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最強チートの持ち腐れ  作者: 三波 秋弘
国を巡る旅
26/43

滴る毒は怨竜の呪いと加護

鷲の上半身と獅子の下半身。鷲獅子が地に降りた

顔を上げ冒険者を一瞥すると走り出し翼をはためかせ加速を増していく、しかし大盾が現れ咄嗟に軌道を変える

咆哮を上げると頭上で旋回していた脚翼竜(ワイバーン)達が一斉に飛び込んできた

「エルザはグリフィンに狙撃を!俺はグリフィンの動きを止める!他はワイバーンをやれ!」

ナイフを抜き構える、ケインの指示を受け突撃してくるワイバーンに対峙する。白銀の鱗を纏った脚翼竜は俺を抱え上げるように爪で掴み飛び上がった、腹部に力一杯ナイフを突き立て腸を掴み引き抜く

「死ねやボケ!!」

掴む脚が緩み下に落ちる、高度はなかったが背中を打ち付けられ呻くゆっくりと立ち上がり見回すとケインが苦戦している援護に向かうとグリフィンがケインへと足を振り上げた瞬間だった、走り出し前に出ると肩にとてつもない重みと激痛と熱さ

「馬…ろ、う…く…!」

ケインの声が遠のく、肩から溢れ出る血。痛みも熱さも消えて何も感じない

「ドラ…ゴ、ンハート…ヴェノム」

必死にスキルを発動させる、急に血が止まり傷口から赤黒い煙が吐き出される

なぜ使った?どんどん人として生きていけなくなっていくのに、いや、俺以外を殺せば俺が人間になれる

俺を人でなしと呼んだ奴は殺すそうすれば俺は人になれるんだ



黒の鎧を纏った竜が立つ今までの継接ぎな鎧とは違い綺麗に整えられ所々に竜をあしらった紋章が描かれているが背中から生えた歪な翼、穴が開き毒が溢れるていく

ケインは舌打ちし距離をとる、エルザは狙撃を止め行く末を見守り何時でも撃てるようにトリガーに指をかける

「もしもあいつが俺たちを攻撃しそうになったら…撃て」

それに気づいたケインはそう呟いた

脚部のノコギリ状の飾りから液体が垂れる、青い草を腐らせ土が枯れる

グリフィンに近づくと爪を体に突き刺す、痛みに叫びをあげる鷲獅子は飛び上がり呉島のいる方を下にして急降下

しかし呉島は突き刺さった箇所に噛みつき体を貪り出した、地面には肉の破片や血が落ちてくる

それに耐え切れなかったグリフィンは体制を崩し重力に引かれていった

呉島は翼をはためかせゆっくりと降下し上をひと睨みすると旋回するワイバーンが何処かへと向かっていた

ばたりと倒れた呉島、鎧は蒸気と液体になり消え去った

ケインは意図せず呟いた「化け物め」




なんとなく生きてきた、別になりたい物なんてなかったしその日その日にゲームさえできばよかったし説教も聞き流していた

その時から俺は呪われていなかったのだ、やる気と言う呪いに

人は皆呪われている。特撮ヒーローで言ったいた夢は呪いだ叶えなければ一生呪われたまま、だが俺はやる気にも夢にも呪われていない

結局のところ俺は人ではないのだ、だが化け物でもなかったがヴェノムドラゴンで化け物になってしまった

だがヴェノムドラゴンは2つの呪いがある、周囲の恨みを取り込み自分の怨む力を増していく怨みの呪いと

動物性の毒に限るが自身の毒で相殺する毒の呪い

俺にとっては前者は加護の類だ初めて他人を怨んだ時何かに満たされた。殺したい苦しめたい、それが俺の初めての目的だったのだ

正義の定義や価値観なんかは特撮の受け売り、知識もネットで調べたもの結局俺は世間のパッチワークなのだ俺の転移スキルもそういった類

結局のところ俺を俺として生かしているのは名前とヴェノムドラゴンの呪い

高まる殺意、行き場のない怨み、以上なほどの空腹感

もうそろそろ起きなくては、ヴェノムドラゴン()の空腹を満たさなくては



「…ん、あれ俺グリフィンの毒を受けて」

「おお、起きたか」

俺が起きたのはテント、桐生がテントをめくりこちらを覗いた外は星がよく見える綺麗な夜空だ。桐生はランタンを照らしながら本を読んでいた

「何時間寝てた?」

「丸一日寝てた、明日にはシゲイに着くそうだ」

桐生は魔力倉庫からパンを取り出し俺に渡すと寝袋に入った

「今日の見張りは頼んだ、俺は寝る」

パンを口に含むと何かに異変に気付いた、味がしない、本来パンには簡単に塩をまぶしどこでも塩分を補給できる様になっているがその塩の味がしない

「なんだこれ…痛った」

肘や腹部に鱗の様なものが付いていてそれを剥ごうと力を込めると痛みが走る、ランタンを照らして見ると赤黒い血の様な色ヴェノムドラゴンの鱗だ

「なんでだ?スキルを使ったからか…?……………俺は人間だ、人間だ…化け物になんてならない…」

ナイフを取り出し鱗と肌の接地面に当てる、刃を潜らせると激痛が走る呻きをあげナイフを戻す

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