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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第五章:武器の調査

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武器の調査 その4

魔王の娘に付いて行った先はダンジョンの入口だった。

ドワーフのいる場所には、確か以前にも父上に連れて行ってもらったはずなのだが。

──肝心の行き方を覚えていないな。


「ここから行くから、手をつなぐよ」


魔王の娘はそう言って俺の手を引いた。

さっきの口付けのせいで、手を握られた事を地味に意識してしまう。

なんだが気恥しい。


「ここを抜けるから」


と、魔王の娘が言ったかと思うと、いきなり壁をすり抜けていった。

そして、俺も驚く間も無く手を引かれ、眼前に壁が近づいてくる。


「うわッ!」


思わず目を瞑ったが、体が壁に叩きつけられた感覚は無い。

恐る恐る目を開けると、そこは一本の通路になっていた。


「驚いた? ここ、ダンジョンの管理者用通路なんだよ」

「初めて見た……」

「出入りする時は、さっきみたいに私と一緒じゃなきゃ駄目だから注意してね」


ああ、だから俺の手を掴んで引いたのか。

壁をすり抜けたのも魔法の一種なんだろうが、見た事の無いものだ。

だが、魔界と人間界をつなぐゲートを出す魔法が使える魔族にとっては、大したものではないのだろう。


「通路を進んだ先に階段があって、そこを降りたところにドワーフさんたちが集まっている施設があるの」


そう言って、魔王の娘は先へと進む。

何故か手を握ったままなので、俺も半分引っ張られるに近い形で歩み始める。

まだ、手を握ったままではないと駄目なんだろうか?


「こうやって二人で歩いていると、なんだかデートしているみたい」


こんな、薄暗いダンジョンの中でデートかよ。

いや、人間の世界ならともかく、魔族の世界ならこういう景色も案外普通なのかもしれない。


「ああ。まあ、その、手をつないでいるせい……かもな」

「そうそう、手をつないで歩くのも悪くないよね」


そう言って、魔王の娘は上機嫌でいる。

ご機嫌なのは何よりだが……。


「ところで、この手は何時放したらいいんだ? もしかして、この中にいる間はずっとなのか?」

「えっ!? 出入口の壁を抜ける時だけでいいけど……って、ごめん。手を放すの忘れてた!!」


そう言って、魔王の娘は握っていた俺の手を慌てて解放した。

そして、何だか恥ずかしそうにしている。

……忘れていただけかよ。


「か、階段を下りた先がドワーフさんたちの居場所だからね」

「それはさっき聞いたぞ」


ちょっとだけ気まずい空気になりつつ、歩くこと数分。

魔王の娘の言った通りに降りの階段があった。


魔王の娘と俺は階段を降りた。

そして、降りた先には大扉が見える。


扉を魔王の娘が開けると、そこは広間になっていた。

そして、忙しく歩き回る小人たちの姿が見え、数十人は居る感じだ。


「やっほー! こんにちは」


魔王の娘が小人たちに声をかけると、代表者らしい何人かがこちらへとやって来た。

その姿は二頭身……いや、一頭身に近い感じの背丈と顔の大きさのバランス。

男も女も髭面でシワのある老人に近い感じの厳つい風貌で、いかにも威厳がありそうな顔をしている。


「これはこれは、お嬢。今日は何の用件で?」

「この前話したエルフの武器の事で、分かった事があるから報告に来たよ」

「ところで、そっちの人間は?」

「地上の町の町長の息子さんだよ。このアイスくんが調べてくれたんだ」

「ああ、あの町長殿の息子か」


小人ことドワーフたちが俺の事をジロジロと見ている。

もしかしたら以前に会った事があるのかもしれないが、ドワーフたちの外見の区別がつかないのでよく分からない。

しかし、こう珍獣の様に観察されるのは、あまり気分が良くないな。


「もうっ。こんな怖い外見しているから、アイスくん怯えてるじゃん」

「いや、そんなこと無いし。それに、外見についてそういう言い方は失礼じゃあ?」

「あっ、もしかしてアイスくん見た事無いのかな?」


魔王の娘は、いきなりドワーフたちの頭上の髪の毛を……いや、頭の皮を掴んで持ち上げる。

すると、当然ながら頭から体ごと持ち上がる……のではなく、頭の皮だけがすっぽりと抜けてしまう。

そして、中から三頭身くらいの子供が出てきた。


「あっ、こらっ! 何するんだ!?」

「えへへっ。ドワーフさんたちこんなに可愛いのに、普段はこんな被り物しているんだよ」


あの厳つい顔だと思っていたのはマスクと言うか、小さな全身を覆う着ぐるみみたいなものだったのか。

そして、その正体が子供の様な外見の小人だとは。

何と言うか、ギャップもあって無茶苦茶可愛い事だけは確かだ。


「もうっ。こんな外見だから、エルフや人間から馬鹿にされない様にあれを着ているのに、台無しじゃないか」

「えーっ、こっちの方が可愛いのに……」


成る程、噂に聞く「ドワーフは女でも髭が生えていて厳つい」と言うのはこういう事だったのか。

この可愛らしい外見を隠すための仮装。

まったく、それに気づかず人間は見事に騙されていたわけだ。


「それで、そこの兄ちゃん……いや、町長の息子の坊ちゃんがエルフの武器について話してくれると」

「私から話してもいいけど、そっちの方が手っ取り早いか。アイスくん、お願い」


ただ見学するだけって訳にもいかないか。

だが、いい機会だからドワーフたちと会話するのも悪くない。


俺は、女聖騎士から聞き出したエルフや聖騎士の事、そして武器の事についてドワーフたちに話をする事にした。


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