ビクトリーの法則
「いてぇ、くっそ…」
ナイフの切り傷が痛む、意識が戻って数時間歩ける程には回復したのでシゲイの王様に会うことになった
王座は以外と質素だが所々に高価そうな装飾が施されているリックは王に近づくと片膝をつき頭を下げた俺たちもそれを真似する
「シ・ゲイルス・ティウス様、クータ王国から参りました勇者一行です」
「そなたらが勇者か、面を上げよ」
クータの王様の様な小太りで悪役面だ、少しバカにした態度でこちらを見ている
「話は聞いておる、我が国の資源の三割と兵の出兵で良いのだな?」
「はい、その様に聞いております」
「よろしい、10日後にダンジョンの攻略を行う兵士に伝えておけ」
思ったよりも早く謁見は終わり部屋から追い出された、部屋はまだ聞いておらずどうすることもできないので取り敢えず街に行くことにした
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「終わったぁ、めっちゃ緊張したぁ」
「この後はどうする?部屋に戻って休むか、それともギルドハウスで報酬受け取るか?」
「取り敢えずギルドハウスだな、飯食って適当に歩いて武器でも買いに行くぞ」
ギルドハウスまでは少し歩く必要がある、シゲイは城を商店街が囲みそれをギルドハウスや宿屋などの冒険者用の施設と民家が密集している
日は落ち始め夕日が射し始める幻想的な雰囲気、露天に置かれた剣の刃がそれを反射する
着いた時にはもうすっかり暗く店から漏れる明かり、ギルドハウスの中は今まで見てきた様な酒場とクエスト受付だけ
「よっしゃぁ!!!ついにBランク!!」
受付で男が絶叫し周りがおおーと歓声を上げた
ランクか、よくラノベとかである受けれるクエストが増えるとだろう…まて?よく考えるとなんでこの世界にアルファベットがあるんだ?今まで日本語とカタカナ語で会話していたがアルファベットは今の所クータの勇者のランク付けとさっき聞いた時だけ、ランクだけの言語なんておかしくないか?
仮説だがこちらの世界の言葉がわかるのは俺たちの世界の言語に変換されてるかもしれない、しかしなんの情報も無いのでこれは推測の域を出ない、結局分からずじまいで考察は終了
「おい注文いいか?狼のステーキとぶどう酒、あと適当な野菜を頼む」
「俺たちは席を取ってる、行くぞ」
リックが座ったのは出口から少し離れたテーブル、表面には零したばかりの液体が適当な布で拭いただけ
椅子に座りグロッグを取り出しスライドスライドを引き弾を排莢してはマガジンに詰めたりと暇をつぶすなかリックがこちらを見た
「なぜあいつが銃を持ってたんだ?お前が渡したのか?」
「いーや、俺ちゃんボルトアクション嫌いだしぃ?」
実際のところ時代遅れなボルトアクションなんかよりもオートマチック銃の方が機械的でかっこいいと思っているのでボルトアクションのライフルなんかは今まで出さなかった
だが気になる、なぜケルアが銃を持っていたのか
「お前は渡してないんだな?」
「ああ、証拠はあいつの銃の威力いくらライフル用の弾丸とはいえ対物用でもない限り鉄の盾なんて貫けないし、あの銃の形が変わるだけで銃弾が変わる構造も気になる」
俺は少し息を整え首を鳴らす、手をどこぞの使徒と戦う組織の人のように組む
「銃自体がこの時代にあってもおかしくないんだ、火薬と石と鉄の筒これさえあれば銃なんて簡単だ、それにこの世界は魔法があるから鉄の盾を貫くほどの威力を出す方法もあるだろ」
「心当たりはないんだな?」
「そう…あれ?もしかして…」
あの時…俺たちがオークと会った時UMPを…
「ああ!!やっちまった!!!あの時俺落としたんだ!!」
「アホか!何やってんだよ!」
橘が鞘で頭を殴る、呻きを漏らしその場に座るくそ俺のせいかよ!
でもこの短期間でレバーアクションまで詰め登りウィンチェスターショットガンまで開発するとは、魔王軍の技術力は侮れん
と言うかあんな王国の近くまで魔王軍近寄るとか兵士無能すぎるだろ!!
