決戦は金曜日
黄月、赤羽は、入部に向けての活動をしてる。
黄月の考えるストーリーに、赤羽が絵を付ける方法で原稿は進めている。
黄月のシナリオで気になるところは赤羽が指摘し、黄月も赤羽の絵がイメージと違うとところは意見する。
こうしてお互いに知恵を出し合いながら原稿を進めていた。
時間は下校時刻。
クラスは1年B組に、また、ここに別の二人組みが居る。
蒼空 竜爪と青海 龍牙だ。
蒼空はどことなく落ち着いた感じであり、青海は何か面白いことを探しているお調子者だ。
「蒼空、お腹空いたから何か食って帰ろうよ♪」青海はノリノリで歌いながら蒼空に近づいて行く。
「・・・紳士さが、足りないな青海。もっと紳士ぽくやってくれ」冷たく蒼空は言い返した。
「ちぇ~分かったよ。んじゃ~やり直すよ。ミスター蒼空、私と一緒にコンビニエンスストアで、何か食しにいきませんか?」どや顔で言い放つ青海。
「お前に紳士さを求めた俺が馬鹿だった、謝る。すまない」と軽く頭を下げる蒼空。
「ちょっと、やめくれる?謝れるともの凄いキメ顔で言ったのが恥ずかしいんですけど」青海はすぐに言葉を返した。
「へぇ~お前に羞恥心があったなんてビックリだな」蒼空は、意外そうな顔でさらっと言った。
「ホント、傷つくんですけど。僕のハートは硝子で出来ているんだぜ?」と訴える青海。
「はぁ~、アホな事言ってないで、帰るぞ」ため息をつき呆れた様子で、蒼空は教室の出入り口に向かう。
「ちょっと・・・まっ・・・」慌てて蒼空を追いかけようとした、青海は盛大に転んだ。
「大丈夫か?」蒼空が近づき声を掛ける。
「平和な世に出来なかったこの僕をゆるしてくれ・・・グフッ!?」青海は倒れこんだ。
「不可思議に発光・・・爆発四散っと」手を合わせてお辞儀する、蒼空。
「ワッショイ!!爆発四散しねーよ!?」荒々しくも躍動感のある言葉で青海が復活。
「おら、ふざけてないでさっさと帰るぞ」蒼空は、青海の頭にチョップした。
二人は教室を出て昇降口に向かいながら、しゃべり続ける。
「はいはいっと。旦那、鞄お持ちしますよ~」青海は蒼空のカバンを奪った。
「なんだよ、気味が悪い」と疑いの眼差しで青海をみる。
「いやいや、日ごろお世話になってる感謝の気持ちですよ」青海は妙に下手にでる。
「なんか下心があるだろ、絶対」
「そう思うのかい?僕に下心があるというなら、この目を見てくれよ!」強気な発言をする青海。
蒼空は、はいはいとしかたなさそうに青海の目を見て言った。
「ひでぇ面だ、腐った魚の目ぇしてやがる」
「アンタ、ホント酷いことを平気で言うよね~」青海は実際ショックを受けている。
「じゃ、なに考えてるんだか言えよ」
「実は僕は・・・・・今月の小遣をコレに使っちゃって無いんだよね。だから、何か食べ物を奢って下さい」蒼空に携帯の画面を向ける。そこにはゲーム画面が映っていた。青海は深々と頭を下げていた。
「課金したのか。やめとけよ」蒼空は頭を横に振りながら言う。
「いや、あと一回回せば激レアの魔王がGETできると思ってさ、頑張っちゃった(・ω<) てへぺろ」言い放つ青海。
「・・・で出たのか?魔王」と一応聞いてみる蒼空。
「ああ、期待通り出ませんでしたよ。オーシット!何が的中率UPだ。ファッキン自分!!」全身で怒りを表す青海。
「愚かなり青海」全てを悟った様に言う蒼空。
「なんなんですか、あなたは僕の腹違いの兄かなんかですか!?」勢いよく突っ込む青海。
