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24/74

レダの秘密

いよいよ出発の朝を迎える。

俺達家族とジグルさんにギウルさん、ライさんとサラティ・ルネーガ、ヴォルス・シエッタ、エリオル・リオンがこの町を出て冒険者達と共にゲラルドに行くところである。

行く前にライさんが受けた薬草探しも俺とお父さん、レダとシエッタがサーチや鑑定で探すのを手伝うことにしたのだ。


探しながら進むことになってちょうど良いし、道中のモンスターは先頭を歩く冒険者がしてくれることになったが、奇襲大好きなファングラビットについてはみんなで少し警戒することにしたのである。


「ライさん薬草見つけたぜ!」


「おいらも見つけたよ~!」


「ぼ、ぼくも!」

ヴォルス、ルネーガにエリオルも俺やレダとシエッタがサーチをかけて警戒しながらみんなで薬草探しを順調に続けている一方、サラティとリオンは退屈そうにライさんの少し後ろを歩いてついてきていた。


「ねぇリオン、やることなくてなんか退屈じゃない?」


「やっぱりサラティもそう思う?私も同じ…」

後ろの二人も本当は戦闘に参加したいんだろうが、正直我慢してもらいたい。

何せ殿(しんがり)をつとめてもらっているんだから、いざという時は働いてもらわないと困る。


まあ、二人にはこの近辺の魔物は手も足も出せないけどね。


「お主たち、後ろを守る者がそんな気持ちでいては守れるものも守れぬぞ?」

ライさんも後ろの二人に軽く注意してくれた。


「うぅ~…」


「はーい…」


「気落ちする必要はあるまい?ナルガス殿も、お主達なら十分に後方の対処ができると言ってくれているのだ。

どんな相手でも油断せずにおれば、誰もけが一つ負うことなく目的地にたどり着く」


「そうは言うけれどライさん…」


「私たちもこの辺のモンスター相手ならどんな事があっても倒せるのに、何故油断するなと言うの?」


「それはな…自分の力が強いと感じてる時ほど弱いと思った相手に足元をすくわれて、痛い思いを我もしたことがあったからだ。」


(えっ‼︎ライさんもそんな時期があったなんて知らなかった!)

俺はそう心の中で思いながら、後ろの声に耳をすませてみる。


「恥ずかしい話、我も初めてこの世界に来た時の話だ。

スライムや他の魔物共もたやすく倒せるようになった頃に一人で20匹のスライムを難なく倒している最中だった……

そんな時、確かにたたき切ったと思った一匹がなんと既に二匹に分裂していたらしく、我の両足に絡み付き他のスライム共によってタコ殴りにあってしまったのだ。」


「「ええ……」」

うわぁ、俺もスライムをなめてかかるのは辞めておこうかな?なにせ俺はほとんど回避に特化した動きだから、足を封じられたらパニックになってたかも。


「ど、とうしようリオン!私たちうっかりスライムのあのネバネバした液体が体についちゃうのは嫌!」


「わ、私だって嫌よ!」

フム、スライムでベトベトの女の子とはまたけしから……ゴフゥ⁉︎


「…お兄ちゃん、あんまり変な事ばかり考えてると夜のサワリッコで痛いところも突っついちゃうよ?」

俺の前にいたはずのレダが、いつの間にか驚きの速さでバックステップで近づき、その勢いのまま俺の腹めがけて肘うちを食らわしてきた!


何故だ?いくらオーラ視があるとはいえ後ろを振り返らねば見えぬはず。


「お、俺が何考えていたのか分かるの?レダ」

俺はお腹を押さえながら、思わず疑問をぶつけてみた。


「う~ん、ナントナク感じた……としか言えないかな~?」

レダは笑顔だが怖い…怖すぎる⁉︎


小声で(そんなに女の子が好きなら、レダを抱いてよ…)って聞こえた気がしたんだが気のせいだろうか?


「レダ、最後に何を言い……」

俺が尋ねようと声をかけたらすぐに振り返り、こう告げてきた!