「弱点はあるのか?」
「レバーアクションの弱点か…マスケット銃と違って5発ぐらいまで入ってレバーを引いて押すだけ、リロードも早く終わるうえに近づけばショットガン、詰みゲーかよぉ!」
「ヴェノムドラゴン」
桐生が紙に絵を描きテーブルの中央に置く、ケルアとか書かれたマルと俺たちの名前の書かれたマルが分けられている
「あの力を使えば銃弾は防げるしスピード、体力、攻撃もある囮役にはぴったりだが暴走の危険性とお前の体からしてもう竜化の進行は早くなる」
「竜化?」
「レアな病で基本、竜の死体で汚染された水を飲んで感染。かかると体中から鱗が生えてきて次に筋肉組織が4足歩行の動物のようになっていき理性を失うお前はそんなレアな病のレアなケースヴェノムドラゴンに憑かれた事により身体中の魔力が竜の物になっていく」
あの鱗は俺が竜になっているから…?俺は人間だよな…?なりたくない、化け物になんかなりたくない
「もうアリサは使わない、使ったら人間じゃなくなるんだ」
「治療法も無い、感染したら長くてあと数日でなっちまうぞ?それなら今のうちに使った方が」
「治る!俺は人間だ!」
桐生が何か言おうと口を開くと意識が遠のいた、これはアリサのあの空間に行くんだと直感し意識をそちらに託した
白い空間は黒と赤に染まり下には頭蓋骨や黒く濁った液体に浸されている
ああ、とても心地よい、人間の腐る臭いは何時かいでもいいものだ
「アリサ、次は我がこの器を使う…小僧に他言するなよ…?」
「心得ております。我主人、ヴェルド様」
アリサは片膝をつけ誓うその契約は真か偽りか、それは誰にもわからなかった…
「ゲホッ、あれ、俺…気絶した?」
「急に倒れて驚いたぞ、料理きてるから食え」
並べられた料理のステーキを口に運ぶ、味はせずただ感触も気色悪い…俺は人間だ
「うまいなこれ、けど少し味薄くない?」
「…ああそうだな」
食事を済ませ街を歩く、日は沈み月が出ている
そんな中松明の明かりが目立つ集団があった、何か見世物があるのか囲んでいる俺たちもそれを見ようと覗くとそこにはギロチン台に拘束された者が何かを叫んでいた
頭陀袋を被せられ猿轡でもされているのだろう、言葉になっていないこれが処刑か
中世なんかじゃ1つのショー感覚で市民が楽しんでいると何かで見たことがあるな、生きてるうちに見れるとは思わなかったが
1人の兵士が羊皮紙を読み上げる
「奴は強盗の罪で投獄され本日、処刑される!」
「いいぞー!」「やれー!」「殺せ!」
「本日の夜の鐘と同時に執行される!全員これをみて罪に走らぬよう!」
ライブのように全員が熱狂する、狂っている…いや俺たちの世界でもやってたんだ狂ってないのか?
ゴーン、ゴーンゴーンゴーンゴーン夜の鐘が街を揺らす、月の時間が始まるのだ
「執行!」
短剣がギロチンを抑えていた縄を切った、刃はリンゴが落ちるように落下しリンゴではない赤がばら撒かれた
「食事後に見るもんじゃなかったな、まぁ城に戻ろうぜ」
ケインの声が聞こえないくらい俺の意識は死体に集中していた、新鮮な切りたての肉、溢れ出る血で喉を潤したい…肉の味を堪能し貪りたい
「おい、呉島」
「え?!あ、ああすまん眠いんでうとうとしてた」
無意識に死体を欲し伸びていた腕を橘が掴んだ、とっさに嘘を並べるが腹の音は正直だった
「いいか?お前は勇者だ、それ以前に人間だ覚えとけ」
胸を手の甲で叩き行こうぜと橘がいった、簡単に言うなよ俺は___
「諸君、これより冒険者ランクの講習を行う席に着け」
テーブルに置かれた羊皮紙には冒険者ランクのルールや上げかたが載ってある
俺と桐生と橘はケインやレイナの勧めで冒険者ランクを上げることにした、ランクが上がれば受けれるクエストも増える
「諸君らも知っている通りギルドカードに書かれている能力値はあくまで数値、実際の能力は低いと思えレベルが高いから強いのではない、強いからレベルが高いんだ本来倒した魔力をギルドカードが吸い能力値に加算される」
教官である男は黒板に貼られた羊皮紙、ポスターぐらいのサイズはあるだろうそれを指し示す
「本来、この世にはスキルなどはなかった、魔法や魔術と呪いそして加護…まぁ加護は変異しスキルに変わったなんて説があるが、勇者は人にある魔力を測定する技術とこの世のどこかにあると言われるスキルを創造する神を作ったこれにより冒険者が誕生し今日に至る、要するにスキルを頼らず自身の力を強化するための手段なんだスキルとは」
教官の話しが終わるまで妄想や何を作ろうなんか考えているとふとあの時を思い出す、元の世界じゃなんとなく暮らしていたな、こんな風に妄想や帰ったらための何のゲームをしようか何て
「クレシマ?」
ああ、そうそうこんな感じに聞いてないことを先生にバレて名前を呼ばれた?!
「はい」
「聞いているのか?」
「ええ、聞いていました」
こっちに来いと言われ壇上に出る、しまったいつもの大人数で目線が来ないと思っていた為こんなヘマをしてしまったがこちとらサボりの王様、相手の機嫌を伺うのは得意なんだよ
テーブルに並べられたのはかけた剣と盾、明らかに何かの実技だ
「すいません、これのコツってありますか?」
「コツか…欠けている刃の量で考えろ」
ありがとうございますと返し剣を取る、欠けているのは多分多分盾で防がれたからか?
