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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第四章:聖騎士のダンジョン視察

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聖騎士のダンジョン視察 その3

女聖騎士は何とか俺たちに向かったモンスターを対処しようとするが、向こうの数が多過ぎて無理そうだ。

歯痒いと言わんばかりの表情をしている女聖騎士には悪いが、降りかかる火の粉は払わねばならない。


「てぃやッ!」


俺は向かって来たモンスターを一体切り殺す。

残りも対処しようかと思ったが、既に魔王の娘が片付けていた。


「わたくしに向かってくるなんて身の程知らずもいいとこですわ!」


見ると、彼女の周りにはズタボロになったモンスターの死骸が転がっていた

何時の間に……と言うか魔王の娘の戦うところを見たかったと思ったが、彼女は剣を抜いた様子すらない。

いったい、どうやって?


「アイスくん、大丈夫?」

「俺は平気だが……どうやって倒したんだ?」

「素手に決まっているじゃない。うっかり剣を抜いちゃわなくてよかったよ、もう」


す、素手!?

確かによく見ると、魔王の娘の拳には若干モンスターの血が付着している気がしないでもない。

流石魔王らしいと言うか、よくわからんが大したものだな。


「どうやら、向こうも片付いたみたい。まったく、私はともかくアイスくんを危険な目に会わせるなんて文句の一つでも言ってやろうかしら?」


モンスターの群れを全滅させた女聖騎士が、こちらに駆け寄って来る。

彼女の表情は、先ほどの勇敢で可憐な戦闘の姿とは異なり、焦りと謝罪の感情が見え隠れしていた。


「ごっ、ごめんなさい。御二人共大丈夫でしたか!?」

「大丈夫に決まっていますわ。これに懲りたら、一人で大見得を切らない事ですのね」

「は、はい! これからは気を付けます」

「分かればよろしい……のですわ」


本人も反省している様だし、これ以上責める必要もないか。

そもそも、女聖騎士を一人で戦わせるのは彼女の技量を測るための策であって、ダンジョンに入った以上は俺もモンスターとは戦う覚悟での事だしな。

ここは、フォローの一つでも入れて女聖騎士との信頼を少しでも高めよう。


「それにしても、あんなに沢山のモンスターを倒してしまうなんて、流石ですライト様」

「しかし、私は……」

「一人でできる事には限度があります。だからこそ聖騎士様も騎士団として組織されていますし、ライト様も自警団の皆様と協力できる組織作りを行ってみては?」

「そう……ですね。自警団の方々との距離を埋めるのは大変そうですが、やってみます」

「その時は、私が間に入ってサポート致します。町の人と人とを円滑に繋げるのも私の仕事の一つですし」


こんなものだろうか?

魔王の娘には女聖騎士をたぶらかせと言われているが、この程度で上手く行くとは俺も思っていない。

だが、幸か不幸かこの町で孤立している女聖騎士の味方に俺がなれば、少しは関係も進展するかもと今は信じるしかないな。


「まったく、アイスさんは聖騎士様にお優しいのですから。もしかして、彼女に気があるのでしょうか?」

「ちょ、ちょっと冗談はよしてください。あくまで町のためであって、そんな下心は微塵もありません」


こんな事を言わせるなんて、魔王の娘も人が悪いなあ。

いや、魔王側だから悪で当然なのか?


「そうなのですか、アイス殿? わ、私は別に下心……いえ、好意を持ってくれた上での事でも嬉しかったのですが」


頬を軽く赤らめさせて、恥ずかしそうに女聖騎士はそう答える。

畜生、まんざらでもないって顔しやがって。

だが、魔王の娘の機転のおかげで女聖騎士が俺の事を少しは気に入っているのだとわかり、少し安心した。


「あらあら、アイスさんも照れているだけで、本心は優しさからの行為ですのよ」

「エイラムさん!? こ、これ以上は勘弁してください」


──やっぱり、俺の事をからかいたいだけかな?

少しでも魔王の娘の事を見直したさっきの俺が馬鹿だった。


「とまあ、アイスさんをからかうのはこの辺りにしまして。聖騎士様が御使いになられている武器、凄いじゃないですか。ただの木の剣に見えましたのに突然立派なものに変化したのには、わたくし驚きましたわ」

「私もライト様の使う珍しい武器が気になっていました。これと同じものを自警団の方々に御配りになれば、彼らももっと強くなれると思うのですが、何処で手に入れたのでしょうか?」

「この武器はエルフの祝福を受けた聖剣です。それ故に魔法の力で強力なものになっています。ですが、聖騎士としての修行を積まないとただの木剣ですし、それ以前にエルフに頼まないと手に入れるのも困難かと」


やはり、エルフの武器であったか。

そして、俺の予想通り量産するのは無理そうで安心した。


「成る程、決して武器頼りというわけではなく、ライト様の実力に武器が答えていてより強くなっているのですね」

「はい、そう考えて頂いて大丈夫です。ですが、私はむしろエイラムさんの強さの方が気になりました。まさか、素手でモンスターを倒すなんて」

「えっ!?」


しまった!

魔王の娘が強過ぎて、そっちの方が怪しまれてしまったか!


「わたくしの強さの秘訣でしょうか? ふふふ、ひ・み・つ ですわ」


あちゃー、魔王の娘の奴、強引に話題を切りやがって。

これで上手く流せたのならそれでいいんだが、多分女聖騎士には怪しまれているだろうなあ。


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