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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第八章:聖騎士と勇者殺しの調査

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聖騎士と勇者殺しの調査 その5

女聖騎士は、俺と魔王の娘を連れてようやく第九階層へと到達できた。

ここまで来るのに一ヶ月半かかったが、あと少しだ。


そして、成長した女聖騎士は、第九階層のモンスターとも単独で渡り合えるようになっていた。

女聖騎士の希望もあって第八階層で念入りに修行したからな。

その分進行が遅れたが、女聖騎士と彼女の使う武器は更なる成長を遂げたようだ。




そして、ようやく俺たちは勇者の死体が放置されている例の部屋にたどり着けた。


俺たち三人が部屋に入ると、そこには勇者と思われる死体がある。

そして、部屋にはまた巨人のモンスターが予め用意されていたかの様に配置されていた。

あの日、勇者が倒したものと同じ個体、肉の塊の様な巨人だ。


魔王の娘の命令なのか、あるいはダンジョンを管理するドワーフたちの粋な計らいというやつなのかは知らない。

だが、これをあの日の勇者と同じ様に女聖騎士に倒させ、彼女がどれだけ成長したのかを確かめたい意図だけは分かる。


「あそこに見える死体を確認したいのですが……あの巨人のモンスターが邪魔です」

「どうやら、この部屋を守るボスの様ですね。向こうに見える死体も、恐らくはアレに殺られたものかと」

「ですが、立派に成長なされた聖騎士様ならば、こんなモンスター楽勝ですわ」


魔王の娘が女聖騎士に巨人のモンスターを倒すよう催促をする。

一方の女聖騎士も、何としても目の前の死体を確かめなければならず、元よりやる気だ。


「私が、あのモンスターの相手をします。ですが、あの死体が勇者のものだとすれば、勇者を倒したモンスターは相当強いはずです。ですので、もしもの時は迷わず逃げてください」

「大丈夫ですわ。もしもの時は、わたくしが援護致しますわ」

「そうです。ライト様を一人置いて逃げるなんて真似はできません」

「……愚問でしたね。では、行きます!」


女聖騎士が巨人に向かって行く。

そして、それに気づいた巨人は戦闘態勢に入り、女聖騎士目掛けて拳を振り下ろした。


勇者みたいな華麗な動きで短時間で決着をつける事はできない。

しかし、女聖騎士は着実に巨人の攻撃を回避し、その大振りな攻撃の隙を見逃さずに剣で斬り付けるを繰り返した。


「この一撃で!!」


女聖騎士が会心の一撃で巨人を剣で刺す。

そして、巨人は膝から崩れ落ち、それ以上は動かなくなった。


「お見事ですわ!」


魔王の娘が拍手と共に、女聖騎士に労いの言葉をかける。


「驚きました。正直、もっと苦戦すると思っていたのですが、こうもあっさり倒せてしまうとは」

「それだけ、ライト様が強くなったという事ですよ」

「いえ、そういう事では……いや、まずはあの死体が本当に勇者のものか確認しましょう」


女聖騎士が勇者の死体に駆け寄り、調べ始める。

よく見ると、死体は干からびて見た目では既に誰だか判別が付かないくらいになっていた。

だが、ダンジョンという環境のせいなのか、白骨化に至るにはまだまだ時間がかかるみたいだ。


「見た目だけだと微かに面影がある程度です。しかし、死体が持っている剣、そして身に着けている鎧。これは確かに勇者のものです」

「では、この死体は勇者で間違いないと!?」

「その通りです。まさか、本当にダンジョン内で死んでいたなんて……」

「あの勇者の事ですわ。きっと、皆を驚かせようとこっそりダンジョンに入って失敗したのですわ」

「ええ……恐らくそうでしょう……」


女聖騎士にそう思われてしまう勇者が何とも哀れである。


「しかし、死体を調べて分かりました。勇者を殺したのはさっきのモンスターではないと」

「……そうなのですか!?」

「あの巨人のモンスターは、その巨体から繰り出される拳でしか攻撃してきませんでした。しかし、死体にあるのは刺し傷で、その周辺には血が乾いた跡があります」

「つまり、別のモンスターが勇者を殺していて、あの巨人は偶然この場所にいたと?」

「そういう事になります」


事実、勇者は魔王の娘の剣に貫かれて致命傷を負っていたからな。

元より隠すつもりは無かったが、さっきのモンスターを犯人に仕立て上げるには流石に無理があるか。


「あの巨人のモンスターが殺したにしては弱過ぎると思っていましたが、勇者殺しの犯人が別にいるなら納得です」

「まあ、それは怖いですわ」

「できれば死体を回収して墓を作ってあげたいのですが、勇者を殺したモンスターが近くにいるかもしれません」

「確かに。死体を運ぶのは大変ですし、その隙を襲われたならば一溜りもないです」


そんな心配は無いんだけどな。

だが、死体を運ぶのが面倒な事だけは本当だ。


「とりあえず、遺品の中から勇者の剣だけを持って帰還しましょう。これで、エルフや聖騎士団の上層部に勇者が死んだ事を報告できます」


やれやれ、時間はかかったが上手く行ったな。

勇者が死んだと分かれば、聖騎士団もこれ以上は動かないだろう。

しかも、表向きの死因が勇者の愚行ならば尚更だ。


そして、勇者殺しの犯人はダンジョンに潜む未知のモンスターだという事になった。

これで、魔王の娘が勇者を殺したという事実は、目論見通り隠せる。




こうして、この一件は終わる筈……だった。

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