「お兄ちゃんの鈍感!」

レダが俺にきつい言葉で怒鳴る。


「ぐはぁ‼︎」

ショックを口に出しながらその場で崩れる俺。


「「あーあ…」」


「ナルガス殿…それはさすがに」


俺がしばらく動けないのを横目に、サラティやリオンにライさんまでも憐れむ目を向けながら、そのまま歩いて進んで行った。

何がいけないのか、さっぱり分からないよ…


そんな気持ちで膝をついて落ち込んでいるなか、遠くでお父さんだけが駆け寄ってくる。


「おーい、しっかりしろナルガスー?」


「うぅ~…お父さん」

俺は訳が分からなくて、シクシクと泣きじゃくっていた。


「一体どうしたんだ?レダが鈍感って言葉を口にしたのを聞いて、俺とレアナも思わず顔を見合わせちまったんだが」

俺はサラティとリオン、ライさんの会話を聞いて思ったこと。

そしてその最後に考えていた事をレダに見破られたかのように、レダから腹に肘うちを食らわされて彼女が俺にはっきりと聞こえない声で何かを呟いた事に対して疑問を口に出したら、こうなったことを思い出せる限り打ち明けた。


「……ああナルガス、それは確かにお前の言葉が原因だわな。」

お父さんもみんなと同じことを言ってきた。


「何で?俺は7歳だしレダは5歳なんだよ?その状態でお父さん達みたいに夜中抱き合って、子供のうちに子供をつくる真似なんてしてしまっても良いの?」


「う⁉︎み、見られてたのか…そいつは悪かったな。確かにそれに関してだけは、お前の言うことは正しい……だがな」

お父さんは一度口を閉じて改めて告げる。


「レダも5歳とはいえ女の子なんだ。

今はまだ好きな相手に素直な気持ちを伝えているだけだろうから、子供をつくる真似まではしないと思うぞ?

あとはまぁ、お前は気づいてなかったかも知れんが完全にエッチな事を考えてるのがまる分かりな顔をしていたぞ。

今後は、一人でいる時だけ想像しろ」


「えっ⁉︎顔に出てたの?どうしよう…」

思わず手で顔を隠す俺


「ハハハハ‼︎本当にお前はお父さんの子だな。分かりやすいにも程があるぞ?

とにかく、先に俺がみんなの所に戻っておくからお前はゆっくり考えながら来い。良いか?」


「……ハイ」

お父さんは俺の返事を聞いてから、駆け足でみんなのいるところまで戻っていった。

俺は一人で歩きながら、レダと出会ってからこの2年間、まともに女の子として見れていなかった事を思い出している。

なにせ、当時は5歳と3歳で兄妹として暮らしていたのだから。


思えば初めて会ったときからレダの行動は、俺が人のことを言えた義理じゃないがいつも戸惑う事ばかりだったな。


オオカミモンスターから助けたときに俺の怒る顔に怯えていたのに、後ろから宥めてたら急に体の向きを変えて俺の口にキスをしてきたり、いつのまにか俺の寝床に入り込んでたり…

今でも昨日の事みたいに思い出せる。

そうやって静かに笑って思い出しながら歩いてたら、既にみんなの所に追い付いていた事に気づいた。


「どうしたのナルガス?すごく嬉しそうだけど」

リオンが不思議そうに聞いてきた。


「ん?ああいや、ちょっと初めてレダに会ったときの事を思い出してただけだから」

その言葉を聞いて、レダの耳としっぽがピクンと反応した。


「わぁ、なんか私も気になるわ!レダの昔話」

サラティも会話に参加してきたところで…


「お、お兄ちゃん!まだいっちゃダメぇ‼︎」

レダが慌てて止めに入ってきた。


「えっ?どうしたんだレダ?」

俺はレダが単に恥ずかしがっているのか、または聞かれたら困る事なのか分からなかった為一度聞いてみると、答えが返ってきた。


「今夜皆にも教えてあげるから、今はお願いだから待って!」


「う、うん…分かった」

何か俺達家族でもすぐには言えない話なのだろうか?などとと考えながらそのまま歩いていると……


「サーチに赤い反応が11!両方の茂みから半分ずついるよ!」

俺も気づいたがシエッタの方が早く大声で皆に呼び掛ける。

すっかり索敵のベテランになったな…と感動するのもほどほどにして、皆と同じく意識を集中していくと急に連中はバラバラに動き出した。


何かがおかしい、これはもしや陽動か?


