憎悪-ヴェノム
「ドラゴニックハート…ヴェノム!」
赤黒い火を吐き怨竜は目をさます、意識を集中し持って行かれない様に。文字通り、食うか食われるかだ破壊者から守護者になってみせろ
「あれ、なんだ俺じゃん」
かっこつけておきながら何も起きず俺のまま、まぁいいケルアをぶっ殺してやるか
「ああああああ!!!」
腹の底から溢れる感情を獣の咆哮としてあげ土の壁の上に立つ
「そろそろいいかい?」
「いいぜ来やがれ、糞ったれ!テメェの豚のケツより汚ねぇ面引き裂いてやるよ!」
ガントレットから爪を伸ばし砂漠サソリの幻覚作用のある毒を流す、首を狙えば直ぐにでも殺せる
土煙が上がりウィップソードが眼前に迫り反射的に殴り地面に叩きつける、バンと放たれた弾丸を掴み握り潰す、毒が鉄を溶かしドロリと手から溢れる
「そこか!」
飛びかかり爪を突き出す、背後から来た鞭を爪で防ぐその後鞭の連撃を同じく爪で防ぎ通す
一度だけでも隙があれば流石に0.1秒を隙にはできないがこちらの注意がそれたら仕留めれるはずだ、魔法を使うときがきたか
「我が身を焼きし漆黒の光、世に満つる万物を照らしかの者を突き刺し喰らい貪れヴェノムライトスピア」
手に魔力を集中させ光の槍を作り出し投げる、だがそれを覆う紫の液体は誰でも毒ということはわかる
それに対抗する様にケルアも詠唱を詠う、砂埃が舞い上がって奴の体を包み込む様な感覚を味わい少し攻撃を躊躇う
「光を纏いし竜巻の刃、我が敵を切り刻めライトニングハリケーン」
手から作り出した光る丸ノコみたいな風魔法、そう言えば桐生が属性と属性を合わせる魔法もあるって言ってたな
「オルァ!!」「はっ」
互いがぶつかり合いガラスが割れるように崩れる、だがそれは閃光となり激しい光を発した
その場から飛び出し腹部を爪で切り裂く…はずだったが腕にウィップソードが絡まり歯が食い込んでいく
「クソがよぉ!!さっさと殺されろやぁ!」
つかまれていない腕を振り回すがことごとく避けられる
「そろそろ頃合いかな、では諸君御機嫌よう」
ケルアはそう言うとウィップソードを解き一瞬で先ほど入って来た入り口で深くお辞儀をして消えた
行き場の無い昂りを壁に思いきしぶつける、ドラゴニックハートを解除し桐生達の元に向かうと何やら此方を訝しげに見ていた
「お前呉島か?」
「そうだけど、え、何?俺ちゃん竜化してる?」
「いや、逆に竜化してないし今までと違ってぶっ倒れてないからヴェノムドラゴンが乗っ取ってるのかと思っただけだ。まぁ無事でよかった」
シゲイの魔術師により転移属性石を制圧しクータへと転移し、騎士団に適当に話し俺たちは勇者達の溜まり場になっている食堂で少し駄弁っていた
「くぅー疲れた」
「だな次は何処に行く?」
「そうだな山の国か、それとも橋の国か」
周りの視線が痛く自然とホルスターに手が伸びる、俺たちは何故か戦いから逃げた事になっている
兵士達は他の国に協力を申し入れに行ったと伝えたが金をもらい数人で前線へ出ず遊び回っている認識らしい
戦場で銃を撃たない兵士がいる、彼らは敵と出会っても撃たないが決して臆病者では無い弾薬を運び味方を救出したりと戦闘より危険な事をする、ただ敵を撃たないだけだ、例え死ぬ寸前でも
好きな小説の1つを思い出す、違いと言えば俺たちは戦うだけだが実際狭いダンジョンを攻略して味方を呼んでいるしクエストをこなして国や村の役に立っている
まぁ此方に何か言ってくるわけでも無いし無視する事にする、共通の敵は結束をより固めるとよく聞く
