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怒声
入院からしばらくして母は血痰を吐くようになった。
血は少量だったが結核を疑い検査が行われた。
二日後、母の腕に赤く固いしこりができた。
母の入院の延長と隔離が決まった。
私は退院が延びたことを母に伝えた。
次の瞬間、母の怒声が室内に響いた。
「どこも悪くないのにどうして家に帰れないの!
点滴も注射も痛い! 寝てばかりで何もできない!
病院食は美味しくない! どうせ金儲けのためなんでしょ!」
「母さん。頼むから話を聞いて」
「看護師にうっかり、小学生のときに結核にかかったと言ったから帰れないんでしょ!
なんともないのに! もうヤダ! 家に帰る!」
「それは違うよ。万が一を考えてのことなんだよ」
だが母は聞く耳を持たなかった。
担当医が病室に駆けつけた。
「一旦、退院させましょう」
医師がぽつりとつぶやいた。




