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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第六章:聖騎士様の動向

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聖騎士様の動向 その5

衛兵用の装備をダンジョンで揃える事になって半月。

俺たちはダンジョンの第五階層を探索していた。


「素晴らしい快進撃ですわ。このまま、わたくしたちでダンジョンを完全攻略するのも夢じゃないかもしれませんわ」


相変わらずの口調で魔王の娘が喋っている。

無論、女聖騎士をおだてて先へと進ませるために適当を言っているに過ぎない。

本当にダンジョンの最深層まで攻略されて困るのは、他ならぬ魔王の娘だからな。


とは言え、ダンジョン攻略自体は極めて真面目にやっている。

一応ダンジョンを管理する側としては、チェックの意味も込めて無駄にはなっていないんだが。

……マッピング係の俺は進行が速いと大変だぞ。


ところで進捗はどうなっているのだろうか?

俺は、この辺りで一つ女聖騎士に確認を入れてみる事にした。


「ライト様、装備の集め具合はどうです?」

「この階層に出現する装備を一式揃えたものを、もう5セット程集めれば十分かと思います」

「ここよりも下の階層に行けば、もっと強力な装備も手に入りますわよ」


魔王の娘が更なる下層へと女聖騎士を導こうとしているが、正直勘弁して欲しい。


「いえ、衛兵たちもダンジョンの第二階層までを巡回できれば今のところは十分です。それに、恥ずかしながら私もこの階層が限界みたいで、申し訳ありません」


成る程、女聖騎士の扱うエルフの武器ではこの階層が限界か。

正直、第五階層まで行けるだけでも十分強いし脅威ではあるのだが、魔王の娘の実力には遠く及ばないだろう。

更に、俺自身もドワーフに新調してもらった装備一式が優秀なのか、まだ余裕があるくらいだ。


あの女聖騎士が聖騎士団の中で特別弱いなんて事もないだろう。

どうやら、聖騎士団は恐れずに足らずのようだ。


「いえいえライト様、第五階層に到達するだけでも大したものです。冒険者ですら、この階層に到達したものは中々いません」

「そうでしょうか? わたくし、この前武器屋さんに確認したところ、第八階層の武器が出回っていると聞きましたわ。うかうかしていると、彼らに先を越されてしまいますわ」


だから、魔王の娘は何がしたいんだよ!?


しかし、武器屋で出回っている商品からダンジョンの攻略され具合が分かるのか。

そういえば、この町に魔王の娘が来たばっかりの時も、武器屋の買取商品について色々言っていたなあ。


「ああ、それは少し前に他所の町から来た冒険者の方々ですね。瞬く間に第八階層まで攻略したと噂になっていました。きっと、元いた町のダンジョンでも活躍していたのでしょう」

「それは、もしかして衛兵等の組織編制について教えてくれた冒険者の方の事でしょうか?」

「はい、その方です」


やはりか。

しかし、そんなに強い冒険者が元いた町を追い出されたのだとすれば。

一体何をやらかしたのやら。


「そんなに御強いのでしたら、わたくしも一度お会いしたいですわ」

「それでしたら、今度エイラムさんにも紹介しましょう。以前、エイラムさんが見せてくださったのと同じ格闘技を使う方ですので、会話も弾むと思いますし」

「へー、人間にもあの技を使えるのが……い、いえ、何でもありませんわ。紹介、お願い致しますわ」


魔王の娘は強い冒険者にも関心があるようだ。

理由はわからないが、これもドワーフとエルフの戦いに関係があるのかもしれない。


「ところで、アイス殿。町長殿たちとの話し合いは何時行われるのでしょうか? 忙しくて中々時間が取れないという事なら諦めもつくのですが、ダンジョン入口に拠点らしきものが完成間近なのが気になっていまして」


ええーっ!?

父上、絶対話し合いを開催する事を忘れていて、既に決まったものとして進めているだろ!

そして、俺もまたすっかり忘れていたぞ。


「私の方からもう一度父上……町長に確認を入れてみます。工事が進んでいるのは、きっと時間が中々取れない事を見越した町長が、先行して進めたものだと思いますので安心してください」

「えっ……はぁ、そこまで衛兵の件を了承して下さっているなら有難いのですが、思った以上に話が上手く進んでいて少しビックリしてしまいました」


うわー、明らかに疑惑の目で見られている上に呆れられているぞ、こりゃ。

水面下で進めるつもりが、やり過ぎたか!?


「まあ、それでしたら直ぐにでも衛兵が活躍できるところまで、プロジェクトが進んでいらっしゃいますのね。わたくしたちも遅れを取らないように装備集めを頑張りましょう」

「はい、これもエイラムさんが事前にダンジョンでの装備集めを提案してくださったおかげです。でないと、話が進んで設備も完成したタイミングで計画が大きく延期するところでした。ありがとうございます」

「も、もっと褒めてくださっても、よくってよ」


よかった、魔王の娘が会話に割り込んでくれたおかげで、この場は有耶無耶にできたぞ。

だが、女聖騎士と父上との話し合いの場については、明日にでも父上にキツめにお願いしないとな。

これで、うちの町にもようやく衛兵が誕生できそうだ。


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