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ハイテンション・ノート 〜詰みベーシスト、音楽ガチ勢リーマンに拾われる。〜  作者: 橘 いゆ璃


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21.おまえ、ぬくいな

「今年の目標は、まずフォロワーを増やすこと、そのために動画投稿とライブを頑張っていきたいなー。あとはサポートの新規案件が取れるように、発信とか日頃のサポートを頑張っていく、それからー……

お、“今年はベースを頑張りたい!”いいね!応援してるよ!解説動画とか、リクエストあったら受け付けます!」


年明けから早速配信してます。

去年一年で、フォロワーはぐっと増えて、同接人数も多少賑わうくらいにはなってきた。


「ユージュ。“今年も重甲シフォンをよろしくお願いしまーす”。ハイ、こちらこそよろしくです〜。コーディネーターしてくれてるのは重甲シフォンのユージュくんでーす。

今年もね、重甲シフォンのサポートを続けさせてもらうことになってますので。みんなよろしくお願いしま〜す」


ユージュくんは、配信時のコーディネーターを務めてくれるようになった。

というのも昨年末、コメント内にカケルの話題が流れたりして、しかもカケルがクリスマスに凸してきたのを受けて、ユージュくんが


「俺ゲンゴさんのこと守るんで!」


ってなったのだ。

清和くんがぶっとい釘を刺したから配信で出張ってくることはないと思うけど……

でもまあ、見られてる可能性は残る。

コーディネーターがついてれば、その辺だいぶ安心して配信できる。

いろんな人に守られてますおれ。ありがとう。


・

・


配信終了して、寝室から出て、いつも通り作曲作業してる清和くんに後ろから抱きつく。


「終わったー」

「ちょっと今待って」

「あ、ごめん」


触っちゃいけないタイミングだった……集中時はおれの方を見てもくれない。けどそれにも慣れてきた。

だって後で思いっきり甘くしてくれるし。

おれはちゃんと学んだのである。


年末、カケル凸騒動はあったけど、清和くんにこのアクセサリーもらったし、

実家にもお邪魔してヨメとして受け入れていただいた。

家族の中で食事をするのは楽しくて、めっちゃ台所にお邪魔して家事やっちゃいました。

藤崎家のおふくろの味も教えていただいて、記憶にある限り初めてあんな幸せな年越しを過ごした。

清和くんも、なんかカケル凸の後ぐらいから甘さが増してる気がして。

実家ではもちろんできなかったけど、帰って来てから年始の休みの間、何回えっちしたんだろ……

それもだけど、おれ、清和くんに、言われたんだよな。


『愛してっから』


(あー!思い出したらテンションバグるー!)


悶えてベッドの上をゴロゴロって、漫画かいっていう漫画な動きをしてしまった。

いや、あの清和くんが!

愛してるとか言ってくれるキャラじゃないだろ!


なのでめちゃくちゃ幸せなおれです。

終わるまで待つくらい、なんでもない。



清和くんのCDコレクションを聴いて、手を動かしてやることがなくても常に勉強。

年末とかはおれが結構余裕なくて、清和くんに音楽を教えてもらう時間がなかった。ジャズを教えてもらってる途中だけど、まだ全然掴めてない。


ジャズバーとかジャズクラブとかでは、初心者でもできるジャム・セッションを行ってるところもあるけど、清和くんはあまりオススメじゃないと言った。

セッションで音頭を取ってくれるホストミュージシャンはプロでも、参加者のレベルは様々。畑違いなだけでプロであるおれには効率が悪いと。


『なら学生時代のドラムの友達誘うから、スタジオで集中特訓したほうがいい』


でましたー清和くんのスパルタ。

そうかドラマー一人いればピアノトリオで成立するんだった。

そして清和くんの音楽友達=セミプロレベル。


『ちなみにそいつ弁護士』


あ!元カレ関連でなんかあったら紹介するって言ってた弁護士って!

清和くん首都圏の国立大だからな……

人脈までスパダリでした。


♪


ベッドがゴソゴソいって、音楽を聴きながら寝落ちしてたことに気づいた。

清和くんがおれの隣に入ってきてる。


半分眠ってる頭でイヤホンを外して、清和くんの背に腕を回した。


清和くんも、おれを抱き寄せてくれて。


「せいわくん……冷えてる……」

「おまえ、ぬくいな」

「あっためたげる」

「ん」


清和くんに密着して、しあわせを全身に感じて。

足も絡ませて、冷たくなった足先を温めてあげる。


「清和くん」

「ん?」

「上手いベースの人のライブ、もうちょっと積極的に観に行ってみようかなって思ってて……」

「いいじゃん」

「清和くんが秋に演奏した人とかさ。ステージでどんな音使いしてんのかなとか知りたくて」

「んー。じゃあイチオシベーシストを何人か出すから、ライブ調べて行ってこいよ。

全部経費にできるし」


経費かどうかに意識が行く清和くん、さすが……


「CDなり配信なり原曲を知ってる方がいいな。ライブだとこんな変化するんだとか、逆に音源を再現してるのだって生で見たら違う。

俺もしばらくライブ行ってないし、開拓するか……

おまえと行けるなら楽しそうだし」


「え、おれと」

「当たり前だろ」


それはデートということですか。

うれし。


「3、4月は仕事が繁忙期だから、それまでに行けるといいな。何か探してみる」

「3、4月……おれが来て一年経つね」

「そうだな」

「めっちゃ、しあわせになったよぉ」

「ほんとにな。俺もだし」


清和くんも、しあわせなのか。

それを聞いて、感情がぶわっと湧き出るよう。


(やば……)


反応しちゃう。

下半身だけ、清和くんから距離を取った。


でも、清和くんが逆に押し付けてきて。


(清和くんも)


おれに反応してくれてるのは、嬉しい。


「今日は早めに寝たいから……バニラでい?」

「うん」


そのつもりなく寝るつもりだったから、準備もしてなくて。


清和くんがおれのに手を触れて、清和くんのと一緒に。


この手が鍵盤の上を動くと思うと、たまらない。

熱が体中を巡って、息が荒くなってしまう。


「明日っ……準備、しとくから」

「ん……?」

「明日は、えっちしよ……」

「ん、いーよ」


おれの上に、おれと、清和くんのが重なって。


めちゃくちゃエロい。


清和くんはすぐ拭いてくれたんだけど。


ほんとは、しばらくそのままでもよかったんだ。




※バニラ→挿入なしの行為

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