「みんな、相手を追いかけちゃダメだ‼︎」


一同「⁉︎」

俺の言葉に皆が慌てて止まる。そして…


「レダ!上だ‼︎」


「!」

俺の声を聞いて俺達の後ろに来たレダ。

そこを入れ替わるように現れたのは、なんと猫族の大人女性が短剣を片手に彼女を切ろうとした格好をしていた。


「…チッ‼︎」

女性は忌々しそうに俺達を見ている。

先頭を歩いていた皆も振り返り、驚きを露にしていた。


「おい誰だお前は‼︎うちの娘に何しやがる!」

お父さんはひどく激昂している。

俺も同じく怒っているのは、2本のしっぽをワナワナ激しく動かせているのが見て分かるくらいに。


「はん!あたしらは金で雇われたただの盗賊さ。その娘を殺すようにうちらの国のお偉いさんに言われて殺しに来ただけだよ」


「盗賊だと?お前らはどこの国のもんだ!」

お父さんとお母さんは目尻を吊り上げて、盗賊の頭らしき目の前の女を睨み付ける。


「知る必要があるのかい?これから死んでいくお前らが。」

不敵な笑みを浮かべて舌なめずりする女盗賊


「…おいお主ら」

ライさんが恐ろしい殺気を放ちながら女盗賊に少しずつ近づいていく。


「何よ……ひっ⁉︎」

女盗賊は一瞬で怯えて声を出せなくなった。

そりゃライさんは一時魔王呼ばわりされてたくらいなんだもの、怯えない訳がない。


「我が主・ナルガス殿の妹君レダ嬢に危害を加えるというのならば、我も容赦はせんぞ!」


盗賊一同「ヒィーーーー‼︎」


「あっ!おいてめぇら、あたしを置いて逃げる気か⁉︎」

女盗賊は腰が抜けて動けなくなり、仲間にも見捨てられてしまう。


「…お兄ちゃん、この人にオシオキして良いよね?」

いつの間に取り出したのか、鋭い棘が付いているムチを手にしたレダが俺に聞いてきた。


「あ、ああ……怯えすぎない程度にな?」


「はぁーい!」


「イヤァーー‼︎」

俺がレダから放たれている威圧を感じて戸惑ってる中、嬉しそうにムチを振るうレダ。

棘付きのムチを当てられて発狂している女盗賊からの阿鼻叫喚を聞き続ける事になったライさんを含めた俺達全員は、全身から血の気が引いていくのを感じた。


しばらくレダのオシオキが続いてから、女盗賊は必死に謝って来た。


「ゴメンナザイ‼︎襲う理由も誰に言われたかも白状するから、もうゆるじで~‼︎」

あっ、なんかデジャブを感じる。


「はいレダ、ストップストップ!」

俺はすかさずレダの手を止めた。


「…ぶぅ~~!」

レダ、だから膨れるなって…

俺はレダの頭を撫でてなだめながら女盗賊にとりあえず事情を聞こうと思ったのだが、今の格好が既に犯罪的なエロさになってる事に気付き、慌てて後ろを向いた俺とお父さん。


同様に反対側にいる男たちも、男の子達には見せないように立ってあげてはいるが、当人たちは鼻の下を伸ばして見入っていたらしい。

女冒険者や女の子達から「見んな~!」って怒声が聞こえてきた。


ライさんは慌てて後ろを向いた俺に対して優しく見守った後、レダの頭に手を置いてから真剣な顔になって代わりに尋ねてくれる。


