序章「ネオン街ととんこつラーメンバリカタ」12
「まあやけんってわけじゃなかけど……」
ここで一度言葉を止める。
すぅと息を吸う。
「仇は討ちたいと思っとる」
そう宣言した幸良の眼はギラギラとしていた。先ほどまでの彼とは雰囲気が打って変わったようだ。
「別に義務とかそういうもんじゃなかばってん、ただ単に許せんだけたい」
幸良としては怖がらせてしまったかと不安をよぎり、続けて何を言えばいいか……。
そんな静寂を破ったのはリアの言葉だった。
「それ、私もお手伝いしたいです」
「は? はぁああああああああああああ!?」
幸良の叫び声が屋台中に響き渡る。街を歩いていてた人は何事かと足を止めて屋台を見ていた。
リアは眼を閉じて耳を覆う。
「べ、ベッキーうるさいです……」
「いやいやいや……そんなツッコミしよる場合じゃなかろうもん!」
「何がですか?」
リアは困った顔で幸良を見る。
もちろん幸良としては釈然としない。なぜ自分がその表情をされないといけないのだろうか……。
「なんでお前が手伝うんだよ!」
最もである。
幸良の言うことは非常に最もだ。何も間違っていない。
あって間もない人に、相手もわからない仇討ちの手伝いをさせられるものか。
そんな意味も込めた一言だったのだが、リアは勘違いをしているようだ。
「あんな武器を持った方を倒した人となるときっとすごい人に違いありませんから、近くにはそれを支えるリンカーがいても不思議じゃありませんから」
いやそんなことを言われても……。
幸良は頭を抱える。
長らく話してきたが、どうもこの入田リアという少女は世間知らずというかマイペースというか……。
なんとも不思議な感じだ。
「あのなぁ……」
「ダメですか?」
「うっ……」
その上目使いは反則だと思う。
だが、だが、だが! 自分のそれに他人を、それも同い年の女の子を巻き込むわけにはいかない。
幸良は咳払いを一つ。
「いかん。そいだけはダメたい」
ここはしっかりと言わないといけない。




