75/90
やっぱり
仕事帰り、病院に立ち寄った。
母のいる部屋に向かう途中
担当の看護師から声をかけられた。
「看護師さんが、話があるから後で来るって」
「えー、退院延びるの?」
「まだ何も言われてないよ」
母の予感は的中した。
「食べる量が全然少ないって」
「だって、しょっぱくないんだもん」
母は口をへの字にして看護師を見た。
「何を食べたいですか?」と看護師が尋ねた。
「海苔の佃煮とか、梅干しが好きですね」
私が代わりに答えた。
「先生に訊いてみますね」
「先生に、早く家に帰してって、言っておいて」




