10話 方針
「ニコル、イルムとは何者? それにドリスとは? 」
僕達は宿屋に帰ると、僕はみんなに魔法使いドリスに体を乗っ取られそうになったが、今は記憶として残っている事を、そしてイルムはドリスがかつて殺した弟子である事を説明した」
「そんなことがあったのね。どうりでニコルが只者ではないわけね」
「そのイルムの野郎があのリッチの親玉なら厄介だな」
「これからニコルをつけ狙ったりしないのかな? 」
あのイルムのことだ、おそらくドリスが復活している事はリッチを通じて分かっているだろう。しかし、一番弟子とは言っても私から見れば出来損ない同然の男が私に挑戦するのか? いや、今の体では分が悪いのか? ……あれ、僕なんでこんな事考えているんだろう。
「大丈夫だよ、イルムが相手でも僕は負けない……みんなの協力があれば」
「「「ニコル! 」」」
三人が僕に抱きついてきた。
「そうよね、どんな相手でも力を合わせればきっとなんとかなるわよ」
「そうだ、今回のリッチの戦いで肉弾戦になれば勝機はあるな」
「怪我しても私が治してあげます〜」
そうだ。みんなの力があれば恐る事はない。最悪、僕の中の『ドリス』を解放すれば、あんな奴ものの数ではない……いや、だめだこんな事考えちゃ……『ドリス』は解放しちゃいけない……僕がなくなる……
僕はみんなが僕に抱きついたままなのに気がついた。
「……あの、そろそろ解放してもらえます? 」
ようやく解放された僕は部屋に戻って眠ることにした。
朝、起きると3人は僕の布団の中で揃って寝ていた。それについては僕はもう諦めることにした。ガルは空いているベッドを独占して寝ていた。
ちょっとぐらいなら触っても分からないかな?
恐る恐るクレアの豊満な胸に手を伸ばす。もう少し、もう少しで……
するとクレアの目がぱちっと開いた。
僕は固まること数秒の後、その手を引っ込めた。
クレアは何事もなかったかのように伸びをした。
「……チャンスなのに思わず目を開けてしまった……」
クレアは呟いた。
「もっと素早く動くんだよ、素早く」
なぜか起きていたアイリスが言った。
「私の胸はちっちゃいから〜」
シャルも起きていたようである。
どうやら全員起きていたようである。今後不埒な考えはなるべく止めようと思った。
全員で下に降り、食堂で朝食を取ることにする。
「なかなか朝から元気がいいじゃないか。次は俺のところにきてもいいんだぞ」
アイリスの言葉にぎくりとする。
「順番制にしましょう。次は私の番ね」
シャルが言った。
「何度でも挑戦して来ていいのよ」
クレアが言った。
朝食が終わると冒険者ギルドの酒場に行き、今後の作戦を考えることにした。
「さあ、これからどうするの? 」
「実は、昨日のリッチの砂になった体を持って来た。ここから魔力感知を使って何か分からないか試してみるよ」
「そんなことができるの? 」
「もちろんできるよ」
「凄いのね」
僕は収納箱からリッチの砂を取り出すと、魔力感知を使った。
砂からは強い魔力を感じた。これは確かにイルムの作り出したリッチだろう。
私は北の方角に魔力の元があるのを感じた。
「どうやら北の方角のようだ」
「どれぐらい? 」
「そこまでは分からない。けど、近づくとわかると思うよ」
「どうする? そのイルムって人を追いかけて、やっつける? 」
「昨日はああいったけど、危険だと思うんだ。みんなの意見が聞きたい」
「私は賛成よ。面白そうじゃない。それにニコルもいるし、ガルもいるわ」
クレアが言った。
「ドラゴンも召喚できるだろ。大丈夫だよニコルがいれば。それに俺だっている」
アイリスが言った。
「私はニコルと一緒ならなんでもいいです〜」
シャルが言った。
「じゃあ、冒険をしながら北を目指す。強敵すぎると感じたら引き返そう」
「賛成ね」
「賛成だ」
「賛成です〜」
どうやらみんな賛成してくれたみたいだ。




