魔界理解編 第7話 後 無力でございますか?
ある日、私の姪であるアサが、実の母親である私の姉を殺害したという報せを聞いた。
姉が姪には厳しく、自分の果たせなかったこと、成し遂げられなかったことを、アサにさせようとしていた。
二人の関係は分かっていて、改善しようとして、努力してきたのだが、駄目だった。
それでも、アサにはオトナっぽく、ポジティブ思考のできる子と仲良くしてもらった。それでその子にちょっとでも見習って、母からのプレッシャーに少しでも対抗できる糧になれば、と考えていた。
それで、アサが王立魔法学院を卒業したあと、その子と一緒に冒険者になるって言い出した。
私自身が、王立魔法学院の教員になれて、貴族としてのしがらみから解放された。アサはオカン家の血を濃く受け継いでいて、複合属性魔法の雷属性魔法が使えるから、冒険者になっても絶対に大成する。貴族以外の道がアサにあればそっちに進めばいいとは思った。
幸いアサは冒険者になったことを姉に報告してなくて、姉はアサが失踪したと思っただけ。だから私は、アサが冒険者になるのを止めなかったことで責められたのではなく、アサをちゃんと見ていなかったことに対して酷く怒られたのだ。
私はアサがこれで自分の人生を歩めて、幸せになれるのだと信じていた。しかし! そのアサが姉だけでなく、王族、貴族を含め、大量殺人したことで手配されたと聞くまでは⋯⋯。
どうしてこうなった⋯⋯。なぜアサはこんなに人を殺した。国に復讐したかったからか⋯⋯。内臓が欠損している死体も多いと聞いていたが、まさか⋯⋯。いや、人間で魔石を作ることは禁忌ではある上に、四属性全部使えるアサにメリットはないはず。やはり復讐のためか? リリーナちゃんは何をしてた? アサを止められなかったのか?
いや⋯⋯もしかすると、リリーナちゃんの身に何かがあって、アサはリリーナのために国に復讐したのか?
アサに連絡しようとしたのだが、連絡がつかなかった。アサからの連絡もこなかった。どうして私に連絡しなかった? どうしてアサが追い詰められて、こんなことをするまで私はなにも知らなかった? 私はずっとアサのことを気にかけていたつもりだった。援助もしていた。それでも信頼に足りなかったのか?
ずっと困惑と後悔の中で過ごしたそんなある日、通信石から、覚えのある魔力を感じた。アサだった。




