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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第九章:魔王の娘と女聖騎士

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魔王の娘と女聖騎士 その3

畜生、俺のミスだ!

まさか、こんな形で女聖騎士に気付かれてしまうとは。

そして、こうなっては言い逃れもできそうにない。


どうする?

この場で勇者の様に殺すしかないか!?

いや、女聖騎士は説得してこちら側に引き入れる、そういう計画だ。


聞き入れてもらえる確証はない。

むしろ、失敗する可能性の方が高い。

だがしかし、それでもやらなければならない。


……もう少し、時間さえあれば!


「その通りですわ! あの忌々しい勇者を殺したのは、このわたくしですわ!!」


女聖騎士の問いかけに対し、魔王の娘が威勢よく答えた。

こうなっては、俺も観念して正直に話すしかない。


「バレてしまっては仕方ありません。エイラムさんの言う通り、私たちで勇者を秘密裏にこの部屋で始末しました」

「何故です!? 何故私に一言相談してくれなかったのですか!? そうすれば、力になれたのに……」

「それは……」


咎められるのかと思いきや、女聖騎士から思わぬ答えが返って来た。

これは、説明すれば味方になってくれるという事だろうか?

だが、俺たちが魔王側だという女聖騎士にとって想定外の話をすれば、その評価が一転する可能性も充分にある。


「何故なら、あの勇者は魔王を……私のお父様を殺そうとしていたからですわ!」

「魔王? お父様? エイラムさん、貴女は何を言っているのですか!?」

「ライト様にエイラムさん、二人共落ち着いてください。ライト様には私が順を追って説明します」


取り合えず、二人には一旦落ち着いてもらった。


──順を追ってとは言ったものの、何処から説明すればいいだろうか?

とりあえず、まずは勇者と魔王についてでいいかな?


「まず、勇者を殺した理由について。これは勇者が魔王様を殺そうとしたからです」

「その魔王とは何者ですか? もし、そんなものが本当に存在するならば勇者でなくても倒さなければなりません」

「魔王様というのは……一言で言えば、このダンジョンを作った者です」

「!? つまり、このダンジョンは魔王の住処であると?」

「そういう訳ではないのですが、魔王様の計略によって各地にダンジョンが出現したと説明した方が分かり易いでしょうか?」


理解してもらえただろうか?

困惑し続けている様子から、女聖騎士はまだ突然の事で頭の整理が追い付いていないようだ。


「話を続けて大丈夫でしょうか?」

「はい、ダンジョンに魔王が関与している事までは分かりました。続けてください」

「では、続けます。魔王様は、町長である私の父にダンジョンの管理の一部を任せました。ダンジョンの存在を宣伝して、一攫千金を狙う冒険者たちを集めるようにと」

「……!! まさか、町長殿も、アイス殿も……その魔王に協力していると!?」


やはり、魔王に協力というのは不味かったようだ。

女聖騎士の表情が、困惑から失望に変わった様な気がするなあ。


「ここからは、わたくしが説明致しますわ!」


魔王の娘が割り込んできた。

しかし、次は女聖騎士に魔王の娘についてを紹介しなければならなかったからな。

丁度いいか。


「改めまして、聖騎士様。わたくし、魔王が娘の一人、エイラムと申しますわ」

「魔王の娘!?」

「そうですわ。この町とダンジョンの管理を行うため、地の底にある魔界から地上へと出向きましてよ」

「この町の管理とは何ですか!? 答えなさい!!」

「ダンジョンに集まる冒険者にお金を落としてもらい、町を発展させる。それが魔王の命ですわ」


またもや女聖騎士が困惑している。

だが無理もない。

町長である父上が魔王からダンジョンを任された時もそうだったからな。


「戯言を! そんな事をして何になるのですか!?」

「ライト様、エイラムさんの言う事は本当です。私も町長も、そしてこの町も魔王様のダンジョンによって稼がせてもらっています」

「つまり、アイス殿たちは金のために魔王に魂を売ったと!?」

「──従えば褒美を、逆らえば死を。町を守るために、どちらの選択を選ばなければならないかは、分かりますよね?」

「それは……」


正義感の強い女聖騎士らしい。

俺や父上が金のために魔王に協力した事には怒りを見せるし、町を守るために魔王に従うという選択には惑っている。


だが、俺たちはここから女聖騎士を説得して、こちら側へと引き入れなければならい。


「私たち……いえ、この町は今では魔王様のおかげでここまで発展し、町民も満足して暮らしています」

「だからと言って、魔王に協力するなんて……」

「国の中央もダンジョンから産出される武器や防具を珍重しています」

「しかし……真実を知ればそんな事、許されるはずが……」

「一体、誰が許さないと言うのですか!?」


魔王の娘が突然、声を張り上げて言った。


「聖騎士団ですか? それとも、エルフですか? 貴女を許さないでこの町へと左遷した者たちに、どうして許しを請わなければならないのですか!」

「だ、黙れッ! 魔王の娘の言う事なんて……誰が聞くか!!」

「黙りませんわ!」

「私は聖騎士ライト・ヌーム! 聖騎士として、善なる者として、悪に与する魔王は倒さなければいけません!!」

「ですが、そちら側に貴女の味方はいませんわよ! 聖騎士様……いいえ、ライト・ヌーム。私たちの側へ来なさい!」


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