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stardust fantasy  作者: そうしょう
6 心 ~双子、幻、炎~
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伸ばした手は、届かなかった。


ぱしゃり、と最後に音を立ててソレは消えた。

≪力≫の名残の沼がただ地面に浸かっている。その中心で、少女は地面を見詰めて震えている。

捻子は自分の指先を見詰め、それから握りしめた。

………わかっています。

踵を返した足は、今笛に抱えられている少女の元へ。

今笛は彼女から離れると、少女はぼんやりとした表情で、捻子を見上げた。

「……遅くなって、すみません」

「…………」

「……ごめんなさい、俺は思い出すことはできませんでした。貴方の望みも、わかりません」

だからどうか。

捻子は薙刀を握りしめる。届かなかった指先で、薙刀を掴む。

その薙刀から―――炎が灯った。

「……わたしはね、まもりたかったんだよぉ」

少女は笑う。

「だいすきなおにいちゃんを」

丹色が息を呑む。

「……だいすきなひとを、だいきらいなひとから、いじめるひとから、まもりたかったの」

「強く、優しい、…いい子ですね」

捻子は微笑んで、炎を強くした。

――≪神聖な炎≫が、灯っていく。

「もう、だいじょーぶ?」

少女が、…意思を持って、問いかけを投げた。その言葉に、捻子は瞬きをして――寂し笑いを浮かべる。はい、と確かに頷く。


「志糸!」


ぱんっ、と音を立てて傘が開いた。

後ろから今笛に掴まれながら、光彩は――炎に、彼女にギリギリまで近づいて、叫ぶ。

「おれは、…お前を、まもれなかった」

「おにいちゃん」

「………なぁ、今度はさ、…今度もさ、…おれたちのとこに、きてくれるか」

それはどこまでも、優しい問い。

少女は―――忌み子ではない。双子の妹の、影時志糸は、微笑む。

「おにいちゃん」


愛おしく、優しく少女は囁く。


かつて、忌み子と言われた少女がいた。

そこに忌み子は居なかった。


炎が昇り、どこまでも、高く高く昇り詰める。

何も感じなかった。惹かれる想いなど、今笛はため息をこぼす。むしろあんな炎から逃げたいぐらいだ。それが伝わったのか伝わっていないのか、風波は今笛に背中を預けた。

確かに綺麗だけれど。

「…あんな炎に抱かれて死ぬのァごめんだな」

「ほんとね」

今笛の後ろで、泣き寝入ったように目を瞑った稟斗の頭を撫でて風波は応える。

もう掴まえておく必要はなさそうだと今笛は光彩から手を離した。光彩は――光彩と丹色は、炎に包まれた妹を見詰め続ける。

最後まで、目に焼き付けるために。

薙刀を持つ指が震えていた――それに手を伸ばして、紀磨は苦笑する。

「かっこつかないわね、あんた」

「……もっとかっこつかないこと言ってもいいですか」

何よ。

「……悔しい」

たった四文字。

されど、何よりも詰まったその言葉への想いに。

そうね、と紀磨は頷き、寄り添うしかできなかった。


炎が高く昇っていく。

その炎は、確かに美しいものだった。

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