「ふふふふ」と子供のように無邪気に笑ってる人物が二人を見ていた。
「ああん!?」青海は表現に凄みをきかせる。
「ごめんね。あんまり、二人の息が合ってるから・・・」黄月は笑いで出た涙を目にして二人に謝った。
その顔を見て、蒼空、青海の表情が一変し、驚きで心臓が高鳴っていた。
「雪・・・」と二人は口を精一杯で口を開いた。
「え?」黄月は不思議そうな顔で二人を見た。
その言葉に反応して二人の動揺は消えた。
「悪いな、あんまりにお前が知り合いに似てたんでな・・・驚いちまってさ」蒼空が言った。
「君、かわウィ〜ね!!どう、僕と一緒に食事でも?」青海も動揺隠そうと必死に言葉を発する。
「まてまて、青海。制服を見てみろ女子じゃない男だぞ・・・お前はコレなのか?」蒼空はオカマのキメポーズで青海に問いかける。
「なん・・だと・・!?ホントだ。男か・・・・ちなみに僕にそっちの気はない。だから、あえて言わせてもらう、女子が大好きだと!!」蒼空のツッコミで青海もぎこちなさが消えた。
「すごいね、二人の相性バッチリだね。えっと、自己紹介してなかったね。僕は、1年D組の黄月 優兎です。よろしく」黄月は微笑み言う。
「ああ、俺は蒼空 竜爪。で、こっちは変態という名の紳士の青海 龍牙だ」
「そう、僕が変態という名の紳士じゃねーよ!!紹介してくれるから、気取って待ってたのに!」
「だまれ、この鯉王。お前はそこ等辺ではねてろ!なんか悪いな、黄月うるさいだろ?」蒼空はつっこむ。
「ううん。蒼空くんと青海くんはアオとリュウが、名前に入るんだね」
「ああ。黄月ってこの辺の中学じゃなかったのか?俺とコイツのこと、知らないみたいだからさ」
今年の入学した1年は、いろいろと有名な生徒が多い。この二人も赤羽と同じ位に有名だ。中学時代は酷く荒れていて、コンビでの喧嘩は、負けなしと言われ城戸中のダブルドラゴンとだ恐れられていたが、中学2年の3学期を機に一切揉め事起こさなくなっていた。
その事から、二人は多くの生徒に知られており、クラスで浮いた存在になっていた。
「僕は、ココに入学するのに、田舎の方から出てきたんだよ。だから、何も知らなくて、なんか失礼な事を言ってたら、ごめんね」謝る黄月。
「いや、そうじゃないんだ。俺が自意識過剰だったみたいだ」蒼空はテレながら言った。
二人でたのしそうに世間話をし始める。
そんな中、青海は床にねっころがりピチピチと跳ねていた。
「二人ともそろそろ突っ込んで!なんですか、放置プレイですか!?それじゃ僕は、いつまでも進化できないじゃん、コマンド入力してくれよ!」必死に涙ながらに訴える青海。
「悪い、あまりにも馴染んでたからさ」にやにやしながら蒼空は言う。
「ちくしょー!!何か絶対に食べさせてもらうからな。絶対にだ!!」青海が強く主張する。
「やれやれ、完全に問題をすり替えてるだろ、お前」冷静に突っ込む蒼空。
「あは♪バレテ~ラ」ともの凄い間抜けた顔で青海が言う。
「もしかして青海くん、お腹減ってるの?」何かを思いついた様子で黄月が聞く。
「そりゃあもう、腹の皮と背中の皮がくっつきそうだよ」青海は言いきった。
「お弁当のあまり物で、口に合うかわからないけれど、よければ食べる?」と笑顔で言う黄月。
蒼空、青海はその笑顔に、居心地の良さとどこか懐かしさを感じていた。
学校の近くにある公園のベンチに三人は移動していた。
二人は黄月のお弁当の残りを頂く事にした。
「全然手間がかかってないもので、ごめんね」謝りながら、なにやら準備をしている。
