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目を覚ますたび、世界の次元が一つ増えていた。7日目、僕は「現実」の正体を知った。  作者: 不可思議ラボ


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2/7

第2話 僕の中に、知らない人間がいた

「君の中にいる

もう一人の人間は誰?」

目の前の男が

僕の腹を指さしていた。

反射的に

そこへ手を当てる。

だが、何もない。

痛みもない。

「何を言ってるんだ」

男は答えなかった。

ただ、不思議そうに

僕の体を見ている。

いや。

僕の「中」を

見ている。

昨日までいた世界には

前と後ろしかなかった。

だが今は違う。

左右がある。

地面には幅がある。

建物にも形がある。

世界は巨大な紙の上に

描かれた絵のようだった。

高さだけがない。

僕も同じだった。

腕も足も顔も

すべて薄い。

横から見れば

一本の線にしか

見えないはずだ。

そして、この世界では

体の中まで隠せない。

皮膚の奥にあるものが

すべて見えている。

心臓。

肺。

血管。

骨。

まるで人体模型を

平面に押し潰したように

僕の内側が露出していた。

気持ち悪くなって

目をそらす。

だが男は

まだ僕の腹を見ていた。

「そこ」

「何がいる?」

「人間」

冗談には聞こえなかった。

僕は自分の腹を見る。

最初は

何も分からなかった。

臓器の隙間。

黒い影。

ただの影だと思った。

その影が

動いた。

「……え?」

影の中から

小さな顔が現れた。

人間の顔だった。

僕と同じくらいの

年齢に見える男。

知らない顔。

そいつは

僕の体の中から

こちらを見ていた。

思わず後ずさる。

「誰だ」

声を出した瞬間

腹の中の男も

口を動かした。

だが声は聞こえない。

男は何かを

必死に伝えようとしている。

僕は顔を近づけた。

唇の動きを読む。

三文字。

たぶん――

「に・げ・ろ」

逃げろ。

次の瞬間

スマートフォンが震えた。

画面が勝手に点灯する。

DAY 2

DIMENSION:2

その下に

新しい文章が表示された。

「観測対象を確認しました」

観測対象?

さらに文字が続く。

「内部個体の発見を確認」

内部個体。

それはどう考えても

僕の中にいる男のことだ。

「待て」

「こいつは誰なんだ」

画面に問いかけても

返事はない。

代わりに

数字が表示された。

00:59

00:58

00:57

カウントダウン。

嫌な予感がした。

「これがゼロになったら

どうなる?」

目の前の男に聞く。

男の顔から

表情が消えていた。

周囲を見る。

さっきまで道を歩いていた

この世界の住人たちも

全員止まっている。

そして全員が

僕を見ていた。

いや。

僕ではない。

僕の中を見ている。

「見つかった」

男がつぶやいた。

「何に?」

「外側に」

心臓が跳ねた。

昨日の世界で

僕が答えた言葉。

この世界に存在しないもの。

「外側」

その言葉が

なぜここでも出てくる?

スマートフォンを見る。

00:31

腹の中の男が

激しく何かを訴えている。

今度は読めた。

「そいつを信じるな」

そいつ?

誰のことだ。

目の前の男か。

この世界の住人か。

それとも――

スマートフォンか。

00:15

画面に

新しい質問が現れた。

「内部個体を

削除しますか?」

下には二つの選択肢。

YES

NO

「削除?」

腹の中の男が

首を横に振る。

必死だった。

だが目の前の男は言った。

「消した方がいい」

「なぜ?」

「そいつは

君じゃないから」

00:09

僕はNOを押そうとした。

その瞬間

腹の中の男が

突然こちらへ

手を伸ばした。

平面の僕の体の中から

あり得ない方向へ。

こちら側へ。

いや。

「外側」へ。

指先が

僕の腹から飛び出した。

世界が揺れた。

周囲の建物が

紙のように折れ曲がる。

住人たちが

一斉に叫んだ。

「三次元だ!」

00:03

腹の中の男の腕が

僕の体から伸びている。

僕には分かった。

この男は

僕の中にいるんじゃない。

僕たちが

この男のいる世界を

正しく見られていないだけだ。

00:02

00:01

僕はNOを押した。

画面が真っ白になる。

「内部個体の削除を拒否」

「観測エラー」

「次元境界が破損しました」

足元に

黒い裂け目が走った。

その瞬間

腹の中の男の声が

初めて聞こえた。

「やっと聞こえた」

その声を聞いて

僕は凍りついた。

知らない男の顔。

知らない男の体。

なのに、その声だけは

知っていた。

僕自身の声だった。

世界が崩れる。

スマートフォンに

最後の文字が浮かぶ。

DAY 3

DIMENSION:3

そして、その下に

昨日までなかった

一行が追加された。

「ORIGINAL:2」

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