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天国への階段

黄月は赤羽との約束した弁当を作り終え、学校から連れて帰ってきた子猫に餌をあげた。


優兎はマンションで六つ歳の離れた姉と二人暮らしをしている。

姉の名前は月影 カグヤ。

両親は事故で亡くなっている。

その事から、カグヤは母の妹の家に、優兎は父方の祖父の家に身を寄せる事になった。

そうした理由から二人の苗字が別となっている。

父方の姓が黄月 母方の旧姓が月影になっている。

姉は叔母の家に預けらたときから、誰かに迷惑をかけず出来るだけ早くに最短で二人で暮らせるようにと考えてきた。

そして誰よりも努力をし理想を現実にした。

早くに仕事に就き、毎日忙しく送っている。

勤め先が都内の為、姉はほとんど家には帰ってこれない。

「毎日ちゃんと帰ってきたいんだけど、今やってる企画はどうしてもやり遂げたいの。本当にごめんね」とカグヤがよく口にしていた。

カグヤは、優兎をとても大事にしている。

都内に住居を構える事も出来たが、優兎の生活の事を最優先に考えこっちに住居を構えた。

そんな姉を優兎はとても誇りに思っていた。

基本的に帰ってこれないため家の事は優兎に任されている。

家事全般の事は、祖母から教わりこなせる様になっていた。

それとは逆にカグヤは、料理、洗濯、掃除だけが全く駄目という弱点だった。



「ふぅー」と一息をつき黄月は、鞄に原稿を入れ学校へ行く準備を始める。

今日の試験の事を考えると、優兎の気持ちは落ち着かなかった。



教室につくとやはり眠そうな顔をした赤羽が待っていた。

「一応おはよう、原稿はちゃんと持ってきたか?」心配そうに聞く。

「おはよう。ちゃんと持ってきたよ」鞄を明け見せる黄月。

「なら良かった」赤羽は、ホッとしている。

そこにメガネ事、鳥説がやって来た。

「おはようございます。黄月くん、赤羽くん」

「鳥説くん、おはよう」黄月が返す。

「メガネくん、おはよう」赤羽も返す。

「ついに金曜日ですね。入部テストがんばってください!」鳥説はエールを送った。

鳥説が、はじめは二人がコンビのマンガ家になるという話を聞いた鳥説は驚き反対をしていた。

理由は、黄月と赤羽ではバランスが悪いと思っていたからだ。

だが、ここ数日の二人の本気の取り組みを見てきて感じていた。

鳥説本人も放送部で活躍していくために、本気で取り組んでいる。

目指すものは違うが、一生懸命なのは同じなのだと思えた。

鳥説は一人でひたむきに努力をしている。

赤羽、黄月は二人で頑張っている姿を見て、どこか羨ましいと思っていたのだと。

夢を叶えたいと思う気持ちがよく分かる鳥説だからこそ、この二人を応援しようと決めたのだった。

「ありがとうね。鳥説くん」

「おう、サンキュー」と二人は鳥説に感謝の言葉を口にした。

チャイムが鳴り教室の前の扉が開き、担任の佐竹が入ってくる。

「席に着けー、朝のHRするぞ」と大きな声で言いHRを始める。


徹夜の為、二人は一睡もしていなかった。

午前中の授業を赤羽はほとんど眠っていた。

黄月は眠かったが、緊張感の方が勝っていたらしく、眠れず普通に授業を受けた。

そして昼休みになった。

「ふぁ~」大きなあくびをしながら黄月の席に赤羽が来る。

「大丈夫?赤羽くん」黄月は心配そうに聞く。

「ああ、少しだるかったけど午前中寝てたら平気そうだ」軽く笑いながら言った。

「良かった。お弁当作ってきたから、一緒に食べよう」頷きながら黄月は、鞄から二人分の弁当箱を出し机の上に用意する。

「おお~ありがとな♪あの後帰って俺と妹の朝飯作ってたら時間なくなっちっまって、助かったよ」

「本当にいろいろありがとうね」黄月が頭を下げた。

「気にするなよ。俺も最近すごい楽しかったんだからさ」まっすぐな気持ちを赤羽が言う。

「うん。じゃあ、食べようよ」

二人は弁当の蓋を開ける。

弁当の中は、ご飯と卵焼き、プチトマト、キャベツを敷きとんかつ、りんごと言ったラインナップのおかずが入っている。

「とんかつなんてよく作ったな」赤羽は関心した。

「前に作り置きに冷凍保存してたのだよ」

「ああ、揚げるだけってやつだな。ところで何でとんかつなんだ?」

「入部テストに勝つ事が出来るようにってね」黄月は少し恥ずかしそうに言った。

「ああ、勝負に勝つの意味を込めてか、なるほどね」

