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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第八章:聖騎士と勇者殺しの調査

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聖騎士と勇者殺しの調査 その2

勇者が行方不明になって聖騎士団が騒ぎ出した。

この事を魔王の娘に報告するために、俺は彼女の部屋を訪れた。


「ふーん。エルフ側も動いちゃったかー」

「今のところ動いたって程の事じゃないが、あの勇者が消えたってのが予想以上に大変な事態らしい」

「私たちが警戒して消しちゃったくらいの勇者だし。逆にエルフたちも当然期待していたって事かもね」


魔王の娘は、優雅にお茶とお菓子を嗜みながら俺の報告を聞いている。

騒ぎ出した聖騎士団やエルフの善の側とは違って、勇者を倒すという一仕事を終えた魔王たち悪の側は平和なもんだ。


だが、このまま事態を放置するのはまずい。

聖騎士団が勝手に切羽詰まって、この町に押しかけるなんて最悪も……。

そうなる前に、何としても事を穏便に済ませなければ。


「それで、あの女聖騎士は見当違いの場所を探しているんでしょ?」

「ああ。行方不明になった勇者の目撃情報を必死で探している」

「私たちが殺した勇者、だよ?」

「そうだったな。俺たちが殺した勇者だ」


そうだ。

勇者は俺たちがダンジョンで殺した。

だから、女聖騎士がダンジョン以外の場所を探したところで見つかるわけがない。


「だったら、私たちで女聖騎士を導かなきゃ。勇者の死体がある第九階層まで」

「でもなあ。勇者がダンジョンに入った形跡がないから、女聖騎士もダンジョンは捜索場所から除外しているんだよなあ」

「そういう事じゃなくて、絶対に見つからない勇者を探している女聖騎士が可哀想じゃない」


可哀想ねえ……。

最近は、魔王の娘も女聖騎士に御優しい事だ。


「そういえば、女聖騎士も勇者の捜索にはあまり乗り気じゃない感じだったなあ。むしろ嫌がっていた」

「だったら、勇者を探すためにダンジョンを探索しようって誘おうよ。見つからないんじゃあ、どうせ何処探しても一緒なんだし」

「そんなので大丈夫かなあ?」

「大丈夫、大丈夫。女聖騎士もやりたくない仕事をサボってダンジョン探索できるから喜ぶって。勇者を探している姿勢を周りに示せるし。こういうのは、やっている感出しとけば周りを誤魔化せるから」


成る程なあ。

こうやって相手の望む者を提示して、堕落させたり上手く操ったりすればいいのか。


「それに、元より冒険者の誰かに勇者の死体を見つけさせる計画なんだから。それが、あの女聖騎士になるだけ」

「第九階層まで女聖騎士を連れていくのか?」

「当然。第九階層まで到達できるように私たちで女聖騎士を鍛えなきゃ」


またもや女聖騎士を含めた俺たち三人で、ダンジョン探索を始めるのか?

幸か不幸か、ダンジョンという環境は色々と鍛えるにも最適な場所だ。

勇者の探索と称して修行すれば、何れは第九階層に到達できるまでの強さに仕上がるかもだが……。


「確かにそれは手っ取り早いが、女聖騎士にそこまでしてやるのか?」

「ん? 何かおかしい?」

「いや、優しいんだなって思って」

「べ、別にそんなんじゃないから! ほら、あの女聖騎士から情報を引き出すなら仲良くするのが最適な手段だと思っただけで……前にも言ったよね?」


多分、前にも似たような事は聞いた気がする。

だが、あからさまに照れた感じで否定するあたり、魔王の娘も何だかんだで女聖騎士の事は気になっているんだな。


「……何て言うか、ちょっとほっとけないだけ。不器用そうだけど真面目でいい子だもん。私が使ってあげなきゃ勿体ないよ」


気に入っているから利用したいねえ……

言葉通りに受け取れば、歪んだ愛情とも受け取れるが。

──ただの照れ隠しであって欲しい。


「とにかく、女聖騎士をダンジョンに足止めしている間は時間を稼げる。勇者の死体まで到達した後は、馬鹿勇者がダンジョンに一人で突撃した結果犬死にした。それで全部丸く収まるから」

「勝手に一人でダンジョンに入った挙句、無茶して死んでしまったとなれば、エルフも聖騎士団も流石に勇者を見限るか」

「そうそう。死因が馬鹿ならこれ以上調べるなんて事はしないし、勇者も元から能力を過信した馬鹿だったしでお似合い」

「能力を過信?」

「真面目に修行していなかったって事。勇者の能力が無かったら女聖騎士よりも数段劣ると思うよ、あの勇者。もう死んじゃったから証明できないけど」


そういう点でも魔王の娘は、あの女聖騎士の事を買っているのな。

しかし、そうなると生まれ持った能力だけで勇者はあの強さなのか。

育つ前に勇者を始末したいと魔王側が動くのも納得だ。


──何時かは、強力な能力とそれに釣り合った心を持つ善の勇者が現れて、魔王を倒す日が来るのかもな。

もしも、あの女聖騎士が勇者ならば、それも叶ったかもしれない。

しかし、現実はそう上手くはいかないか。


むしろ、強くても悪しき心を持った勇者が誕生した日には、世界は大変な事になる。

それならば魔王に支配されている現状の方が平和だろうな。


平穏な日々のために勇者を倒す。

魔王の娘のその言葉も正解の一つなのかもしれない。

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