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好物
病院食が味気ないと母が言っていたので
母の好物を用意した。
海苔の佃煮、昆布の佃煮、梅干しのはちみつ漬け、
茶碗蒸し、豆大福と草大福を持って病院に行った。
母はベッドに腰を掛けてテレビを見ていた。
「母さん、今日は元気だね。いつもは横になっているのに」
「もう元気だから、先生に帰してって言って」
「もうちょっと我慢して」
私はスツールに腰掛け、母の目を見た。
「そうだ、これ」
買ってきた物をエコバッグから取り出した。
「わざわざ持ってきてくれたの? ありがとうね」
「夕食前だけど何か食べる?」
「食べる」
母は草大福と茶碗蒸しを手に取った。
「美味しい?」と私が尋ねると母は
「口が甘い」と言った。
大福を半分、茶碗蒸しを二口食べて残した。
私は海苔の佃煮と昆布の佃煮、梅干しを
病室の冷蔵庫に入れた。