「では聞こうか…誰の差し金でこんな真似をしたのだ?」

ライさんは魅了SSSだからか、それともかつて武士だった為かは知らないが、こんな事態に陥っても関心がないみたいに毅然とした態度で女盗賊に聞いてきた。


「ひぐっ!…あ、あたしらは南の国の王様に命令されただけなんだよぉ~!何故かは教えてもらえなかったけど、すごく切羽詰まっていた様子だったし」


「なぬ?……ラルガよ、確かゼンドランより先にある都市はグラゼンドではなかったか?」


「ああ、そうだが何故今になって……しかもレダを狙う理由が全く思い当たらない。」

ライさんの問いかけにお父さんも後ろを向いたまま戸惑いを見せていた。


「とりあえず、これ以上その格好のままで話すというわけにもいかぬか。女の方々で、誰か服を分けてやってくれぬか?」


「それなら私が出すわ!同じ猫族だし」

お母さんがレダを手招きして、収納ポーチから服を一着着せてあげることにした。


「はい終わり……男性達、もう見ても大丈夫よ」

そう言われてみんなが振り替えると、ピンクのワンピースに着替えおわった、女盗賊とは思えないくらい魅力ある女性の姿がそこにいた。

俺はレダの視線もあるのでまじまじと見れなかったが、とりあえず最初よりは大丈夫かな。


「盗賊でなかったらこんなかわいい格好の若い娘なのに…残念ね」

お母さんはとても残念そうな顔をしてため息をついた。


「し、しょうがないじゃん!他に生きる手段がなかったんだから‼︎」

照れるのと怒るのが混じってるような反応の女盗賊に、異種族の男達もその服装に魅了されたのか目がランランと輝いていた。


俺はそれを尻目に一度サーチで確認したが、気付くと逃げた盗賊達の反応が突然青い反応に近づいた瞬間に消えた…それもバラバラの所で。


青い反応の数は全部で10、今度はなんなんだよ……

物事が急展開すぎて気持ちが落ち着かなくなっていたのだが、その正体が顔を出して俺達に声をかけてきた。


「ゲップ!あー久しぶりに生き物を食ったけどうまかったなぁ……おっ、ナルガスのぼっちゃん久しぶりだなぁ!」


「毒スライム達⁉︎」

俺の声に驚いて皆も彼らをみて途端に身構えてしまう。


「おい待て待て!俺らは移動中に勝手に近づいてきたあの生き物(盗賊)どもを餌にしてただけだぜ?あんたらにまで手を出すつもりはねぇよ!」


一同「毒スライムがしゃべった~!」

俺達家族を除いた全員が一斉に驚いた!


話がさらにややこしくなってきたけど、俺達はこの毒スライム達とどんな関わりがあったかを、夕時近くまで説明していく事にした。

とりあえず、今日の移動はこの辺にして開けた所でキャンプを張り、一晩を皆で過ごす事に。気持ちの整理がつかないだろうしな…


「……ラルガ、話には聞いちゃいたが改めてお前ら家族はとんでもねえな?」

ジグルさんとギウルさんは揃ってお父さんをみて話す。


「いやぁ、ハハハハ…」

笑うことしかできなくなったお父さん。


「…あんたらがあたしの子分達を食べたことに対しては、あたしもどう考えて良いのか分かんないよ。別に仇をとりたいって思うほど、あたしはあいつらに対して情は無かったし」

