える事になったんだろう?」


「うっ⁉︎」


「フッ、良いんじゃねぇか?相思相愛なんだから、この際一緒になって教会で二人仲良く住んでしまえ!」


「あががが⁉︎」

恥ずかしさで一杯なライさんは、その場で悶えはじめてしまった。


「ハハハハ!昔では考えられなかった反応が見れて愉快だぜ

じゃあ次はレダだが、ナルガスに正体を明かすことができて満足か?」


「うん!神様いつもありがとう‼︎」

レダは満面の笑顔で神様にお礼を言う。


「そいつは良かったな

2年前までずっと、祈りの間からここに来てた甲斐があって何よりだ」


「そ、そんなときから毎日教会に来てたんだなレダは……」


「うん!お兄ちゃん……じゃない、なるさん!あなたにどうしてもまた会いたくて

前世で死んだら気づけばここに来てて、神様からなるさんはここに転生して生まれ変わっていると聞いたとき、私はとても喜んだの」

俺は驚いた。レダが大人の女性と変わらない、落ち着いたしゃべり方になっているのだから。


「ありがとう、レダ…あのとき助けた猫が君だったと知ったとき、正直俺は君をあの暴走ドライバー達から助けることができて良かったと素直に感じたよ

おまけに本当のレダはこんなに大人だったんだと知って嬉しいよ!」


「ウフフ、ありがとうねなるさん!