「いや~蒼空、思わぬところで帰りの空腹を満たせるとはねぇ~運がいいよね、僕たちは」と楽しそうに青海は言う。
「すまないな、黄月。俺の分までも用意してくれるなんて」蒼空は申し訳なさそうに言う。
「全然、気にしないで。僕の分のお弁当も今日は友達が作ってきてくれて、自分で用意した分はお腹が一杯で食べれなかったんだ、だから食べてもらえればうれしいよ」うれしそうに黄月は言う。
「へぇーずいぶん気前の良い友達だな。それに比べてコイツは・・・・・」蒼空ガ言う。
「なんッスか、そのゴミを見るような目は」青海が返す。
「待たせちゃってごめんね。用意できたよ。ハイ」と黄月が言って、ふたり手渡したのは食パンの上に半分に切った目玉焼きが乗っている俗に言うアレである。
「うれしい、お腹がぺこぺこだったの」とノリノリで青海が言う。
「後、りんごが一つと飴玉が二つ」黄月が言い、カバンから出す。
「黄月のかばんって、魔ほ・・・ぐへぇ!!」言い切る前に、青海に全力の鉄拳でツッコミが入る。
「そのままほっとくと、滅びの呪文までやるのか!?いろいろと問題だから、そこら辺でやめとけよ」と止める蒼空。
「へいへい~それじゃあ、いただきます」と復活し食べ始める青海。
「いただきます」と蒼空も食べ始めた。
「食パンうまいな、これ。目玉焼きも冷めてはいるけど、黄身と白身が絶妙なバランスでおいしい」蒼空は味を楽しみながら食べていた。
「ぷは~おいしかったー。ごちそうさまでした」蒼空とは違い、一瞬で平らげる青海。
「お前は、もう少し味わって食えよ」蒼空が言う。
「お粗末さまでした」と黄月が言った。
「黄月は、手抜みたいな事を言ってたけど全然味が違うぞ、コレ」蒼空は興味が出たらしい。
「パンはホームベーカリーを使って、お米で作ったんだ。目玉焼きも少しだけ手間をかけて作ったんだよ」黄月は言う。
「そうか。うまかったよ、ごちそうさま」と満足した様子で蒼空は言った。
「はい、お粗末さまです」
「さて、これからどうする?桃園の誓いでもやる?」青海が突拍子も無い事を言う。
「なんで、三国志ぶっこんでくるんだよ」蒼空が言う。
「三人って言ったら、三国志だよな、黄月」と青海が黄月に振る。
「三国志もいいと思うけど、僕的には雷様コントかなぁ」黄月は言った。
現在ちょうど、三人はベンチに横一列に座っていた。
「ああ・・・左から、黄月、俺、青海・・・俺は黒鬼かやったぜ」蒼空は喜んでいた。
「じゃあ、僕がメガネの赤鬼だね」黄月は笑って言った。
「アイエエエエ!ミドリオニ!?ミドリオニナンデ!?」青海は精神錯乱状態である。
「青海にぴったりなポジションだな。ボケまくるしな」と蒼空は笑いながら言った。
「意義あり、ボクとポジション代われよ蒼空!」と無理やり奪い取ろうとする青海。
「ちょっと、やめろよ。・・・やめろって、言ってんだろ!どっせーい!!」蒼空は青海を投げ飛ばした。
「ちきしょー!!」青海はすぐさまに立ち上がり、ボスキャラが押されはじめると言いそうなポーズで、叫んだ。
「お前に、チョーさんはまだ早い」とハードボイルが似合いそうな感じで蒼空は言った。
「アンタ、ボクの師匠かよ!!」青海の冴えた突っ込みが入る。
「本当に、ふたりの掛け合いは息が合っていて楽しいね」黄月が嬉しそうに言った。
「じゃあ、黄月もボク達の仲間に入らないか?三人でG-1目指取るの目指そうぜ」と普段は不真面目な青海が真剣な顔で言う。
