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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第六章:聖騎士様の動向

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聖騎士様の動向 その1

聖騎士とダンジョンに入ってからの事である。

俺と魔王の娘が武器の調査を進めていた一方で、女聖騎士は自警団の組織強化を進めているようだ。

そして、その最中で町長の息子である俺は、女聖騎士から相談を受ける事になった。


「それで、相談と言うのは?」

「はい、他ならぬ自警団の事です。実は自警団という組織そのものを町の衛兵に昇格させたくて、町長殿に進言する前にアイス殿にお話をと」


成る程、町長である父上に直接話を通す前にという訳か。


「衛兵ですか。何だか随分とかっこいい感じになりますね。それで、具体的には」

「制服の導入、常駐場所の制定、予算の確保とありますが、何より一番は本拠地の設定でしょうか」


色々あるなあ。

確かに、これらを全部やろうとするなら町長の許諾は必要不可欠か。


「分かりました。まずは私の方で父に話を通しておき、後日改めて話し合いの場を設けます」

「宜しくお願いします」

「それで、本拠地ですが何処か候補があるのですか?」

「ダンジョンの入口付近、そこを衛兵の拠点にしたいと思います」


ダンジョンだと!?


確かに、町にやってくる余所者の大半はダンジョン目当ての冒険者だ。

そこを中心として町を、特にダンジョン付近の街を守るというのは理に適っている。

が、エルフの手下である聖騎士がそれを求めるのがなあ。


「失礼ですが、どうしてそこに……?」

「他の町からやってきた冒険者の方から聞いたのです。前にいた町には衛兵が居て、ダンジョンの入口付近を本拠地にして守っていたと」

「成る程、それで衛兵へと昇格させる云々の話という訳ですか」

「はい。自警団を町の衛兵へと昇格させる話自体は以前から出ていたのですが、最近になって良い参考例の話を聞く事ができましたので、それで一気に構想が固まったのです」


聖騎士によるダンジョン監視が目的ではないのか。

それが分かっただけでも一安心だ。


別のダンジョンから流れて来た冒険者なんて珍しいな。

町長である父上ならいざ知らず、少なくとも俺や他の町民はうち以外のダンジョンがある他の町との交流がまったくないからなあ。

他所の町について知る事ができる貴重な機会だ。


良い政策があるならば、うちの町でも真似ていきたいしな。

俺もその冒険者に是非会ってみたいものだ。


「そうでしたか。実績がある話ならば父上……町長への印象も良くなると思います」

「期待して待っています」






そして、俺は町長である父上に先ほどの女聖騎士との話を報告した。


「いいんじゃないか? うちの屋敷だけが立派というのも町に不釣り合いだしな。自警団……いや、衛兵にも立派な本拠地を作ろう」

「それで、話し合いの場は何時開きますか?」

「その内な。だが、本拠地の建設自体は俺が団長とで直接話して水面下で進めておく。その裏でドワーフたちにダンジョンの裏口を作らせなきゃいけないからな」

「裏口……と言うのは?」

「衛兵が入口を四六時中監視していたら、ドワーフたちが安心して出入りできないだろ」


裏口が完成するまでの時間稼ぎとカモフラージュか。

表向き聖騎士の要請を肯定的に受け取りつつ、主導権はこっちで握って対策とは恐れ入る。


「それにしても、他所の町から来た冒険者なあ……嘘ではないと思うんだが警戒した方がいいかもな」

「どうしてですか? ダンジョンがある他の町の情報を知る貴重な手段なのに」

「冒険者がダンジョンのある町同士の間で移動する理由、考えた事はあるか?」


そんなの、うちの町の方がいいとか噂を聞いて……。

いや、他所の町の噂なんてそうそう入ってこないな。

となると、答えは──。


「何かしらの事情で、元の町に居られなくなった。ですか?」

「まあ、そういう事だ。そんなに心配する様な事情じゃないかもしれないが、一応……な」


警戒するに越した事はないか。


「元の町に居られなくなったで思い出したが、例の女聖騎士も多分そうだな」


──は?

女聖騎士が来る前後はあんなに大騒ぎしていたのに、今更何言ってんだ!?


「当初は聖騎士団に目を付けられたのかと無茶苦茶警戒していたが、ここまで何も無いとなるとなあ。あの女聖騎士、何かやらかして中央からここに左遷されたんじゃないのか?」

「単に、聖騎士団がダンジョンの有用性に気付いたという可能性は?」

「ないな。仮にそうならまず中央の御役人が来るはずだ」


そうなのか?

言われてみれば、稀に中央から来た役人が視察だけして帰る事はあっても、常駐なんて事はないなあ。


「疑問なのですが、何故中央から役人が派遣されないのでしょうか? うちにはダンジョンがあるのに」

「そんなの単純だ。ここが辺境の地で誰も中央から行きたがらない。それだけの事よ」

「そういうものなのですか?」

「ダンジョンが出現した町の町長も、最初こそ中央に集められて報告会とかをやっていたが、結局はダンジョンに出入りする冒険者をギルドに登録する事が決まっただけで、それっきりだからな」


中央もダンジョンから取れる武器防具の数々には興味はあっても、ダンジョンそのものには興味は無いというわけか。

最近こそ魔王の娘の頑張りでダンジョン近くの街が以前にも増して栄えてきたものの、基本は田舎町だからな。

仕方が無いし、だからこそ目を付けられずに今まで活動できたわけだ。


「そうなると、ある意味で用済みとも言える女聖騎士は、うちから追い出すのですか?」

「馬鹿を言うでない。腐っても聖騎士様だ。聖騎士様を蔑ろにしたり、ましてや追い出すなんてしたら、うちどころか町の名折れだ」


真偽はどうあれ、またもや命拾いしたなあ、女聖騎士。

だが、今までの控え目な態度といい、この前のダンジョン探索で底が知れた事といい、左遷が本当なら辻褄が合う。

今度会った時にでも、さりげなく探りを入れてみるか。

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