この世界だと山とかで国同士が争うのは良くあることだが魔王の出現によりそういう事は無くなる俺たちがこれを無視すれば早く元の世界に帰れる
「呉島君、来てもらえる」
「あっはい」
ため息を吐いている俺の元に来たのは校則を守りショートカットのダサい黒のヘアピンを掛けたステレオタイプの委員長、一昔前の学園物アニメに居そうな校則に厳しい奴
うわっマジかよと心の中で思いながらも表情は崩さず相手の説教を聞き流す、課題を忘れたりして教師からの説教を穏便に素早く済ませる事で会得したスキル
「貴方達他の国に逃げているって本当?」
「いえいえ、違いますよぉ自分たちは協力を求めてるんですよぉ〜」
少しふざけて煽り気味に返事する
「お前嘘つくなや、わかってんだぞ?」
間に入ってきたのはキョロ充の田中、普段周りに合わせて話題を仕入れるやつだ
「そうですか」しまった
嫌いな部類な人間に言われたことに少し頭に来た所為で言ってはいけない事を言ってしまった
そうですか、俺は悪く無い、わかりません、この3つは説教の時に言うと相手を余計に怒らせるので言うのは良く無いとわかっていたはずだった
「呉島君!戦いもせずに遊んでばかりなのにその態度?!」
うるさい
「俺たちは毎日戦っているんだぞ!」
うるさい!!
(何を躊躇っておる、我が付いているでは無いか)
うるさい、黙れ!俺はヴェノムドラゴンに憑かれて銃で撃たれて毒で死に掛けてグリフィンと戦ったりしたんだ!
拳を握りこみ思わず呟こうとする「ドラゴニック」
「呉島、落ち着け外に行くぞ」
リックに手を引かれ城下町の路地裏に行く、壁を蹴り怒りを発散する
「あいつらに何も言わないのか?」
「馬鹿言うな、俺は口論には弱いんだすぐに感情的なって多分殴り合いになる…あいつらは俺より強いんだしきっと勝てない」
きっと城では俺の事を逃げたと馬鹿にされているだろう、戻りたくねぇなと思い俯いているとリックが提案した
「新しい武器を作りに行こう」
夕暮れの街に1つの声が上がった
「おお、エリックと勇者の坊主じゃねぇか」
「こんばんはおじさん、新しい武器が欲しくて」
「これが届いていたぞエルナのダチから勇者にって言われて」
武具屋のおっちゃんが出したのはスタンロッド、前にリックが送ったと言っていたがまさかここ届けるとは
「まさかウィップソードを応用して伸びるとはな」
そこの金具を外せと言われて外し振るう、シャキンとロッドは伸び電気を帯び出した
「で、新しい装備はどうするんだ」
「これを量産できますか?」
リックがテーブルに置いたのはケルアの使っていた弾、薬莢、弾丸の3つ。おっちゃんはそれを観察し考え込んでいる
「この円形は魔力鉄で魔力を流すのか…底の火属性石を使って火薬を爆破、これには吸血鬼の牙で血を魔力に変換してトゲが出る…ふむ、なるほど…てことは…量産はできるがトゲが出るようにはできないな吸血鬼の牙はかなりのレアもんだ」
リックは弾丸をつまみ黒い物体を取り出した
「これを魔力鉄で魔法を付与できませんか?」
なるほど、かなりの数が出回っている魔力鉄なら量産は可能だし弾丸に火属性魔法などをかければダメージを増やせる
「あの、この3つの大きさにできませんか?」
俺はスキルで45口径弾と5,56nato弾そして12,7nato弾、ハンドガンとM4、バレットの使用弾だ。この3つがあればかなり戦闘が有利になる
「だが金がかかるぞ、鉄の板でこれの型を取って伝から魔力鉄を仕入れて火属性石と火薬、軽く見積もっても各50発で金貨5枚と銀貨20枚」
「まじか、どうする?」
「とりあえず作ってもらうか」