「とっても魅力的なお誘いだけれど、僕にもコンビでマンガ家になる夢が出来たんだ。だから、ごめんなさい」真剣に黄月も青海にちゃんと答えを返した。
「ふられたな。そもそも、俺とお前は仲間だったのか?」
「はぁ?なに言ってんの蒼空。ボク達は顔良と文醜みたいなコンビでガズR、ガズLみたいなコンパチ関係だろ」もの凄い極め顔で言う青海。
「体型も違うしコンパチとか無理あるだろ?それだけはないわー本当に引くわー」真顔で蒼空は言った。
「ってーか、黄月の相方って誰?マンガ家ってどゆことー?」青海は黄月に突っ込む。
「マンガ家になる事が僕の夢なんだ。相方は赤羽くんだよ。知ってるかな?」黄月はさらっと答える。
「「はぁ!?」」と蒼空と青海の声がシンクロした。
「赤羽って、あの五代中の赤羽 朱雀!?同じ学校だっていうのは知ってたけど、何だこの衝撃は」蒼空は驚いて言う。
「スザク・アカバネ。ん?スザクと言えば、あのレッドウイングのスザクかっ!!」と青海もラスボス的な驚きだった。
「赤羽 朱雀くんで間違いないよ。赤羽くんの力が僕には、必要だったからお願いしたんだ」黄月は言った。
「間違いないらしいな・・・しかしあの赤羽がか・・・」蒼空はまだ少し驚いている。
「二人は赤羽くんとは知り合いなの?」と黄月は尋ねる。
「いいや、面識はないよ。ただ、赤羽の名前は聞いていた、同世代だったしな」蒼空が言う。
「ボク達も赤羽も、中学時代荒れていたからさ噂は知ってるんだよ。いつかは赤羽に挑戦してやろうって思ってたんだけどね」と青海が追っかけ言った。
「青海、一人で赤羽に挑もうと思ってたのか?そいつは最高のショーが見れそうだったのに残念だったな」とがっかりして蒼空が言う。
「いやいや、アンタも一緒にでしょう!?コンビだよね!?あんな、呂布みたいな武力10+にボクみたいな武力7が一人で勝てる分けないでしょうが!!」と青海は必死に言う。
「すごいなお前、武力7あったのか(笑)。あとな、真剣勝負するなら、一騎打ちが王道だろ?二対一はお兄ちゃん、感心出来ないな」蒼空は悟った様に言う。
「ボクに死んで来いと?アンタも鬼だよね、ホント!!」青海は思いっきり言う。
「まあ、それはさて置き。黄月が真剣なのは感じたよ。だから、俺は応援するからな頑張れよ」蒼空はエールを送った。
「じゃあ、何か活動とかしてるの?」と青海が割り込んでくる。
「まだ、全然で、スタート地点にも立ててないんだ。とりあえずの目標はエンタメ探求部に入部するのが目標なんだよ、今は」
「エンタメ探求部なんてあったのか知らなかった」蒼空が言った。
「ボクは知ってるよ、部長が三年の尾田先輩だよね。尾田先輩って超高校級の美人らしいんだよ」下心がある言い方をする青海。
「お前って本当に、変な事ばっかり知ってるよな」とあきれて言う蒼空。
「そのエンタメ探求部に入部するのに、自分の本気が伝わる『モノ』を尾田先輩に見せなきゃならないんだ。それが僕にはマンガなんだよ」黄月は真剣に言う。
二入は、黄月の真剣さに何かを感じ、昔の自分達の事を思い出していた。自分達にも真剣に本気になって取り組んでいた時の事を。
「あっ時間!?明日が入部テストなんだ。だから今日までに原稿を完成させる予定なんだよ。帰らなくちゃ、今日は楽しかったよ、ありがとう。じゃあね」黄月は不意に時計を見ると、時刻は午後6時半近くになっている。黄月はここ数日、7時に赤羽とコンビニで待ち合わせをしている。