二人が昼の食事の時間を楽しくおくっていると、そこに忍び寄る全身黒タイツ的な人影があった。

その人影は、赤羽と黄月が食事している机に忍び足で近づき、あろうことか赤羽の弁当からとんかつを盗み取り口に入れ食べた。

赤羽の一閃、左ジャブが炸裂。

「イヤーッ!」赤羽が吼える。

「グワーッ!」謎の影が絶叫。

謎の影が吹っ飛ぶ。

「ああ・・・えーっと、大丈夫?青海くん」一瞬、唖然とした黄月だったが駆け寄って聞く。

一蹴された謎の影は青海だった。

「いやぁ・・・黄月。そっちの狂暴なのは・・・誰だい?」青海が苦しそうに聞いた。

「お前こそ誰だよ?無礼だぞ、人のカツを盗み食うなんて」少し怒りながら赤羽言った。

「もすぃかすぃて、赤、赤、赤羽さん!?」黄月に振ったが自らで気がつきガタガタする青海。

「青海くん、赤羽くん知ってると思ってたんだけど・・・違ったの」

「顔は知らなかったんだよ!!ちょ・・・やっちっまった・・・かあさん、僕はもう駄目そうです・・・」死を覚悟した者の顔で青海が言う。

赤羽は苛立ってはいたが、黄月とこの弁当泥棒が知り合いだった事に気がついた。

「ちっ・・・黄月の知り合いか。なら、許す。ただ次やったら、右ストレートだからな?」

「えっ!?マジで、許してくれんの~うわ~赤羽、やさしーん!!」青海は赤羽にタックルのように抱きつこうとした。

刹那、青海は地面に倒れ込む。カウンターの閃光の膝が炸裂したからだ。

数秒後。

「あんたはマジで、ぼくを殺すきか!!」と勢いよく復活する青海。

「ああ、わるい、わるい。反射的に、ついやっちゃうんだ」赤羽がマッドピエロの様に言った。

「ノリ軽いな!一瞬、魂抜けかけたわ!!」怒鳴り散らす。

「青海くん、落ち着いて。これでも食べてね」黄月が玉子焼きを差し出した。

「やぁ黄月。あのねぼくは、そんなに安くないんだよ。・・・・とんかつだ・・・・ぼくはとんかつを所望する」真剣な顔で青海が言った。

「・・・・・あーはいはい、とんかつだね。はい、どうぞ」黄月は箸でつまみ青海に口に運ぶ。

「あーん。もぐもぐ、かーーー美味い!!」青海がとても幸せそうな顔である。

「で、青海だっけ、お前はD組に何をしにきたんだ?」赤羽が聞く。

「えーっと、そうだ!宣戦布告しにきた」とぼけた顔で青海が言った。

青海に、げんこつをする人物が現れる。

「痛ったー!?って!蒼空、なにすんだよ」

突っ込んだのは蒼空だった。

「お前はここで何やってんだよ!他のクラスで騒ぎ起こすなって」呆れながら言った。

「え~だって俺たちもエンタメ探求部の入部テスト受けるの黄月に知らせようって言ったじゃん」

「それがなんで宣戦布告になってんだよ!意味分からんないからな」

「黄月、何かもう一人増えたんだが。誰だ?」赤羽が弁当の箸を進めながら言う。

「蒼空くんだよ、昨日話をした」

「ああ、ダブルドラゴンのもう一人か」赤羽は納得した。

蒼空も赤羽に気がついた。

蒼空は警戒体勢で赤羽に言った。

「えーっと。ドーモ。アカバネ=サン。アオソラです」と丁寧に手を合わせお辞儀した。

「ドーモ。アオソラ=サン。アカバネです」赤羽も反射的に手を合わせ返した。

二人が顔を合わせた。瞬間クラス全体に緊張が走る。

D組のクラスメイト達がざわめく。

50人斬り赤羽とダブルドラゴンの蒼空、青海が顔合わせているからだ。

中学時代の三名を知ってる者なら、夢の対戦カードだった。

誰もが、一触即発の状態だと誰もが思っていた。

そんな重い空気をぶち壊した人物がいる。

黄月だった。三人の中学時代を全く知らないイレギュラーな存在だったからだ。

黄月は何事も気にせずに、ごくごく普通に鞄から水筒を出し手際よくお茶を淹れている。

そして三人に言った。

「お茶を淹れたから、みんなで飲まない?」笑顔で言った。

赤羽、蒼空、青海は面を食らった様子だった。

三人は一斉に顔見合って笑った。

周りのクラスメイト達も元の場所に戻った。

三人は席に座り、黄月が淹れたお茶を飲むことにした。

「なんか、コイツが迷惑かけたみたいですまなかったな」と蒼空が頭を下げた。

「いやぁまさか、おかず盗まれるとは思わなかったぜ」赤羽は笑って言った。

「ホントビックリしたよ」黄月も笑って言う。

「てへ、やっちゃったz・・e」青海が言い切る前に蒼空のツッコミが入る。

「それで、青海くんと蒼空くんは、うちのクラスに何か用事だったの?」黄月が本題を切り出す。

「俺もそれが気になってたんだ。青海が宣戦布告とか言うから少し身構えちっまったよ」赤羽が少し鋭い視線で言った。

