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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第七章:魔王と勇者殺し

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魔王と勇者殺し その5

勇者殺しの準備が出来たと知らせを受け、俺は宿から出てきたところの勇者に声をかけた。


「えっ、一緒にダンジョンに潜ってくれる強力な助っ人が見つかった!?」

「そういう訳で、これから一緒に付いてきてくれないか?」


俺は通りかかった偶然を装って勇者に接触したが、そんな事はなく勇者が出てくるのを態々待っていた。

宿の人間に見られたくなかったからだ。

殺される勇者を最後に呼び出した人間が俺だとバレると面倒だしな。




俺は勇者を連れてなるべく人気のないルートを通り、ダンジョンの真裏に向かった。


「あの? ダンジョンの入口はここから正反対ですよね? 本当にこっちで大丈夫なんですか?」

「問題ない。君は勇者だから特別に秘密の入口を教えようと思ってな」


そうして、ダンジョンの外周を歩いていると、俺たち二人を見つけた魔王の娘が手を振っているのが見えた。


「やっほー、アイスくん。こっちだよ」

「あの方は……?」

「今回の助っ人だ」

「この前、貴方と一緒に私の部屋に来た彼女がですか?」

「彼女と俺の二人……だ。何か不満でもあるのか?」

「大ありです!」


まあ、見た目だけなら俺も魔王の娘のそんなに強そうではないからなあ。

不満に思うのも仕方ないな。


「来たね。じゃあ、行こっか」


魔王の娘は俺と勇者が到着したのを確認すると、ダンジョンの裏口を開いた。


「こんなところに入口が!?」


一見何も無いところから突然現れた入口に勇者は驚き、唖然としている。


「おっ、いいねえ。こういうテンプレ的な驚き方をされると、私も見せた甲斐があるよ」

「どうだ? 私も彼女もこのダンジョンの事を知り尽くす程には強いという訳だ。それとも行きたくないのか? 第八階層よりも下の階層に」

「!? 行けるのですか?」

「そのための裏口だ」


俺と魔王の娘は勇者を裏口へと案内する。

表門から入ると、衛兵たちに俺と魔王の娘が勇者と一緒にダンジョンに入った事がバレてしまうからな。

それは避けたい。


勿論、この裏口は他の人間……特に冒険者には秘密だ。

だが、これから殺す相手に知られる分には問題ない。


「あの、貴女は私の事嫌いなんじゃなかったのですか?」

「何? 私はアイスくんに頼まれたから仕方なく付き合ってあげているんだけど! それとも、怖くなったから逃げ出したい?」

「そんなわけあるか! さっさと行きましょう!」


裏口を通ってすぐ先のところに、昇降機が設置されている。

俺がこれを見るのは初めてだ。

恐らくはダンジョンの管理用にドワーフたちが設置したものだろう。


「これに乗れば第九階層まで直行なんだよ」

「あの……もしかして更に下の階層にも……?」

「勿論行けるけど、まずは第九階層のモンスターを倒すところを見せて欲しいんだけどなあ」

「ちょっと事情があってな、まずは第九階層まで来て欲しいんだ」

「そういう事なら……」

「事情は移動中においおい話す」


勇者を含めた俺たち三人は昇降機に乗り、第九階層へと直行する事にした。


「実は、第九階層に厄介なモンスターが住みついてな。まずは、それを倒して欲しいんだ」

「もしかして、僕を呼んだのはそれが目的ですか?」

「そうだ。この町で一番強いであろう勇者にしか出来ない仕事だと思ってな。それが終わったらダンジョンの深層で好きに暴れていいぞ」

「成る程、お安い御用です」


勇者の奴、期待されていると思って張り切っているな。

平和な世界の中で久々の大仕事に、心躍らせているのだろう。


だが、これは嘘だ。


お前がモンスターを倒せたところで魔王の娘に殺さるのが定め。

あの裏口を通り抜けた時点で勇者の人生は決まってしまったのだ。




昇降機が第九階層に到着する。

俺たち三人は昇降機を降りた先の通路を進む。

そして、少し歩いたところで管理者用の通路から出る扉が見えた。


「モンスターはこの先だ」

「はい、任せてください」


勇者は鞘から木の剣を抜き、エルフの魔法を使ってそれを光り輝く剣へと変化させる。

それと同時に勇者の着ている鎧もまた同じ様に光り輝いた。

武器と同じく防具もパワーアップしたのだろう。


「では、扉を開けてください」


俺が扉を開けると、その先には異型で肉の塊の様な巨人がいた

無論、これは魔王の娘が予め用意させたモンスターである。

てっきりドラゴンでも差し向けるのかと思っていたが、意外だな。


「これは、挑戦しがいのある相手ですね」


勇者は、その巨大でグロテスクな相手に臆する事も無く、勢いよく立ち向かった。

そして、巨人の踏み潰し攻撃を華麗に避け、降りかかる拳の上に飛び乗ったかと思うと、巨人を頭上から縦に真っ二つにしてしまう。


女聖騎士とは次元の違う圧倒的な強さ。

それに驚いた俺は、思わず小声で魔王の娘に話しかけてしまった。


「おい、本当にアレに勝てるのか!?」

「えっ、何? 大丈夫に決まってるじゃん」


俺の心配とは裏腹に、魔王の娘はまったく動じてはいない。

それどころか、勇者が一撃でモンスターを倒す姿を見て、計画通りと言わんばかりに笑みを浮かべていた。


「おー、中々やるねえ。凄い凄い」


魔王の娘が勇者に労いの言葉かけながら近づいていく。

そして、今まで俺以外の人前では決して抜くことの無かった黒曜石の剣を構え、いきなり勇者へと切りかかった。


だが、勇者は辛うじてそれを自身の剣で受け止める。


「な……何を!」

「どうしたの? これからが本番だよ」


魔王の娘は、突然の事に困惑する勇者に対し、明るく可憐に答えた。

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