後で成功した時に払う約束をして新たな装備を選ぶのだがあの時の装備がこの店で一番いい装備なので前に狩ったモンスターの装備などを使い新たな武具を制作することにした、俺たちに用意された客室で紅茶を啜りながら
「じゃあ俺ちゃん黒主体のステルス装備、武器はウィップソードに属性石埋め込んだ奴」
作り出したペンと紙で簡単な絵を描いていく、はたから見れば落書き程度だが横に詳しい情報を載せていく
全体的に黒で狼の皮でスーツの様にし胸部に1つ腹部に3つ、各腕に4つ足は5つ首元に円形のスーツを保持する黒のアーマを付ける、左胸から腹部あたりに赤のラインを載せる、首には黒と赤のマフラーをつけていて右腕には2つの突起が付いており近距離での攻防を可能とするそれをスラッシュアーマと名付けている
ウィップソードはウィップ状態になると幾何学模様を描きナイフ程の大きさで銃のお供程度だ
「追跡、暗殺、いずれもステルス!てな感じ」
橘達は今の装備に少しワイバーンの鱗やグリフィンなどで強化したもの、特撮などでよくあるリデコだ
かなりの変わった物はエルザのナイフ、青白い刃は紫を含み魔力を介し毒を生成する名付けて鷲獅子の毒爪
「これで魔力鉄で24個近く、ああ金貨が飛んでいく…」
「まぁまぁ、これから稼いでいけばいいじゃん!」
金を管理しているケインが嘆いていたが背に腹は変えられないしクエストでもやれば金は溜まっていく
ケインと橘、リックが武具店に渡しに行き俺とレイナ、桐生は王国図書館へと向かった因みにエルザは騎士学校に忘れ物があるらしい
「勇者の文献はこれだけだな、徹夜でも明日の夕方ぐらいまでかかりそうだな」
40冊ばかしの国語辞典並みの分厚さとでかさを持つ文献をテーブルの上に並べる、レイナは隣で魔導書を読み新たな魔法を学んでいる、本来魔法使いはギルドの先輩や各地の魔法使いか山の中にあるウェルヌス魔法学院で修行するのだがレイナはかなり魔法の才能があり独学で中級魔法を使えるなど天才とまでは言われないが宮廷魔法使いにはなれると言われていたらしい
桐生はモンスターの種類や弱点、生態などをノートに書いてもらっている
文献には勇者の活躍や弓術の勇者の戦略、剣技の勇者の剣技、魔法の勇者の魔法しかなく創造の勇者の については召喚されたぐらいの事しか書いていない
「やっぱ創造の勇者の文献がないのか…」
創造の勇者を調べることで自分の生成スキルを磨けるかと期待していたのだが
だが勇者についてはある程度わかった、弓術と魔法の勇者は帝国と王国の大隊を支援し戦術を立てていた
剣技の勇者は巨人を倒し神の遺物を集めていた
神の遺物は魔物や魔法耐性の高いアイテムっぽい、
「遺物は帝国が管理して持ち逃げされてドミナスが全てを合わせて作り上げた黄昏の杖、時空を操り空間を操るチート武器か…」
巨人は各地にいた様で海、雪原、砂漠に樹海などかなりの人数がいたそうだ
「待てよ?」
ダンジョンのあったクータの平原は巨人の墓が建てられていた、シゲイのダンジョンは棺の神が崇められていた国
どちらも神が関係すること、それは単なる偶然ではなく他の国、場所も同様だった巨人のいた場所と神にとって重要な場所だ墓場や生まれた場所など
「て事はどのダンジョンはワープ用じゃなくて他の重要な役割があるのか?」
しかしそう言った文献はなくあくまで推測の域を出なくなってしまった、他にも勇者について調べていると扉が開かれた
「クレッシー?レイレイー?リュー?ご飯できたから食べよー」
「わかった、先に行っておいてくれ」
今まで静謐に包まれていた図書館はエルザの明るい声で少し照らされた様に感じた




