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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第九章:魔王の娘と女聖騎士

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魔王の娘と女聖騎士 その2

勇者を入れる棺桶の用意ができ、俺と魔王の娘は女聖騎士を連れてダンジョンへと入る事となった。

棺桶自体は俺が注文したものが衛兵の拠点に、つまりはダンジョンの入口に運ばせてある。


「あのー? 町長の息子さんからだと、こんなものが届いているのですが……?」


衛兵の一人が、突然届いた棺桶に困惑しているが無理もない。


「大丈夫です。それは私が運びますので」

「えっ!?」

「これから勇者の死体を回収しに行きます」


女聖騎士が衛兵から棺桶を受け取る。

棺桶にはロープが結ばれていて、よく見ると棺桶の下には車輪が付けられていた。

ロープを引っ張る事で棺桶を容易く運べるという仕組みだ。


「それでは、行きましょうか」

「本当に宜しいのですの? やはり棺桶は殿方に運んでもらった方が……?」

「いえ、本来ならば死体を回収するのは私の役目。ですから、これは私がやらなければならない仕事です」


魔王の娘が複雑そうな表情をする。

無理もないが、そのおかげで俺は楽をできるわけだ。

いや、その代わりにダンジョンのモンスターを相手にしなければならないが、それでも棺桶を運ぶよりかはいい。




俺と魔王の娘は、棺桶を引きずりながら進む女聖騎士の護衛をしながら進む。

魔王の娘を先頭にして真ん中を女聖騎士が歩き、後ろを俺が守る形だ。

通路を歩く時は大丈夫なのだが、下層に降りる階段では危ないので、俺が後ろから棺桶を持ち上げている。


「手伝わせてしまって申し訳ありません」

「これを全部一人で運ぶのは無茶です。どうか、お気を悪くしないでください」


それでも降りる時はまだいい。

問題は棺桶に死体を入れた後の帰りだ。

階段を上る時は、俺が下から支えないと無理だろうな。




そうして、俺たちは三人は第九階層まで到達した。


道中何度かモンスターに襲われたが、その殆どを魔王の娘が難なく倒す。

稀に後方から奇襲をかけて来るモンスターもいたが、それも俺が簡単に倒せてしまった。

これまでの修行の成果の賜物だな。


「到着しましたわ。私たちが周囲を御守りしますので、その間に聖騎士様はお願いしますわ」

「……わかりました」


俺と魔王の娘は部屋の周囲を守る。

周辺に潜んでいるかもしれない勇者を殺したモンスターを警戒するという名目だ。


だが、そんな心配はしなくていい。

何故なら、勇者殺した魔王の娘はここにいるのだから。


「終わりました」


女聖騎士が作業を終えた合図をしたので、俺と魔王の娘は帰ろうとした。

だが……。


「あのッ! ちょっと宜しいでしょうか?」


女聖騎士が突然声をかけて、俺たちを呼び止める。

何かあったのだろうか?

長居はしたくないだろうに。


「どうかなさいましたか、聖騎士様?」

「大丈夫ですか、ライト様? もしかして、死体の回収が上手く行かなかったのですか?」

「いえ、それは大丈夫です。ですが、ですが、御二人に大切なお話があります」


女聖騎士は何やら思い詰めた様な深刻な表情をしている。

この場所から一刻も早く離れたいだろうに、どうしたというのだ?


「生前の勇者の最後に目撃した人の話では、アイス殿と一緒に歩いていたそうです」


しまった!

誰かに見られていたのか!?


「ですが、アイス殿がその事を私に話してくれなかったのが、ずっと気になっていました」


よかった、その口ぶりだとダンジョンの裏口に行ったところまでは見られていないな。

そこさえ見られていなければ、何とでも言い訳できる。


「そんな時です。アイス殿にダンジョンを探すように提案されたのは」


──我ながら最悪のタイミングで提案してしまったな。

畜生、見られてさえいなければ!


「私は最初、偶然だと思いました。いいえ、偶然であってほしいと思っていたのかもしれません。何かあるにしても、これ以上の勇者の詮索を止めてほしいのではと考えていました」


そうだったならば、どんなによかったか。


「ですが、ダンジョンで……第九階層のこの部屋で勇者の死体を見つけた時、思いもしていなかった事に私は驚きました。あるはずの無い……いいえ、できるはずのない事が行われたからです」


ああ、そうだよ。

俺ではあの勇者を殺せないし、殺す理由も無い。


「私は、これが只の偶然であると思いたかったです。アイス殿と勇者が一緒にいた目撃証言が単なる見間違いであり、勇者もこっそりダンジョンに一人で入る愚か者で、勇者を殺せる程のモンスターがこのダンジョンの奥深くにいると信じたかったです」


だったら、それでいいじゃないか。

だが、今になって疑うという事は、そんなモンスターが存在しないという確信を得てしまったか!?


「今日まで、その事で悩んでいました。アイス殿の実力では勇者は殺せない。だから、アイス殿は関係ない。関係あるにしても共犯者がいる。そう、考えていました」


鋭い、流石だな。

いや、感心している場合じゃないぞ。


「他の人は勇者が殺された事でダンジョンの深層を恐れています。ですが、今さっきまでのアイス殿とエイラムさんは、勇者の殺害現場なのにまったくの平常心でした」


そこかよ!

その恐れを人々から取り除くのが目的だったから、そんな事は微塵も考え付かなかった。

もっとビビっている演技をするべきだったが、こうなっては後の祭りだ。


「そして、エイラムさんは初めて戦っているのを見た時から常に異次元の強さです」


魔王の娘の強さもとっくの昔にバレていたのか。

今まで何とか誤魔化せていると思っていた俺たちが甘かった。


「これらの事から私は確信しました。勇者を殺したのは……貴方たち二人。そうですね?」


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