「黄月、パン美味しかったよ。こっちもありがとうな。あとな、じゃあねじゃなくて《またね》にしないか?これきっりみたいで、なんとなく嫌でさ」蒼空は黄月の言葉で我に返り言った。
「せっかくの縁だもんね・・・うん、それじゃあ、《またね》蒼空くん、青海くん」黄月は言い直した。
「またな、黄月」
「また、なんか作ってきてくれると、ボク!!」と青海は蒼空に突っ込みをうけながら言った。
手を振り黄月は立ち去っていく。蒼空、青海も手を振り別れをする。
残された二人は、しばらく無言のままだった。
「なあ、青海」
「うん、言わなくても分かってるよ。黄月があまりにも雪に似てるって言いたいんだろ・・・」青海が言う。
「ああ。もう過去は変わらないし変えられない。それに引きずらないって約束したし、またうじうじしてたら、あいつに怒られちまうもんな」寂しさを残した感じで蒼空が言った。
「そうだね。黄月を見てたらさ、夢があるってなんか良いなって思わなかった?」青海が問いかける。
しばらく黙り込んで蒼空が口を開いた。
「なあ・・・俺達さぁ・・・もう一回頑張ってみないか?久しぶり誰かを笑わせるって事が楽しいって思いだしちまったよ」照れながら言った。
「やっと、やる気になったね蒼空は。ボクが毎日待ってたんだよ、その言葉をね。お笑いコンビで有名になるってのが、小学校のときに雪とした約束だったもんね。ブランクが空いてもボクたちなら出来るよ、絶対にさぁ」と嬉しそうに言った。
「その根拠の無い自信はどっからでてくるんだよ?なんか、いろいろとありがとな」
「うむ。感謝を形で表してもいいんだぜ?肉まんとかさ」
「お前、まだ腹減ってるのかよ?」
「そりゃそうだよ。肉まん食べると体力回復するんだぜ~」
「そりゃ、一騎当千のゲームだろうが」
「ボクたちも、入部テスト受けてみるかい?蒼空」
「黄月の言ってたエンタメ探求部のか?」
「そうそれ、今思い出したんだけど尾田先輩ってすごい人なんだよ。たしかブログをやってて、そこで紹介したものがブレイクするって有名なんだよ、ジャンルは問わずにね」
「それって目利きって事か?」
「う~ん、目が利くってよりは面白いを感じる力に長けてるって事じゃないのかな」
「そうか・・・うん、やってみるか、入部テスト。復活一発めにその先輩に俺達の精一杯のネタ披露してみようか」
「男なら・・・やってやれだ!!ね」
「んじゃ、いっちょやってみっか!」
そしてこの二人も、また動き出した。
仕組まれた訳ではなかったが、黄月との出会いで、思い出の底に眠っていたやり残した事をやりたいと思う気持ちが動きは始めた。
夢は持つ事は誰にでも許された権利がある。
誰かに決められた訳ではなく、自分で決めて努力する。
このことが何にも変えられい、人として生きていく大事なスパイスになる。
場所は移って黄月のマンションの側にあるコンビニ。
待ち合わせの時刻の少し前だったが、赤羽はやって来ていた。
赤羽の性格は意外と几帳面だ。待ち合わせはその時刻より前に来る事が礼儀だと思う方なのだ。
赤羽が、コンビニの前であくびをし、背伸びをしているとマンションから普段は出てくる黄月だが、なぜか大道りから、制服でコンビニに向けて走ってくる。
「はぁはぁはぁ、ごめん。時間過ぎちゃったかな?」と息を切らせ黄月が言った。
「いや、時間はまだ過ぎてないぞ。どうしたんだ?まだ、学校から帰ってなかったのかよ?」
「うん・・・・はぁ~っ久しぶりに全力で走ったよ」と少し辛そうに言った。