女盗賊もとい、[ジルカ]は落ち着いた調子で言う。


「まあ、俺らもある意味同業者だったしな…そんな気持ちになるのも分かるさ」

さすが、政府に雇われていた元暴力団は説得力が違うな。


「それにしてもナルガスぼっちゃんは、毎回とんでもねぇ事ばかり味わってますなぁ?俺達も混ぜてもらいたいですわ」


「おいおい、さすがに街中へモンスターを連れていけないだろ?」


「それなら問題無いですぜ?最近俺達も変化能力を覚えたんだ!食べた相手ならどの種族にでも化ける事ができるぜ。」


「えっ!マジかよ…お前らもすげぇな」


「へッへッへ?じゃあいっぺんあの猫族の盗賊達に姿を変えて見せようか……あんたも構わないかい?」


「ん?ああ、あたしは構わないよ」


「よっしゃ!おい野郎共」


毒スライム一同「へい!」

彼らはなんと、あの猫族の盗賊達そっくりに姿を変えた。


「へぇ、こいつは驚いたよ!見事にそっくりじゃん‼︎」

ジルカは思わず手を叩いて称賛した。


「ナルガス殿にラルガ、レダ嬢達が呼んでおったぞ…ってお主ら何故!」

ライさんが思わず斬りかかろうとしたので、俺は慌てて止めた。


「待って待ってライさん!彼らはあの毒スライム達だから‼︎」


「むっ?そうなのかお主ら」


毒スライム達「コクコクコクコク!」

激しく肯定している姿を見たジルカは、思わず笑いを吹き出す。


「プッ……アハハハハ‼︎楽しいねあんた達!こんな風に笑えたのは生まれて初めてだよ。」

ジルカは座っている椅子をバンバン叩きながら大笑いしていた。


「おいおいジルカさん、あんたもライさんの一睨みですっごく怯えてたじゃないか…」

俺は即座に突っ込んだ。


「い、良いじゃないの別に!本当に怖かったんだから‼︎」


「…へぇ、その話興味あるなぁ?」

顔を真っ赤にして照れ隠しで騒ぐジルカに対して、毒スライムのリーダーが興味深そうに首を突っ込んできた。


「えっと、ライさんって言うんだっけか?どんな風にびびってたのか詳しく教えてもらえませんかねぇ?」

下卑た顔をしてジルカさんの話を聞こうとした彼に向けてライさんも語る。


「お主らは全く……まあ良い、話すとしよう」

なんだかんだ言ってライさんもノリノリだったのだ!


「じゃあ俺達はレダの所に行ってくるよ…ライさんまたねー!」


「じゃあなライ!」


「ウム、ゆっくりな」


「えっ?ちょっ、ちょっと~!」

ライさんと別れた俺達をジルカさんは引き留めようとしたが、時は既に遅し…

毒スライム達にしっかりホールドされていた。

猫族に変わってるから、状態にならないはずだけど。


「レダ、皆も遅れてごめん」


「すまん、話が弾んでいたんでな」


「「ハァ…」」

俺とお父さんはそれぞれ謝るのを見て、レダとお母さんは同時に軽くため息をついた。


「ここまで声が聞こえてたわよ、あなた達」

お母さんがあきれた声で言葉を返してきた。


「そうだぜナルガス!せっかくレダが俺達に打ち明けようとしてくれてんだから、ちゃんと来てやらねぇと」

ヴォルスがお母さんの言葉に同意し、周りの子達も同じ様に頷いていた。


「ゴメンゴメン、その通りだねヴォルス」

俺は素直に謝ってからレダの隣に座り彼女を見る。


「んもう、お兄ちゃんってば…」

レダもプリプリ怒りながら不満をぶちまけていたので、俺はレダの頭を優しく撫でながら機嫌をとっていた。


「よしよし、ゴメンね?」


「うみゅ…」

レダも気持ち良さそうに目を細めて、機嫌を取り戻してくれたのか話をしてくれることになった。


「しょうがないなお兄ちゃんは……じゃあ改めて話すね?ずっと黙っていたけど、私もお兄ちゃん達に言えなかった事が二つあるの」


「「「二つ?」」」

あれ、そうだったのか?一体なんだろうか。

俺は頭をひねって、何なのかをしばらく想像していたらレダの口からすごい秘密が語られた。


「まず一つ目…私は、賢者の夫婦から生まれた子供なの」


一同「⁉︎」

そうか、それでステータスにも賢者の文字が現れていたのか。でももう一つって何だ?全く見当がつかないぞ。


「まさか賢者夫婦の子供だったとはな…どうりで魔法の類いが豊富なわけだ。」

ジグルさんとギウルさんも驚いている。


「…うん黙っててごめんなさい。そしてもう一つ、これはお兄ちゃんには特にとても関係があることなの」


「えっ俺とか?一体なんなんだそれ」


「えっとね?実は私も……」

ん?私も?


