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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第五章:武器の調査

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武器の調査 その2

魔王の娘に女聖騎士を取り込めと言われた日の夜。

俺は、女聖騎士を訪ねてエルフについて詳しい話を聞いてみようと思った。


実際のところ、取り込むどころか仲良くなる事ですらこの前のダンジョン探索で危ういからなあ。

もしかすると、俺が勝手に気まずくなっているだけかもしれない。

だが、向こうが悪いとは言え、あの時は少しばかりキツく当たってしまったのも事実。


仲直りって訳でもないが、二人で話をして何か進展があればと淡い気持ちでの行動だ。


「どうぞ、開いていますよ」


俺が部屋の扉をノックすると、何時も通りに女聖騎士は俺を部屋に招き入れてくれた。

この時間の彼女は、やはり読書に勤しんでいる。


「ライト様、少しお話がしたいのですが、よろしいですか?」

「どうしたのですか、改まって?」


しまった、緊張が現れてしまったか!?

やましい事が一応あるとは言え、もっと落ち着かないと。


「いえ、そんな大した事ではないのです。ただ、エルフについてのお話が聞きたいなと思いまして」

「私に……ですか?」

「はい、私の周りにエルフについて知っている方が他にいないので、聖騎士様ならば色々とお知りになっているのではないかと」

「それは構いませんが、突然どうして……?」


いかん、怪しまれてしまった!

会話のきっかけになれば一石二鳥と軽く考えていたのに裏目にでてしまうとは。

だが、下手に誤魔化すと傷を広げてしまうかもしれない。


「いえ、この前ライト様に見せてもらった武器があまりにかっこよかったので、それで個人的にエルフへの興味が湧いちゃいまして」

「えっ……!? うふっ、うふふふふふっ!」


な、何か軽く笑われたぞ。

少なくとも悪い方向ではないと思うが、大丈夫か!?


「し、失礼。剣がかっこいいとか、アイス殿も男の子なんだなあって思うと、ふふっ」


よ、よかった。上手く誤魔化せたようだ。

──嘘ではないからな。


「それで、エルフについて聞きたいのでしたね。武器の事を話せばいいでしょか?」

「お聞かせくれるならば、是非」

「そうですね、エルフの武器は基本的に森の樹から作られています。私の使っている剣もそうです。ですが、このままだと威力も強度も低いです」

「この前、ライト様が見せてくれた時は何やら変形していましたが」

「そうなのです。実はこの木製の武器にエルフの魔法をかける事で、金属にも負けない威力と強度を出せるようになります」


成る程。

魔王の娘がエルフの武器を武器屋に探させても見つからないはずだ。

実戦に耐えうる形での物が現存しないのだから。


「アイス殿には残念なのですが、エルフの魔法をかけなければ扱えない代物なので、普通の人間には使えないのです」

「そうですか。すると、聖騎士団の方々はエルフの魔法が使えると」

「勿論です。それが、聖騎士になるための最低限かつ必須の条件ですから」


これは初耳だ。

実質、人間でエルフの武器が使えるのは聖騎士だけというわけか。

誰でも扱えるドワーフの武器とは全然違うな。


「成る程、聖騎士になれるだけで凄い事なのですね。勿論、ライト様も」

「……全然凄くないです!」


明らかに機嫌を損ねた感じで強く否定されてしまった!

俺としては褒めたつもりだったのだが、何か地雷を踏んでしまったのか!?


──思い返せばダンジョン探索の時ですら、こんなに女聖騎士が機嫌を悪くする事はなかった。

もしかすると、よっぽどの事をしてしまったのかもしれない。

とりあえず、謝らなければ。


「も、申し訳ございません。私が何か御気を悪くすることを言ってしまったのならば謝ります」

「ご、ごめんなさいッ! アイス殿がそんなつもりで言ったのではないと分かっているのに、私……」


な、何か謝り返されてしまったぞ。


「私も好きでエルフの魔法が使える様になったわけではないんです。偶然、私に才能があっただけで。才能が無くて聖騎士になれなかった方々もいますので、決して悪くは言えないのですが……」

「それならば、やはり凄い事なのでは?」

「それは分かっています。ですが、それで褒められるのは嫌です。私はただ、当たり前の事をしているだけなのですから」


ただ褒めればいいというものではないのか。

闇雲に褒めても喜ぶ人間もいれば、目の前の女聖騎士の様に返って傷ついてしまう人間もいる。

この事実に気付かなかった俺のミスだ。


「ですが、アイス殿の御好意は伝わります。この町に来てから私、アイス殿には優しくしてもらってばかりです。それなのに、私ったら……」


女聖騎士は、若干涙目ながら、しかし同時に恥ずかしそうにしている。

俺に対して思わず怒ってしまった自己嫌悪と、素直に感謝と好意を伝えようとする羞恥心が入り混じった感じだ。


「いいのです。私もライト様に嫌われていないと分かり、安心しました」

「よかった……。私、アイス殿に嫌われてしまったらどうしようかと……」


嫌われてはいない。

むしろ、気づかない内に俺に対する女聖騎士の好感度ってそんなに上がっていたのか!?


優しくしてもらってばかり……か。

確かに女聖騎士がこの町に来た直後から俺が至れり尽くせりで世話をしてきたが。

それが思った以上に効果があったようだ。


流れとは言え、女聖騎士に衣食住を提供したのも俺なのだな一応。

それもあって、彼女にとって俺は無くてはならない存在にまでなっているわけか。


とりあえず、女聖騎士の俺に対する好感度の問題は解決してしまった。

これを上手くこちら側へと引き入れるまでに昇華させたいが、どうしたものやら。


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