「辛そうにしてるわりには、なんかうれしそうだな。なんかいいことあったのかい?」赤羽も黄月の顔を見て、笑顔で聞いた。
「実はね・・・・・」と黄月はすごく楽しそうに、今日あった出会いの楽しさを赤羽に説明する。
話を始めた黄月を見て、黄月 優兎という人間がその瞬間その時の大切にしている事を感じていた。
その表情から黄月の感受性が少し羨ましいとも思いながら赤羽は話を聞いた。
一通り話し終えた。
「へぇ~そんな奴等がいたのか、知らなかったな」
「青海くんと蒼空くんは、赤羽くんの事知ってたよ」
「そっか、まあ同じ学校だからどっかで顔合わせるだろ、きっとな」
「うん、そうだね。」
「ってーかな、黄月・・・」どこと無く重い空気で赤羽が言う。
「ひゃい」その雰囲気に当てられたのか、強張った声で返事をした黄月。
「話がさ・・・なげぇよ!?時間やばいぞ!!原稿、今日中だろ!!どーすんだよ、なんだ徹夜か!お前は徹夜を所望するのか?」と思いっきり突っ込みを入れる赤羽。
「ファッ!?」
「ファッ!?じゃねーよ!!よし、もう時間は無駄にできないぞ。絶対に終わらせようぜ!」
赤羽の言葉からは、固い意思が感じられた。
「本当にごめん。うん、ここからはちゃんと汚名挽回するから!!」キメ顔で黄月が言った。
「そーだな。あとな、一つ言っとく・・・汚名っていうのはな・・・返上するものだ」真顔で言う赤羽。
「はう!?」黄月は心に痛恨の一撃をくらった。
その後二人はノンストップで作業をした。
原稿が終わったのは、赤羽の読み通り日が変わり日の出近くだった。
まだまだ、二人は納得できる仕上がりではなかったが、今出せる力は全て出し切った。
「終わったーーー!!」赤羽は両手を上げて伸びをした。
「出来たね・・・赤羽くん、本当にありがとう・・・」黄月の目からは、感謝からなのか嬉しさでなのか涙が出ていた。
「おいおい、礼言うのも泣くのは早いぞ・・・まだ最終試練が残っているだろ、それに勝ってからにしようぜ」優しい表情で赤羽が言う。
「うん・・・そうだよね。まだ、入部テストが待ってるんだもんね」黄月は必死に堪えている。
「よしよし、面倒だけど帰ってシャワー浴びて、制服に着替えないと。学校に来る時に、原稿忘れるなよ」赤羽は心配する母親の様に言った。
「うん。昨日のお昼は、ご馳走になっちゃったから今日は僕が作ってくよ。赤羽くんのも。原稿を最後まで一緒に仕上げてくれた感謝の気持ちもあるから」玄関で靴を履いておいる赤羽に言った。
「悪いな、じゃあもう時間もないし、お言葉に甘えるよ。それじゃまたな」赤羽は言いながら、玄関の扉に手をかける。
「赤羽くん、ありがとう。また、学校でね」手を振りながら黄月が言った。
赤羽も手を振り、玄関を出た。
部屋に一人になった黄月は、今日の入部テストの事を考えていた。
二人で全力は出し切った。だが、エンタメ探求部部長の尾田に認めてもらえるのだろうか?
本当にこれがベストだったのか?
などと思い弱気になってしまう。
そんな気持ちを振り払おうと、黄月は台所に向かっていた。
顔を両手で叩き気合を入れた。
相棒への感謝と労いの気持ちを込めて昼の弁当の準備を始める。
放課後の決戦までの不安を忘れて。
今回は少し早めに投稿できました。
自分の文読んでいて・・・台本化してると思い、途中からは、小説になるように少し頑張ってみたのですが・・・・・
人に、状況や心境を伝えるの本当に難しくて苦しんでいます。
全然ダメダメですが、より楽しく伝えたい事を分かり易くなるように努力します。