「わ、私もこの世界に転生してきてたの‼︎」


「何ぃ~⁉︎」

盛大に驚いてしまった。


「ちょっ、ちょっと待ってくれレダ!じゃあお前も転生してきた人間なのか?」

俺は動揺しながら聞いてみたら、想像もしてなかった答えが返ってくる。


「違うの!私はあなたに助けてもらっていたあの黒猫なの」


「なっ‼︎」

俺は再び、仰天してしまった…


「あなたが自分の身を顧みず、私を先に逃がしてくれたからその時生きることができた……

でもその後は、何日か食べ物を手に入れる事ができなくて結局死んじゃったんだけどね」

レダは一瞬だけペロッと舌を出しながら、茶目っ気を混ぜて笑うように話してくれた。


「ナルガスとレダ…二人は前世から強く結ばれていたのね?お母さんすごく感激だわ‼︎」

母さんがすごく涙を流して喜んでいる。

たった一度、俺は猫になつかれてただけのはずなのに。


「じゃあ、二年前になだめていた俺の顔を見て急にキスをして言ってきた言葉や、俺が寝てる間にベッドに潜りこんできてたのって…」


一同「ナヌッ!」

グルンッと、レダを除いた皆の顔が俺に向いてきたのに気付いて、俺はオロオロしてしまった!


「そうだよ?あのとき言いたかった言葉と態度をまとめて伝えてたんだから…」

顔を真っ赤にしながら本心を伝えてくれたレダに、俺まで顔が熱くなった。


「これはもう、10年たつまでに結婚して良いかもね」


「「お、お母さん⁉︎」」

俺とレダが同時に声をあげた。


「当然でしょ?そんな強い思いがあったから、同じこの世界で一緒になれたのならもう一緒になっちゃいなさい!」


「えっ、ええと…お母さん?」

なんかお母さんがこの場をしきり始めちゃったよ。


「そうだぞお前ら!なんなら、今のうちに子作りの仕方をそれぞれ教えておこうか?」

パシィン‼︎


お父さんまでもノリノリで笑いながら言ってきたが、それをお母さんは素手でお父さんの頭をはたいて注意してきた。


「んもう!まずはお互いが共にいられる時間を持ててからでしょ!だいたい子供のうちから赤ちゃんなんて生んでみようとした日なんか、レダはお腹を外から開かないと取り出せないかも知れないんだから!」


「ヒィ!そんなの怖いよ~‼︎」

レダがピッタリ俺にしがみついてきた。


「わ、悪かった…とにかく二人はすごい結ばれているんだからこれからも仲良くしろよ?」


「う、うん!」


「はい!」

こんな巡り合わせがあったなんて、正直思ってもいなかったな。

でも、戯れていた猫とこんな関係が持てることになるなんて、心の底から神様に転生してもらえて良かったなと感じる俺。


これからどんな運命が待ち受けているのかは正直分からないけど、俺は必ずレダを守る。

そして猫族の争いを治めていける事を少しずつやっていくんだ。


万が一俺がもしおに猫になってしまうことがあっても、決して理性を失わないよう明日には都市にある教会の中で神様にお願いしよう。

なんとレダはナルガス…もとい、皇なるに助けられた黒猫が転生した存在だった!彼もその事実を聞いて驚きはしたものの、こんな形で自分と同じ世界にいた野良猫だった彼女をこれからも守りたいと改めて心に秘める、ナルガスであった。

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