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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第三章:メイドカフェと夜魔の娼館

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メイドカフェと夜魔の娼館 その4

魔王の娘に連れられて、昼間にリニューアルした酒場を訪れてから幾日かが経過しただろうか。

所用で件の酒場近くに行く用事があった俺は、ついでに夕食を酒場で食べようかと寄ってみた。


「「いらっしゃいませ」」


俺が入店すると、店内にメイドたちの挨拶が響き渡る。

前来た時と挨拶の内容が違うが、昼と夜で内容を変えたのだろうか?

流石にあれを常時聞くのは何となくむず痒い気がするし、変えて正解だと思う。


「おやおや、これは町長の息子さん。今日は何か御用で?」

「いえ、近くを通りかかったので折角だから何か食べようかと」


俺に話しかけてきたのはこの店の店主だ。

ここ数週間の魔王の娘の件があるから、今日も何かあるのかと足を運んでくれたみたいで、何だか申し訳ない。

だが、折角なのでリニューアルした酒場の様子について店主からの話も聞いてみたい。


「ところで、店主さんから見てリニューアルはどうでしたか? エイラムさんがメイドを連れて来た時は驚いたのでは?」

「いやいや、メイドの彼女たちが来てくれたおかげで単純に働き手が増えたので、私も手が空いて助かっているよ」

「それはよかったです」

「広くなった店内も彼女たちのおかげで切り盛り出来ている。おかげで、新しく二階に建設した宿も上手く行っているよ」


宿か。

魔王の娘のメイドの話にかき消されたのか殆ど聞いた覚えがないが、街の冒険者を増やすなら増設するのは必然。

特に酒場との併設施設とならば利便性もいい。


「ああそうだ。一つ気になっているのだが、本当にうちはメイドに御給金を払わなくていいのかい?」

「……エイラムさんがそう言ったのならば、大丈夫だと思います」

「そうか。何か腑に落ちないが、売り上げが上がった分を町に税金として納める事で成り立っていると解釈しておくよ」


まさか、魔界から連れてきたからとは言えないよな。

だが、それにしても無給で働いているのは少々気になる。

今度、改めて魔王の娘に聞いてみるか。




食事を食べながら店内を見渡すが、広くなったのにもかかわらず人が詰まっている感じから、増築は必然かつ成功だと確認できる。

これなら確かにウェイトレスの数を増やさないと回せないし、6人も投入したのは正解だな。

見ていると3人から4人のメイドが入れ替わり働いているが、時々二階へと客と共に消えているのは宿の部屋にでも案内しているのか?


「すみません、ちょっといいかな?」


俺は、メイドの一人に聞いてみる事にした。


「はい、ご注文でしょうか?」

「ちょっと聞きたいんだが、君たちが時々客を二階に案内しているけど、あれは何処に連れて行っているんだ?」

「あら、二階に御用ですか? たっぷりとサービスしたいところですが、町長の息子さんは駄目ですよ。そんな事をしたら、私がエイラム様に殺されてしまいます」


おい、それってどういう事だ!?

俺に内緒で魔王の娘の奴、何をやっているんだ!!

やばい、これは調べておかないと、俺が油断している間にとんでもない事になっているのかもしれない!




俺は、こっそり二階へと上がってみる事にした。

隙を見て階段を上ると、二階は普通の廊下と扉が並ぶ空間になっており、正に宿の廊下そのもので怪しいところは全くない。

何事も無さそうならばそれでいいかと思ったが、念のため部屋に聞き耳くらいは立ててみるか。


「あっ! あっあっあっ! あーっ! いい! ……ん、あっ……あっ!」

「ハァ……ハァ……いい、ああッ……もっと……」


妙に激しい女の喘ぎ声と、か細い男の喘ぎ声が聞こえるが、酒場が五月蠅いので下の階に音は漏れていない。

おそらく女はメイドで男は客であり、中でやっている事も察しが付くが、問題はそこじゃない。

メイドに扮した人ならざるものが、人間を連れ込んで何かをしている──そこが問題だ。


「あっあっあっ! いく! いくーっ!」

「……ハァ……ウッ! 俺も……」


──部屋の中が静かになった。

部屋の中の男の身が心配だが、中を覗いてみるべきか?

いや、部屋から出て来るぞ! どこかに隠れなければ。


「ごちそうさま、また来てくださいね」


部屋の扉が開き、中から客の男だけか出てきたようだ。

俺はとっさに扉の裏に隠れたので、幸い部屋の中のメイドには気付かれていない。

部屋から出てきた男は一見大丈夫そうだが何処かふらついた感じで、俺に気付く様子もなく下の階に降りて行った。


メイドが部屋から出てくる前に下の酒場に戻った方がいいな。

客の男の無事も確認できたので、俺は気付かれない様に階段を下り、何食わぬ顔で酒場に戻った。




上の階で行われている事とは別に、下の階の酒場は相変わらず賑わっていた。

人間が喰われているとかおぞましい事が起こっていなかったのは幸いだが、俺に黙ってあんな事をやっていたのが解せない。


酒場の上の階を売春宿にするとは聞いていないぞ。

メイドに給金が要らないとはこういう事かよ。


これは、屋敷に帰ったら魔王の娘を問い詰めて、詳しい話を聞かなきゃだな。


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