元の世界に戻ったら私をいっぱい触ってく……イタ!」

気づけば俺は、レダに対して軽くチョップしていた。


「な、何すんのよ~⁉︎」

理由が分からず頭を押さえながら抗議してきた。


「すまんレダ……俺も正直お前のことは遠慮なく抱きついて普段触らないとこも触ったりしたいんだ

だけど、向こうでの年齢は俺たち7歳と5歳だろ?またいつだかみたいに他人や両親に見られてヤバイ空気になったらどう言い訳するんだ」


「えーっと……思いきって抱きついて大好きアピールしちゃう!」


「お、俺の理性が持たねぇよ~⁉︎」


「ハハハハハ!おもしれぇなお前達は!まあ確かに、下界でのお前達はまだ年端もいかねえただのガキだから、ナルガスの言い分は正しいわな」


「むぅ~~!」

レダはかわいくほっぺを膨らませている。


「さ、さわりっこは俺も頻繁にはできないけど、手を繋いで一緒に歩く位ならいくらでもできる……ぞ?」

 俺はさりげなくレダに提案すると…


「それ!それやろう‼︎」

勢いよく同意してきたので、俺も快く頷いて応えてみせた。


「そうだ神様、あの毒スライム達が俺たちの世界にいた神様に感謝しているって事を伝えてあげて欲しいんだけど」


「おう任された!お前も、怒りにとらわれずによく向き合うことができたな……偉いぞ?」


「えへへ!…まぁ、あのときは俺の怒りよりもレダとお母さんの怒り方が一番怖かったけどね」


「し、しょうがないじゃない!女の体を舐め回すような目で見られ、おまけに堂々と犯すなんて言葉を使うやつらなんてコラシメルのが一番……でしょ?」

レダの体から紫色の薄いオーラみたいなものが揺らぎ始めると、雰囲気も少しだけ変わった気がする。


「「「⁉︎」」」


「レ、レダさん、気持ちは分かるけど正気になって?ね⁉︎」

俺はレダをなだめ、ライさんと神様は揃って震えていた。


「正気って……私から言わせればなるさんが怒った時の方が怖いよ!本当に絵本で読んでた鬼猫様、まあライさんだったんだけど

それを想像しちゃうくらい怖い顔してたんだもん‼︎」

腕を大きく回しながらレダは訴える。


「そ、そうなのか……あっ、そう言えば神様に見てもらいたい姿があるんです

ライさんが俺と戦ってくれたときに身に付いたもので、思いっきり怒ったことで目覚めた力なんですが……フンッ!」

一瞬だけ力を込めてみると、俺の周りには赤い光に黒い稲妻らしきものが立ち込めた。


「な、なるさん⁉︎」


「「ナルガス(殿)‼︎」」


「フゥ……これも鬼猫化と関係しているの?」


「ナルガス殿!その姿は危ないから早く戻ってくだされ⁉︎」


「おいこらナルガス、何考えてやがるんだ‼︎早くそれを引っ込めろ!」


「いやぁ‼︎怖い怖い怖いぃ⁉︎」

みんなが恐れの余り取り乱す。


「って、みんな怖がり過ぎでしょ!俺はこの通りまともだよ?怒り狂ってなんかいないじゃん‼︎」


「それでも十分にあぶねぇんだよその姿は⁉︎つーか何でそんなもん平気で身に付いてんだ!」


「分かりませんよ!俺もこれが何か聞きたくて見せたんですから‼︎

おまけにしっぽも二本になってるし、俺が一番知りたいんですよ!」

俺までも混乱して大声で訴え始める。


「ハァ……俺も長い間この世界の出来事を見てきたが、ライの鬼猫化とはケタ違いで危険だとしか正直わかんねぇよ

はっきり言ってお前が初めてだよこんな事!」

神様が頭の髪の毛を乱暴にかき乱しながら苛立ちを露にしてこたえていると、ライさんが俺にふと聞いてくる。


「ナルガス殿、そなたのいた時代ではこのような姿の者がいたのでありますか」

ライさんがなるべく落ち着いた話し方で俺に聞いてくる。


「無いよ……あったらとっくに前世で悪目立ちするやつがたくさんいただろうし、下手に動いたら真っ先に前世の権力者に利用されてるはずだから」

赤いオーラを漂わせながら、片手で頭を押さえてしまう俺の事を見ていたレダも、会話に入ってくる。


「…な、なるさん?それってもしかしてだけど、すぐに元に戻せたりするの?」

 

「ああ、もちろんすぐに戻せるよ?……スー、ハー」

深く深呼吸をしながら力を抜くとあっという間に元通りの姿になった。


「信じられねぇ…」

神様の一言を聞いた二人は、全くだと言わんばかりに頷いていた。


「神よ、この力を封印する方法はございませぬか?さすがにこれは我とて心が安らぎませぬ」


「まああるにはあるが、ナルガスがその手段を使ってどう思うかだな?……ちょっと待ってろ」

えっと、俺なにかされちゃうの?

そう考えると、正直不安になってくる。


「ナルガス、そんなに身構えるようなもんじゃねぇよ

ただ、恥ずかしい思いはすると思うからそこだけ我慢してくれよ?」

そう言って神様がにやけながら異次元空間から取り出した物は、なんと前世でもよく見かけていた飼い猫がつける赤い首輪だった!


「んにゃ~⁉︎」


「ほうほう」


「か、かわいい…かも」


「さぁてナルガス?良い子だから大人しくしてろよ~?」

神様が笑いながら俺に首輪をはめようと近づいて来る。

その姿はまさに、飼い猫に首輪をつけようとやってくる飼い主のようだった…


「か、神様!別にそんなのつけなくていいんじゃない?俺はいつでも戻れるんだか……ら?」

いつの間にかライさんとレダが、それぞれ両手と両足を封じてしまう。


「許せナルガス殿…我も命が惜しい故」


「ウフフ!かわいい格好のナルガス兄さん、見てみたい♪」

ライさんは命がけで身を守ろうと必死な顔で両腕を押さえているのに対し、レダはよだれを垂らしそうなくらい緩んだ顔で、俺の足を押さえていた。


「あわわわ⁉︎」

慌てて逃げようとしても、時すでに遅し……気づいたときには、俺の首に赤い首輪をかけられてしまっていたのだ。


「うっ!…ぐぅ‼︎ダメだ、外せない⁉︎」

思いっきり力を入れて外そうとしても、全く外せる気配がなかった。


「無駄だナルガス…それは破壊不能アクセサリーなんだ

だから自慢の力をどんだけ出しても、決して外せないぞ?」


「あぅ~~」

ショックを受けて一気に脱力してしまった俺は、その場で項垂れている。


「まあそう悲観するな!案外人気者になれるぞ?」


「なるさん、戻ったら存分に愛でたげるね!えへへへ……」


「もう、どうにでもしてくれ」

俺は諦めて受け入れることにした。


「安心しろナルガス、それは成人前には外れるようにしてある

だからそれまで我慢してつけてろよ?」


「大人になるまでですか……分かりました」


「大丈夫!なるさんは怖い姿にならなくても十分強いんだから

それに……その格好もなかなか似合ってると思うよ?」

レダが俺を励まそうとしてくれてるが、正直複雑な気分である。


「さてと、とりあえずライとレダ

お前達にはこの先必要となるスキルを今のうちに渡しておこう

まずはライ、こちらに来て少しかがめ」


「ハッ」

ライさんが神様の前にかがむと、神様の右手が淡い光を放ちその手を目の前にかざした。

すると、ライさんの体が青白い輝きをしばらく放ち、すぐに消えていった。


「なんとも不思議な感覚でありますな

スキルの見方とは、どうすれば良いのですかな?」


「そうだな、とりあえずステータスとだけいってみろ」


「御意…ステータス」


ヴォン!


