武器の調査 その3
女聖騎士からエルフや聖騎士の事について色々と聞いた次の日。
俺は、成果を魔王の娘に報告する事にした。
「へえー。通りで私が血眼になってもエルフの武器が見つからないはず」
「まさか、魔法で変化させなきゃ使い物にならない代物とはな。仮に只の木の剣が売っていたとしても、まさかそれがエルフの武器だとは思わないだろうし」
「エルフの武器が絶対に流通しない事が分かって安心はできたけど、そのおかげで人間で敵になるのは聖騎士団だけって絞れちゃったね」
聖騎士団だけが敵……?
奴らだけがエルフの魔法を使えるからか?
何か引っかかるし、一応聞いてみるか。
「聖騎士団が敵なのは分かったが、敵が絞れるってのはどういう事だ?」
「どういう事って、そんなの他の人間がダンジョン産の武器を使うからに決まっているじゃない」
そう言われればそうか。
聖騎士団以外はダンジョンから出るドワーフの武器に頼らざるを得ないからな。
ダンジョンを敵視するものがいるとすれば、それを必要としない聖騎士団しかいないという訳だ。
「まあ、だからと言って私が今すぐ聖騎士団を滅ぼしに行くって事はないんだけどね。お父様やドワーフたちと今後の事は要相談って事で、今のところはいいのかな?」
「……物騒な事にならないならいいよ、もう」
つまり、魔王の機嫌によってはそういう展開もあり得るって事か。
魔界が人間界に宣戦布告なんて事になると……ダンジョン経営とかやっている場合じゃなくなるな。
できれば勘弁願いたい。
「これから、お父様に報告したり、ドワーフさんたちを安心させたりしなきゃだけど、まずはアイスくんへのご褒美かな?」
「──は?」
「ご褒美、欲しいでしょ?」
「えっ……いや、別にそういうのを目当てにしていたわけじゃないんだが」
「良い働きにはそれなりの褒美を出すってのが魔王流なの!」
面倒な性格しているなあ。
「わかったわかった。それで、何かくれるのか?」
「何がいい?」
「何がいいって言われても、急には……」
魔王の娘が用意してくれそうなもので欲しいものと言われてもなあ。
急にじゃなくても中々難しい選択だ。
「やっぱり男の人って、こういう時はエッチな事、して欲しいの……?」
こいつ、突然何を言い出すんだ……?
確かに、見た目は可愛いし胸は大きいしで魅力的だけどさあ……。
所詮は魔王の娘だし仕事だけの関係に過ぎない。
故に、今までそんな事を意識した事なんてないし、これからだって……。
いかん!
考えたらそんな気はまったく無かったのに意識しそうになってしまう!
落ち着け、俺!!
「俺とエイラムさんは仕事の関係だ。そんな事しないよ」
「いいんだよ? 恥ずかしがらなくても、私たち政略結婚する関係なんだし」
その話、まだ生きていたのか。
すっかり忘れていたぞ。
「いや、本当にそんなつもりは」
何とか平静を保って俺は魔王の娘に答える。
少しだけ意識しそうになったが、バレていないだろうか?
「じょ、冗談だよ。も、もうっ! 少しは意識してくれないと私の方が恥ずかしいじゃない」
「そう言われてもなあ」
バレていなくてホッとしたが──本当に面倒だな魔王の娘。
「もしかして、女の子には興味ないの……?」
「そんな事は無い。俺はただ……んッ!」
俺はただ、仕事に恋愛は持ち出さない主義だ。
そう言いかけたところで突然、魔王の娘が自身の唇で俺の唇を塞ぐ。
いきなりの事で、俺は動けなかった。
思わず突き放す事もできずに俺が硬直する最中、魔王の娘は舌を俺の口の中に入れてきた。
そして、俺の口の中で互いの舌が絡み合い、とろける様な甘い気持ちに襲われる。
「……んはッ!」
ようやく魔王の娘の唇から解放される。
半ば夢見心地だったので、長い時間だったのか、それとも一瞬だったのか、正直よく分からない。
「こ、これでアイスくんも、す、少しは女の子に興味出てきたでしょ?」
「い、いきなり何を!?」
「ご、ご褒美だから、気にせず受け取りなさい!」
受け取るもの何も強引に押し付けられたんだが。
物理的に。
「さてと、アイスくんにご褒美も渡したし、これからドワーフさんたちにもお話ししなきゃ」
「出かけるのか?」
「ダンジョンの裏口に回ってドワーフさんたちに会いに行くだけだから、そんなに遠出じゃないよ」
そういや、ドワーフたちはダンジョンの整備全般もやっているんだったな。
意外と近くにいるはずなのに見る機会がないから、ついつい遠くの存在だと錯覚してしまう。
「そうだ! 折角だから、アイスくんも一緒に行こうよ」
「そうだな。俺も町長の息子として、ドワーフにはちゃんと会っておいた方がいいだろうし」
「そうでしょ? そうでしょ?」
ダンジョンがある町の町長の息子として、そのダンジョンを管理しているドワーフに会った方がいいのは確かだ、
だが、それ以上に魔王の娘との会話で度々登場するドワーフにちゃんと会ってみたい。
できるならば話も聞いてみたいと思った。
「それじゃあ、ダンジョン裏のドワーフさんたちの拠点までレッツゴー!」
何処となく上機嫌の魔王の娘に付いて、俺はドワーフのいるところまで行く事となった。




