11話 ムライの街
まず、今いるトリムの街を拠点にして、しばらく依頼をこなし、ここより北のムライの街の護衛任務があればそれを受けて北上することにした。そしてムライの街で魔力探知を行い、今後を決めることになった。
冒険者と言っても生活していかなきゃならない。依頼を受けて稼ぐのと並行してイルムを探す。
トリムの街では依頼を順調にこなして行った。
そして宿屋では毎日みんな一つのベッドで揃って寝た。
ある日妙案を思いついた。夜中まで寝ずに起きていれば誰にも気づかれることなく実行できるのではないか?
そしてそれは成功した。僕はクレアに気づかれることなく、わずかだがその胸にタッチすることができたのだ。まるで近くて遠い山だな……
一瞬クレアの顔がニヤリとしたような気がしたけれど、僕はそのまま満足して眠りに着くのだった。
次の日の僕は元気一杯、力がみなぎるよう、まるでエーテルを飲んだ時みたいだ。いや、僕は実際にエーテルを飲んだ事はないのだけれど。
「どうしたのニコル、張り切っちゃって」
クレアがニヤニヤしながら言った。
張り切った僕はその日46体ものゴブリンを狩ったのであった。
「凄いわね。新記録よ」
依頼の最低討伐数は12体だから相当な数である。他にもクレアが15体、アイリスが20体、シャルが5体、ガルが25体と、とんでもない数の討伐数である。ギルドの受付嬢も驚いていた。
「全部で111体ですね。金貨11枚と銀貨1枚ですね」
僕達はかなりの大金を手にした。もっともこれまでの依頼でもかなり稼いでいる。
「ニコルのおかげで、お金もかなり貯まったわ。そろそろムライの街に行きましょうか。ちょうどここにムライの街への護衛依頼があるの」
「受けよう」
僕は言った。
「じゃあ、早速準備して、明日の10時に集合することになってるわ」
「わかった」
翌朝、僕達は集合場所に集まった。今回は3パーティー合同のようだ。僕達の他にも2パーティーが集まっている。
他のパーティーへの挨拶はクレアに任せて、僕達は馬車に乗り込むことにする。
馬車の中では僕の左右にクレアとアイリスが座った。向かいの席にはシャルがガルを膝に乗せて座っていた。
「ニコルもいいけど、もふもふもいいのです」
少しガルの顔が勝ち誇ったように見えたのは気のせいだろう。
こうして馬車の旅が始まった。
「また、盗賊が襲ってくるかな? 」
「そう度々は襲ってこないさ、それなら馬車の旅なんて危なくてできなくなる」
アイリスが言った。
「それもそうだな」
今回は盗賊が現れることなく、無事にムライの街にたどり着いた。
ムライの街に着くと、ギルドに行って依頼完了の手続きを取った。
宿屋を探して長旅の疲れを取った。今回も少しクレアの胸にタッチすることができたので体力回復倍増だ。
しかし、このままではいつかバレてしまう。今回でやめなければ……
朝起きると、ムライの街を散策した。ムライの街はヨルの街からかなり離れてしまったため、かなり趣が異なる。
僕達は武器屋、防具屋、道具屋を見て回った。クレアとアイリスが武器と防具を新調していた。このムライの街の店の品質はかなり良いそうだ。クレアは大きな胸を防具に合わせるのが大変だったようだが……
そしてムライの街の冒険者ギルドに向かう。この街の冒険者ギルドも人でいっぱいだ。
そして酒場で今後の打ち合わせを行う。
「ムライの街まで来てしまったわね。ヨルの街からは結構な距離よ」
「ここでしばらく依頼をこなしながらイルムを探そう」
「そうね、それがいいわ。じゃあ、依頼を探してくるわね」
クレアは立って掲示板の方へと向かって行った。
クレアがいなくなると、
「実は最近、深夜、不穏な動きがあるんだ」
アイリスが言った。
「そうです、不穏な動きがあるのです」
シャルも言った。
「不穏なって、どんな? 」
「ある女性の胸に手が伸びるという……」
「! 」
僕は絶句した。
「やはり、物事というのは平等にいかなければならない」
「そうなのです! 」
「なので、ニコル君、今後は俺やシャルにも同様のことを行うように」
なんてこった、やっぱりバレてたんだ。当然……
「もちろんクレアも気づいているぞ。最近機嫌がいいだろう」
そうなんだ。完全犯罪だと思っていたのに……
「いい依頼があったよ……なんか深刻な雰囲気ね」
「いや、なんでもないです……」
そしてクレアが持って来た依頼をこなし、宿屋に戻った。
そしてその夜、僕の左右にはアイリスとシャルが寝ていた。心なしか胸元を強調しているようにも見える。
「しょうがないな」
僕はそっとアイリスとシャルの胸に触れてみた。アイリスはいくぶん小ぶりな胸だった。シャルの胸はほとんどなかったがこれはこれで……
2人はどう見ても寝ているように見えるが、とりあえず仕事を果たした僕は眠ることにした。
「ふふっ」
誰かの声が聞こえた。しかし、僕は気にせずに眠ることにした。
翌朝、アイリスとシャルは機嫌が良さそうだった。