ライ  レベル150


HP300000 MP100000


スタミナ1000000 素早さ500000

攻撃力200000 防御力250000


スキル:

怒りの化身S 鑑定B

気配察知SS 獄炎魔法S

魅了SSS 空間転移D

王者の覇気SS 剣術A

New神の神託I

Newステータス閲覧I

New毒耐性E

称号:

万物の異性を統べるもの

生物の支配者 万人を探りし者

インフェルノ 怒りし鬼猫

プロ鑑定者 空間移動の達人

剣術の師範代 Newかけだし神官


「ぬを⁉︎なんとこのような事が…」

ライさんは初めて見るステータス画面に驚いてしまう。


「よし!ちゃんと入っているようだな?

次はレダ、来なさい」


「はい」

レダもライさんと同じようにして、神様にスキルを与えられた。


「よし、早速確認してみろ」


「分かりました!」

レダは何となくウキウキしていた。


「ステータス!」


ヴォン!


レダ レベル35(↑)


HP10500(↑) MP31000(↑)

スタミナ35000(↑)

攻撃力1000(↑) 防御力30500(↑)

素早さ25000(↑) 器用700(↑)


オリジナルスキル

賢者の申し子C


習得スキル

爪攻撃F 逃走B 全属性魔法C(↑)

収納魔法C(↑) ナイフE(↑) 

サーチC(↑) 魔石喰らいS

鑑定F(↑) 治癒D(↑) 解毒魔法H

ステータス閲覧C オーラ視A

気配察知D(↑) 威圧E(↑)

威圧耐性D(↑) NewムチH

New封印術I New空間転移I



称号

敏腕走者 一流の賢者

いっぱしのナイフ使い 

上級索敵者 半人前レンジャー 

驚異の第三の目 歩く情報解析

New畏怖の克服者 New封印者


「えっ!ウソ、封印⁉︎」

こりゃまた、すごいスキルをもらったなレダは。


「恐らくお前達が大人になるまでに、更に面倒な事になるやも知れんから念のため渡しておいた…」


「それは戦争とは比べ物にならないものですか?」

俺の疑問に神様は黙って頷く。


「あとナルガス達には酷な頼みをしたいんだが構わないか?」

神様の表情が曇りだす。


「…まずは聞かせてください」

俺は慎重に判断して話を促した。


「分かった…お前達に頼みたいことは一つだけだ

実はな、北の国にいる王ノーガルドって言う猫族がライに会いたがってんだよ。

落ち着いてからでいいから、ライの護衛として共に向かってくれねぇか?」


「我ですか!」


「ああ……ライの一番の親友だった初代のノーガルド王に関しての話を聞きたいみたいでな

ライには直接会って、話をしてきて欲しい……

まあ、あそこで呼び出されたモンスター達は襲いかかってくるやつなら倒しても構わんだろうが…ナルガス、お前は冷静に行けそうか?」


「……行くことはできますが、冷静にっと言うのは、正直無理があります

恐らく北の国のゴブリンやオーク達を前にしたら間違いなく冷静さはなくなりますね」

そう、俺は赤ん坊の頃から目に焼きついて離れない光景が、未だに抜けていないのだ。


「そうか…仕方ない、お前が成人してからこの頼みを改めてしよう

その頃にはお前も気持ちを落ち着かせるようになっているはずだからな」


「はい…」

俺は、まだ不安げに答えるのが精一杯だった。


「まあ今はできることに励めばいい

確か向こうの世界で学校を作るとか話していたようだし、まずはそこを解決することだ」

神様の言うとおり、今は自分達で決めたことを頑張ってやっていくとしよう。


「よし、お前らそろそろ戻ってやれ

待ってるぞ?ジルカが」

どうしたのかな?とりあえず、みんながお互い目で合図をしてから含み笑いをしている神様に向かって軽く頭を下げて、俺たちは祈りの間に戻っていく。



ナルガス達が神の玉座前から姿を消した後、神は白い階段を上がっていき玉座に座ってからタバコをふかして、ある事を考えていた。


「…ナルガス、お前はどこまで強くなってしまうってんだ?

まだ7歳であんなものを身に付けてしまうと、将来不幸になりかねんな

よし、あいつが成人するまではレベル上限の制御をしておこう!

スキルの熟練度上げだけは、そのままにする

では早速あいつのステータスを確認してみるか……」

神は空いている片手にナルガスのステータスボードを出現させてみた。


ヴォン!