「コイツが馬鹿な事を言うから、話がややこしい事になっちまったな。黄月に報告をしに来たんだよ」

「え?」黄月がキョトンとした顔で言う。

「俺たちも、今日のエンタメ探求部の入部試験受けることにしたんだよ」蒼空が真剣な顔で言った。

「は?ってお前らもマンガ家希望なのか?」赤羽が聞く。

「いやそうじゃなくって、俺たちはマンガじゃなくってさ、お笑いのコンビで試験を受ける事にしたんだよ」

「そうそう。ぼく達はお笑い芸人を志望なんだ。だから黄月の話を聞いて、試験にチャレンジしたくなったんだよ」青海もまた、真剣な顔で言った。

「本当!?そうだったんだ!うれしいよ、おめでとう!!」黄月がとてもうれしそうに言う。

二人はその黄月の笑顔に別の人物の影を感じている。

「・・・・ったく。ホントに似てるな」

「そうだね」

蒼空と青海は下を向き、物思いにふけり小声で言った。

「黄月おめでとうって早いだろ?試験に受かってからだろうそれって」赤羽が明るく突っ込む。

「おお~赤羽、ナイス突っ込み!!」青海がテンションを上げて明るい表情で言った。

「ホントな。黄月まだ、おめでとうは早いぞ」蒼空もテンションを上げてくる。

「ハハハ、そうだよね。蒼空くんもとんかつ一切れ食べておこうよ」

「ん?なんで、とんかつなんだ?」蒼空は不思議そうな顔で聞く。

「それはな、蒼空。今日の試験に勝つ的な事らしいぞ」ニヤリと笑い赤羽が言う。

「なるほどな、験担ぎって奴だな」蒼空も意味が分かり笑った。

そんな様子を見て青海は、ほっとした顔していた。

「青海くん、どうかしたの?」黄月がその表情を見て気になって聞く。

「蒼空、高校に入ってからはあんまり笑わなかったから、ぼく以外の誰かと会話して、楽しんでる事がちょっとうれしくてね」

「そういうのって、なんかいいね。お互いを見守る関係って」黄月が微笑む。

「まあ、あれだね、ぼく達は腐れ縁ってやつ」

そこに蒼空が会話に入ってくる。

「黄月、とんかつもらえるか?俺も、入部テストに勝ちたいからさ」

「うん、どうぞ。全員で今日の入部テスト合格しよう」黄月が力強く言う。

四人は、昼食を済ませ、昼休みを楽しく過ごした。


時間が過ぎて放課後になった。

帰るのHRが終わり、しばらくすると蒼空と青海がやってきた。

四人は一緒にエンタメ探求部の入部テストを受ける為、D組集まる。

「あなたこそ世界を救う素質あり!」青海が唐突に言った。

「なんで、最終試練なんだよ」呆れながら蒼空が言う。

すると青海がもの凄いドヤ顔で言う。

「ただなんとなく!」

スパーンと蒼空のツッコミが入る。

「おーい、お前ら馬鹿やってないで行くぞ~」目的地に向けて歩き出しながら、赤羽が言う。

新校舎が、授業を受ける事が主体の校舎になっていた。

旧校舎は、科学室、音楽室などの教室が備わっている。

この事より、文化部系の部室は旧校舎に設備されている。

エンタメ探求部の部室は旧校舎の三階の多目的室だ。

四人がエンタメ部の部室に向かう。

旧校舎に入り三階に向かい、階段を上り始める。

すると青海がボソッとつぶやいた。

「ずいぶん とおいね」愚痴る。

「ラーメン男か」蒼空がだるそうに言う。

「たのしそうだなお前らは」赤羽もさらっと言う。

「二人のおかげで、退屈しないよね」黄月が楽しそうに言う。


そんな事を話しながらに多目的室の前に着く。

四人は、引き戸前で息を整える。

「何か、ドキドキするね」黄月が言う。

「ここまで来たらもう引き帰せないぞ」赤羽は強気で言った。

「んだよ」青海はなぜか鈍って言った。

「最後の扉を開けてラスボスとご対面みたいな感じだな」蒼空が少し笑いながら言う。

「で、誰が一番乗りする?」青海が問いかける。

「そりゃ黄月だろ」赤羽が即答する。

「えっ!?僕」黄月は驚いて言う。

「まぁ、黄月が適任だな」蒼空は納得している。

「そうだね~黄月だよね」青海も賛成をした。

「ほら、リーダー行こうぜ」赤羽が背中を押す。

黄月は覚悟を決めて、一回深呼吸をして言う。

「みんなで、勝とう(合格)」力強く言った。

『おう』三人は声を合わせて言う。

そして黄月は、扉を開く。














4話で、入部出来るのか?ってところまでやろうと思ったのですが一旦終わらせました。

5話に続きます。

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