混濁した意識の中で
(ちっ、あー糞!糞が!ここでもまた貧血かよ!)
意識が消えたもののなぜか思考はできる、実際の体は多分倒れているだろう
(ものを作りすぎると貧血起こすのか?制約ありとかなろうできないじゃん)
「この様な状況で自分の利益しか考えんとは本当に勇者かのぉ?」
(何もんだ?俺の思考を読み取った?)
悪態をついていると少女の声が聞こえた、しかし声が聞こえず姿は見えない
「なんじゃわしの姿が見えんのか、なぜこやつをあの人は…まぁ良い」
少女が指を鳴らしたのかパチンと音が響くと白い空間が広がった、眼前には黒いロングヘアーの少女がいた
最も目を惹くのは髪ではなくよくあるラノベで出てくる様なゴスロリドレスの背中から生えた翼と尻尾
「ドラゴン…か?」
「そうじゃ、精霊を宿らせる儀式の時の事覚えておるか?」
「ヴェノムドラゴン…」
「あってはおるが間違ってもおる、わしはヴェノムドラゴンの中にある人格の1つ。名前は…そうじゃな…アリサじゃ」
アリサと名乗った少女はまた指を鳴らすと目の前にナイフとグロッグそしてマガジンが3つ
「お主、わしと一戦交えんか?先も数発撃っただけじゃろ」
わかったというと少女は身を翻し翼が体を包む、すると白い腕は黒い爪が生え口からは牙が露わになる先ほどまで黒を基調にしたゴスロリドレスは黒の鱗の鎧になっている
「うそぉん?!」
先ほどの可憐な姿は一変し獣の様な息遣いをした化け物とかした、グロッグを握りナイフはズボンに突っ込みその場から走る。もう少し離れなければあの爪でスライスされてしまう
グロッグのスライドを引き役室を見る弾はある、だがあの装甲を貫けるか?多分ドラゴンの鱗は硬い9ミリなんて豆鉄砲に等しい
じゃあどうする?何か逆転の材料は…スキル!そうだ、シーカーの戦闘スキルがあるはず!俺天職だし少しは
「えーと、待て待て。確か1つだけ一閃斬りが」
「独り言を言う余裕はあるのじゃな?」
アリサがすぐ横を滑空し尻尾で俺を殴る、衝撃は凄まじく俺の体は投げ飛ばされ地面に打ち付けられる
「くそ!」
グロッグを握り直し撃とうとするも
「遅い」
アリサの爪が腹部に突き立てられる、痛みはなく腹が熱い。とっさに右足で蹴りを入れようとするもあっけなく爪が突き立てられる
「こんなのでも勇者になれるとは…なんとも落ちぶれたのぉ」
アリサは俺を投げ飛ばそうと腕を振った
「くそったれが!!!!!」
足に刺さった爪が外れたのに合わせ腹に蹴りを入れその場から離れる、痛みがないんなら苦しくないだから戦える
そんなこじつけで無理やり体を動かし距離を置く、構えた左手のドラゴンが鉛の炎を吐いた。
だがそんな偽物など意味はないと言う様に爪で弾丸を切り裂く。本物の黒いドラゴンはその場で跳躍すると一気に距離を詰めた、落ち着けこれは狙いどうりだ
鞘からナイフを抜き右手で逆に持つ、眼前に迫る爪を刃で受け止め腕に足を絡めアリサの腹部にナイフを突き立てるもナイフは突き刺さるどころか刃が折れてしまった
「ほう、多少はできる様じゃな」
アリサは俺を振り払うと爪を収めた、戦う意思がないと思いナイフを捨てるだが左手のグロッグは持ったままだ
「安心せい、わしはお主を殺さんしここでは死なぬ。毎晩お主がわしに1発攻撃を当たれたらお主の疑問に答えてやろう、2つまで今日は答えてやろう」
「そうか、じゃあまず俺の召喚スキルの1日に作れる上限を教えてくれ」
「1日に5回まで、お主のレベルが上がれば作れる数も増える」
「5回?俺確か、最初のUMP3つとローダーと弾とマガジン、グロッグ…弾も軽く100発ぐらいだし」
「それが2つ目の質問か、お主の考えはマガジンと弾は銃の一部…はぁ。お主は早起きの様じゃな」
アリサはため息をつき下を向いた
「よいか?朝起きたら近くの騎士に銀貨を4枚と銅貨を1枚貰え、お主の装備も一緒にもらっておけ」
よいなと言うとアリサの姿が揺らぎ気を失った
目を覚ますと何もない白い空間ではなく質素な部屋だった、俺はベットに倒れていた
横に置かれた小さいテーブルにはストックが折りたたまれたUMPとマガジン、小さい箱に入れられた弾があった
「助かる」
机の向こうのベットで寝ている橘に感謝し部屋から出ると部屋とは違い豪華な装飾品が散らばる廊下だった
辺りを見回しても忙しなく廊下を行き来する騎士に話しかけられる雰囲気ではない
「あ、呉島様」
「え、あっおはようございます…」
「おはようございます、先日他の勇者様にお渡しした装備がございますのでどうぞこちらへ」
ローブを羽織った女性が話しかけてきた手には杖を持っており騎士団の魔法使いだろう
連れられたのは金属の枠でできた木の扉を開くと騎士たちが着ている鎧が並べられ剣が立てかけられている
その奥にある木箱を開けると質素なフードの付いた胸鎧とグローブそしてブーツが入っていた
「あの、城下町に行きたいんですけど」
「わかりました、どのくらいご入用ですか?」
「銀貨4枚と銅貨1枚お願いします」
少々お待ちくださいと言い女性は部屋から出て行った、思ったよりも簡単に出られるな
俺は先ほどの装備を着る、鎧は予想より軽くあまり音もしないブーツ履きつま先で床を軽くける
「軽いなぁ、これならアサシンになれるんじゃね?」
グローブの手首の部分を握り閉じて開いてみる、かっけぇ!
厨二心をくすぐられる装備に思わず感激し軽くポーズをとってみる
「お待たせいたしました」
「あっはい!」
見られたかとビクビクしながら握られた袋を受け取る
「鐘が鳴ったら城におかえりください」
「あっ、はい…」
「あ、こちらを」
渡されたのは短剣だったそれを受け取ると腰の横につけろとジェスチャーし付ける
簡単に付けられた女性に連れられ城門まで行った
「では、私はこれで」
「ありがとうございます」
最後まで名前のわからなかった女性は俺を見送ると城へと戻った
「さってと、早速探索するかー」
そう呟き俺は異世界の街へ一歩踏み出した