ナルガス レベル70(↑)


HP50000(↑) MP30000(↑)

スタミナ100000(↑)

攻撃力50000(↑) 防御力30000(↑)

素早さ200000(↑) 器用10000(↑)


ユニークスキル

オーバーセンスA(↑)

(あらゆる行動をゆっくり見る事ができるようになる。 ・任意で発動する)


オリジナルスキル

神々の智恵E(↑)

(天使や神からの助言を聞くことができるようになる。)


習得スキル


回避SSS(↑) 爪攻撃D 斧D

解体B 罠師F 調合G(↑)

逃走S(↑) 毒耐性G 麻痺耐性G 

風魔法B(↑) 収納魔法A(↑)

剥ぎ取りB ナイフB 解毒魔法H

魔石喰らいC(↑) モンスター喰らいF

 サーチA(↑) 鑑定E(↑) 

ステータス閲覧SS(↑)

オーラ視SSS(↑) 空間操作A(↑)

威圧SS(↑) 危険察知B(↑) 

New水魔法E New土魔法E 

NewダークレールG

New鬼猫変化G New双剣B

New超鬼猫化F New弓術F

New空間転移I


称号


猫を愛する者 復讐者 逃走の極意 

初級調合師 プロサバイバー 

一流狩人 隠密者 デュアルプロ

切り裂き魔 罠の達人 神速回避

ウリボアの天敵 敏腕狩人

木こりの玄人 韋駄天15(↑)

上級レンジャー 情報を司るもの(↑)

神の目を持つもの 鬼人が恐れし者

ゴブリンハンター見習い

モンスタークラッシャー

半人前弓使い


「……フゥー」

神はしばらく沈黙してから深い溜め息をついた。そして…


「なにバケモンじみたことになってんだオメェはーー⁉︎」

誰もいなくなった神の間に、神様の怒声が響き渡っていった。


「……」

神以外誰もいないはずの空間に一人の存在が身を潜めていたのを、神は見逃さなかった。


「誰だ、そこの空間に隠れている奴は……出てこい」


「クク、流石は神様……私の気配を感じてしまわれるとは」


「⁉︎お前は…何故そこにいるんだ!」

正体不明の相手が空間の隙間をつくり、神の間に立ち入って来る姿を見て、神も思わず驚いた。


相手はなんと、先日ナルガスがスキル:神々の智恵を使ったときに現れていた、天使だったのだ!


「天使長ルシフェル、かつて人として生きていたお前が誰の権限を得て入ってきたのか…答えろ」

神は警戒を一切緩める事なく問いただす。


「おお、我が主よ!お気を煩わせてしまい申し訳ありません……

私はナルガスと名乗る素晴らしい力を身に付けた彼の事を気に入ったのです

あの方こそ、あなたが求めておられた次期神候補と私は感じて、興味を持った次第なのです」


「引き下がれ……お前が望む通りの事なんざ俺は認めないし許さねぇ

あの世界までもお前のような愚か者がいた世界みたいに、悪魔の住む土地へと変えられちまうだろうが!

俺はお前がここに来られないようにしてやる

ナルガスにも近づけないよう今すぐお前の姿を忌まわしきものへと変えてくれるわ!」

神はこの天使長を全ての種族が意味嫌う、悪魔と呼ばれる姿に形を変えた。


「お前は天使に姿を変えることもあいつらに干渉する事すらもできん

そのまま闇の世界に落ちていけ!」

神はルシフェルが立っていた所に、無限の闇が広がる穴をつくり彼を落とした。

ルシフェルは穴を落ちながら心の中でこう呟く。


(ククク、すでに争いの種は撒いておいた

これも計画通り……神よ、お前の力と玉座に座る権限は必ず私が頂くぞ)


「ははははは!………」

狂ったように笑いながらルシフェルは落ちていった。


「人の心がもつ[悪の種]だけは結局消す事はできねぇのか……」

神は以前より彼の心も読まれたので、事の深刻さを既に把握していた為、すでに新しい天使長の候補をたてていた。


「グレニエル、ここへ」


「はい神様…」

呼ばれた天使は、一瞬で姿を現した。


「今日からお前が天使長となり、この天界の天使達をまとめろ

俺は今後あの世界を守るために尽力しなきゃならねぇ……

ナルガスのあのスキルで助言する役は俺がすることにしたから天使達の事は頼む」


「はい、お任せください」


「ああ」


ナルガス達が戻っている間に起きたこの出来事は、後にこの世界で起きる滅びに入る序章に過ぎない。

だが神は信じている。ナルガス率いる全種族達が、神やあの悪魔ですら予想できない形で真の平和へ至る道を探してくれる事を。

玉座の間から去っていったナルガス達を見送った神様がナルガスのステータスを閲覧した途端驚愕している最中、なんと空間の裂け目から邪な顔をした天使長が現れる。

そして彼の本性を初めから見抜いていた神様は、彼を誰もが嫌う「悪魔」と呼ばれる姿に変えて闇の穴に落としたのであった。

天使長だった彼が企んでいた計画とは、一体……

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