いや盾に傷はついていない、どう言う事だ?
「すいません、わかんないです」
「いや、刃の欠け具合を見た後に盾の傷を調べたのはいい線だ、戻っていいぞ」
席に着くと教官がこの様にと黒板にチョークで書き出す、刃の欠け具合でやられた敵がわかる
刃が溶けている場合は植物系もしくはスライムの場合、強い酸を絶命時に放つので油断は禁物だそう
逆に刃の一部が欠けている場合は硬いモンスター、盾も傷が付いている場合は剣を使うモンスターか冒険者狩りの可能性がある
「こういった痕跡でモンスターの判別し勝てるかどうかを考えるのが冒険者への一歩だ、ギルドハウスを通さないクエストの場合は基本モンスターによる殺害の調査が多い、他には家畜の誘拐や妖精の被害といったものもある」
殺害された者から傷口や周辺から殺したモンスターを探し仇を討つのが一番多い、その為死体の傷口を調べる
「いいか?噛みつきは狼、切り傷は人間、腐ってる場合は死霊系だ、後は身体に殴られた傷の場合はゴブリンなんかだ、まぁ大抵はシーカーがこう言うのを探す事が多い、探索のスキルは極めると必要な情報なんかを探す事ができる」
その後は簡単なテントの設営に合う場所や危険な場所なんかを教えられ次は職業別に訓練する事になった
シゲイは冒険者の国と呼ばれるほど冒険者が集う、理由としてはここから様々な国に通じるのと温厚な気候で外にいる弱いモンスターを狩れるそうだ。その訳あってか毎日の如く十数人が講習を受ける
シーカーは俺を含め10人、敵を見つけ宝箱の罠を解除するなど被弾率を下げるスキルが多いので安全第一のチキン共が多い
「これを見ろ」
教官が指したのは半壊した家、煙が上がり扉は破壊されている地面は雨が降っていたのかぬかるんでいる
「この家を襲ったのは誰か、そしてこの家にあった物を取り戻す事が試験だ、スタート」
「え、もう始まんの?」
全員が一斉に家に向かい探索で痕跡を探す、俺も使い探してみる多分やったのは強盗犯だろうな…住民を殺して金品を盗んだか焼けたタンスを開き探索で調べようとしたが先に同じ事考えた人が調べる
「くそっ、なんもねぇ」
前の人は吐き棄てると他の場所を探しだしたので俺はタンスをもう一度調べてみる
狙い通りタンスの2段目に何か痕跡があった、底になにか光が漏れるナイフを差し込み外すと二重底になっていて何かがあった痕跡がある
金品だとして何を盗んだか、二重底しかも蓋は出っ張りで厚さを増して隠す周到さ小さいけどかなりの値打ちもの
「ブレスレット…いや、指輪か?」
指輪となるとかなり小さい他の痕跡を探すのは無理そうだ、外に一度出て地面を調べる
濡れた地面が少し灰色に濁っている、家の灰を踏んだのか?いや、それまで待つか普通…それだとこれの参加者か
家の裏手に回り探す、焼けてない壁面は少し濡れていてなにかべたつく粘液が張り付いている赤いそれを指で取り匂いを嗅ぐ
「うわっ、なんだこれ…ベリーか?匂いがきついな」
ベリーの匂い、そして手についたという事は実がある場所。最初に渡された簡単な地図を見るこの近くにベリーの木は2つ、両方種類が違う甘い種類と酸っぱい種類の差だが
先に近い甘いベリーの木に向かう、赤いベリーで綺麗に熟れていてとても美味そうだ一つ摘み匂いを嗅いでみると匂いはきついがあの匂いではない
「酸っぱい方か、くそ遠回りかよ」
もう一つのベリーは匂いが近いが何か違う、途方にくれもう一度家に戻ろうとすると指が痛む
指にはさっき潰した甘いベリーの果実が少し残っていた。匂いを嗅いでみると壁についていた酸味の強い匂い
空気に当てて少し経つとあの匂いなるのか!あれはかなり時間がたった証拠、勿論さっきついた訳ではないし当然だ
ベリーの木の付近にそれっぽい場所はない、いや待て…ベリーの果実がついたって事は疲れて壁に手をつけたって事か、地図を広げ疲れそうな場所を考える、茨の生い茂る場所か?剣かなんかで避けて疲れたのか
待てよ…厚手のズボンぐらいで棘は避けれるはず
「となると、この沼地か!雨が降った後だから泥があってもわかりにくかったのか!」
自分の推理があっている気がしてきて名探偵の気分がわかった気がした、沼地には洞窟があるベリーの痕跡を残すアホだ初心者でもわかる洞窟に隠れてるだろう
「つしゃあ!勝利の法則は決まった!」そう言って俺は走り出し沼地に向かった




