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わたし、は。
わたしとは――個を担う言葉だ。その言葉を使用してもいいか、否か。…やめよう、無意味な問いかけだ。わたしは、どうしてこの世に産まれたのか。
とても意味がなく、つまらないことを忘れているが、しかし大切なことだったはずなのだ。
自分がこの世に、産まれた意味。
――いつからだったか、忌み子とつけられたのは。
おはようございます、×××。
優しい優しい声がする。
わたしは、そうして、目を覚ました。
わたしの願いは何だっけ。
わたしは何のために、何を求めたのだっけ。
…わからないよ、わすれてしまったの。
それでもあの人がほしいんだ。
あの人がいないと、おもいだしてくれないと、わたしたちはおわれないんだ。
――って、あのひとが、言っていた。
あれ、
…あのひとって、だれだっけ。
わたしはだぁれ?
ああ、
あああああああああああああああああああああああああああああああ、あああああああああああああああ、、、、あああああ!!!!!
わたしはだれ、どうしてわすれてしまったの、わたしは、わたしはわたしはわたしはわたしは?!!!!
わからないよ、ねぇ、わたしは、だれかをまもるために、だれかって、だれ?
おにいちゃん、おにいちゃんをまもらなきゃ。
ねぇおにいちゃん、真っ赤な炎がもえてるよ。…あれ、おにいちゃん、おにいちゃん、だいじょうぶ、わたしがおにいちゃんののぞみをかなえてあげる。
だからだいじょうぶ、おにいちゃん、わたしはだいじょうぶ。
でも、ねぇ。なにが、大丈夫なのかなぁ…。
さぁさ、さぁさとてをだして。
そろそろおめざめのじかんだよ。
だから、わたしは目を開く。
ようやく、おもいだしてきた。
わたしは理由を持って産まれたと。わたしが約束をしたのは。
ごめんなさいとあやまってもいいのだろうか。あなたはわたしにおこるだろうか。ゆるしてくれるだろうか。それでもね、あなたはわたしのたいせつなあのひとによくにているの。
がんばったね、って、いっつもいつもほめてくれるのよ?
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あなたとおなじほのおをもって、わたしをてらしてくれるのよ。
×××
ぽちゃん。
水面に雫が垂れて波紋を呼ぶ。その様子をただぼんやりと見下ろしながら、くつくつとソレは笑む。
真っ暗な周囲の中、ぽつりとソレはそこにいた。
とても長い間、ソレはそこにいた。…決して短くはない眠りだった。まどろみの中、ソレは見詰めていた。
雫が垂れだしたのは、いつの頃だったか。
その音に惹かれ、波紋に導かれて、ソレは意識を持ちだした。
「「とき、すでに、おそ、し?」」
たどたどしく紡がれた言葉に、ソレは自分で言って自分で笑う。何が面白いのか、ソレさえわかっていないだろうが、ソレは笑う。
「「こん、か、…い、……はぁ、めずらしく?みす、し、……たねぇ…」」
闇の中で哄笑が響く。
笑い転げる、まだまどろみの中に寝そべるソレの姿を―――どこか寂しそうな瞳で、誰かは見詰めていた。




