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悪役令嬢な魔王の娘と優等生生娘な女聖騎士の板挟みになり、町長の息子の気苦労が絶えません  作者: ヘラジカ
第三章:メイドカフェと夜魔の娼館

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メイドカフェと夜魔の娼館 その2

結局、魔界に帰った魔王の娘は、その日は帰らなかった。

そのまま戻って来なければどんなに平和だろうかと思ったが、多分戻って来るだろうなあ。

そんな次の日の朝である。


「アイス殿、おはようございます。そういえば、昨日の夜はエイラムさんをお見掛けしませんでしたが、何かあったのですか?」

「エイラムさんなら、急用とやらで今はお出かけになられています。いえ、そんな大事には至らないと思いますし、早ければ今日にでも帰ってくるのではないでしょうか?」

「そうでしたか。近頃、エイラムさんが酒場の改装工事とかを頑張っていて、色々と忙しそうにしていらっしゃいましたから、過労で倒れたりしたのではないかと心配していたのですが、お元気そうなら何よりです」


ば、バレてるーー!


「町の皆さんもエイラムさんの事を褒めていましたよ。彼女が来てから町が少しずつ良くなってきたと。今度の酒場の改装も、予算について町長殿にかけあったりとかで、きっといいものになると期待されています」

「そ、そうなのですか?」

「はい。彼女の明るく誰とでも気さくに話す性格も相まって、皆から慕われているみたいです。私も見習わなくてはと思うのですが、中々上手くは……」


女聖騎士は、魔王の娘の一連の行為を好意的に受け取っているのか。

いや、元よりダンジョン近くの街を発展させる彼女の行為そのものは正しいはずで、怪しまれる等と考えるのは杞憂だったようだな。

しかし、魔王の娘を見習う云々と言うのは……?


「もしかして、町の人と上手くやっていけていないのですか?」

「いえ、決してそのような事はない……と思います。町の方々は良くしてくださいますし。ですが、私もエイラムさんみたいに親しみを持たれるようになれれば、もっと町の役に立てるのではないかと、どうしても考えてしまいます」


成る程なあ。

確かに魔王の娘には別の意味で俺は驚かせられたが、あのコミュ力は素直に凄い。

だが、別に皆があんな感じである必要もないと思う。


「エイラムさんは商人みたいな存在ですからねえ、あの人はああやって愛嬌を振りまいて皆から慕われるのが仕事みたいなものです。ですが、ライト様は聖騎士です。聖騎士ならば、日々の巡回で町の人々に安心を与えて慕われるのが仕事ではないでしょうか?」

「はっ、はい!」

「人にはそれぞれ役割があります。ですから、ライト様もまずは聖騎士としての役割を全うしてみて、それでも駄目ならもう一度考えてみるのでも遅くはないのではないでしょうか?」

「た、確かにそうです。考えて立ち止まっても仕方がないし、私も前に進まないと」


こ、これで良かったんだろうか?

何か適当に上手い事言ってみたつもりだけど、女聖騎士の方は何か解決したみたいだし。


「アイス殿、ありがとうございます。もう少し、ここで頑張ってみる元気が出ました」


そう言って、女聖騎士は一礼した後そそくさと行ってしまった。

しかし、さっきは我ながら偉そうな事を言ってしまったなあ。

俺も自分の役割、魔王の娘の世話を頑張らないとな。






それから昼になり、女聖騎士も町の巡回に出かけた頃だろうか。

あいつが、魔王の娘が戻って来たのだ。


「ヤッホー! アイスくん、たっだいまー」

「お、お早いお帰りで……」


魔王の娘は、自分の部屋にでも魔法のゲートを出現させたのだろうか?

何時の間にか屋敷内に戻った彼女は、ノックもせずに俺の部屋に入って来た。


「ねえねえ、アイスくん聞いて! お父様に相談したらね、快く協力してくれたの」

「と言う事は……メイドは……」

「勿論、見つかったよ! それで、今さっきメイド服に着替えさせたから、アイスくんも見に来てよ!」


そう言って、魔王の娘は俺の手を引っ張って自分の部屋へと導いていく。

何か得体の知れないものだったらどうしようかと不安を抱きながら、俺は恐る恐る魔王の娘の部屋の扉を開ける。

すると中には俺に一礼するうちのメイドが一人、そしてメイド服を着た見知らぬ女性六人の姿がそこにはあった。


「じゃじゃーん! どう? どう? いいでしょ? メイドさんだよ?」


魔王の娘の連れてきたメイドは、一般的な成人女性と見た目は変わらない。

特徴があるとすれば、髪型が違う等の細かい差異はあるものの、全員が黒髪と赤い瞳で構成されている事くらいか。

何となく色っぽい感じがするのが気になるが、それ以外は怪物であるとかそういった事はなくて安心した。


「見た目は完璧でしょ? でも、彼女たちにはメイドの経験がないから、しばらくは御屋敷でメイドさんの手伝いをしながら修行して、それから酒場に出る感じかな?」

「それはわかったが、急に半ダースもメイドを連れてきて何処に住まわせるんだ? 流石に部屋が足りないぞ」

「そ、それは多分大丈夫だよ。このメイドさんたち休む時は見た目より小さくなれるから、屋根裏部屋で十分だって」


今、地味に重要な事を言われた気がしたが、当たり前だけど正体は人間じゃないんだろうな。

だが、しばらくは屋敷内で修行するそうなので、その期間内が大丈夫なら外で問題を起こす事もないだろう。


「それじゃあ、アイスくんの許諾も取れた事だし。彼女たちをよろしくね、メイドさん」

「はい、任せてください。彼女たちを立派なメイドに育ててみせます」


うちのメイドたちも持ち回りとは言え、六人の面倒を見るわけか。

俺も、魔王の娘と女聖騎士の二人の面倒で大変とか言ってられないな。


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